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道すがら ――冬、2月の頃――
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「雪が降った日に深紺灯ちゃんと帰れるなんてラッキーかなっ」
澪乃 澄佳
は隣りを歩く
立花 深紺灯
に嬉しい偶然は大歓迎だと笑う。
深紺灯も猫鳴館の台所班として買い出しに出る日ではなく、先輩の澄佳と共に下校できることが素直に嬉しかった。
深紺灯は、昔は転校先では多くの意地悪をされ友達も出来にくく、今でも猫鳴館の生徒じゃないけど仲の良い先輩は少なくて、こういう共に帰るというだけの何気なさが何だか不思議な感じであり、
それに……――。
「わ、つらら!」
深紺灯の考えを切るように澄佳は一際大きく感動の声で知らせる。
こっちこっちと手招いてはしゃぐ澄佳に「先輩は楽しそうです」と深紺灯は、現在と過去とを比較しそうになる自分の思考を振り落とした。
家の影になって朝から残ったままのつららが、手の届く高さまで屋根から垂れ下がっていた。
それを発見し、自分の為に深紺灯の為にとちゃんと先輩らしく居ようとの澄佳の決意は軽く吹っ飛んでしまった。
この地域では結構立派に成長したつららに、よくぞ今の今まで無事に残っていたものだと感心する。
「んむ、これは折らずにいられないよねえ」
陽光を弾き艶やかに輝くつららは、「さぁ折れ。折ってみせろ。今がやり時、旬の時。やれ、やってしまえ」と訴えかけるかのようで、数年前の冬はそれが選り取りみどりであった澄佳は衝動に駆られてしまう。
というか、手に届くだけあって、「えい、や」とばかりにそのまま折った。
「おおー。根本からぽっきり」
つららは長さがある分だけ両手にずっしりと重たく、おまけのように付いてきた根本の氷塊には屋根の端の模様が残っている。
根元側に持ち替えて、ふかふか雪のキャンバスにはくるっと雪だるまの絵!
たったそれだけの事だが、氷の剣を入手したのが何より気分が盛り上がり、ふふと澄佳は笑った。
「つららさ手に持って、子供に戻ったみたいでなんま楽しいの!」
手に持つつららで、ざくざく掻き歩く雪道。
いつもの通学路ではなく、ちょっと寄り道をしたりして。
無意識に探すのは雪。まだ誰も分け入っていない、雪の積もる場所。
「あ、澪乃先輩、これ大きくて綺麗ですよ」
途中人目を忍び尚成長しようとしているつららを見つけてはふたりで指差して、折るか折らないか議論する。
より大きくて透明な氷柱を折り取って集めてみたり、
雪山に手袋を外した指で文字や模様を書いたり、
先にあった足跡だけを踏んで歩いてみたり、
ものすっごく綺麗な形の雪玉を作ってみたり。
「素手でぎゅてするとしゃっこいけど、やっぱりつるっと綺麗になるねっ!」
上着を濡らして澄佳は、深紺灯が握る雪球の上に自分が丸めた雪球を乗せた。
小さな雪だるまに両掌を占拠され、深紺灯は追想の息を吐く。
「とても懐かしいです」
昔やってた懐かしいこと、何をしても先輩も懐かしがって解ってくれるその事が、深紺灯にはとても嬉しい。
雪が積もる帰り道。共通の話題は多く、親近感に、一人っ子だった深紺灯は、澄佳を姉のように身近に感じ、芽生えた気持ちに憧れを抱く。
「だべか? 嬉しそうにしてくれて、あたしも嬉しいわあ」
澄佳は澄佳で深紺灯を振り回し気味かもしれないと懸念が無いわけではなかった。
しかし、自分のマイペースぶりに、深紺灯は距離を置くこと無く時間を共有し、側に居てくれることが心地よくて、「一緒だとやっぱりあずましいねえ」と素直に吐露し寒さで赤くなった頬を緩ませはにかんだ。
雪と氷に塗れ、童心とまではいかないが大いにはしゃいだふたりは、ふぅ、と軽い疲労に息を吐く。
「あんましばれんからつららとか雪は本当に珍しん。まだ2月なんよね」
地元では水道の凍結とか気にしなければいけないまだ吹雪舞う雪の深い時期だ。なのに寝子島に来てからはどうだろう。同じ2月とは思えない。
そして2月と言えば、一大行事が待っているではないか。
「そうそう、深紺灯ちゃん。チョコの準備はできてるべか?」
「バレンタインの事ですよね。
……うーん、特にあげる相手も居ないし、義理とか友チョコとかもよく分からなくて……」
女の子だから気になるだろうと何気なく振った澄佳の話題に返答する深紺灯の歯切れは悪い。悪いというか、準備は全くしていないと言外に語っている。
念のため、澄佳が深紺灯の経験を探ってみれば、
「小学校の低学年くらいの頃、買ってきたクッキーをお友達と交換したくらいで、作った事もないんです」
空白期間が長すぎて、
「それはびっくりだよう」
驚きが澄佳の口から出てしまった。
小学校低学年から無縁らしく、そう言えば話題に一度も出ていなかったのを思い返して気づき、澄佳は「せっかく美味しい日なのに」と勿体なさすぎと口を曲げる。
が、名案に顔を輝かせた。
「あ、たっけ今からでも一緒に楽しめばいいんだ!」
「先輩?」
きょとんとする深紺灯に澄佳は、ピッと人差し指を立てた。
「作って食べて、まずはバレンタインの予習! いいよね!」
「え、でも先輩――」
「だども今からだと遅くなるかしら……あ、晩御飯の後なら焼けたり冷めたりもちょうど……」
思い立ったが吉日とばかりに計画を立てる澄佳に深紺灯はもしかしてと思い確認に口を開いた。
「先輩。それってつまりこれから先輩のおうちにって事ですか?」
「んだ」
「え?いいんですか、そんな急に……」
「言い出しっぺはあたしだし、なんも気にしなくていいよ。それともうちだと都合が悪いべか?」
「そんな事はないです」
「じゃ、決まりね。そうとなれば、うちさ帰る前に買い出し、だよう!」
寄り道に遊んでしまった分、夕飯の時間は迫っている。
「ほらほら速く行かねえと!」
先に前へと行く澄佳を深紺灯は追いかけた。
雪でも氷でも転ばないのは慣れだ。体が覚えている。
バレンタインの経験が少ないことを冷やかすのでもなくからかうのでもなく、せっかくの行事だから楽しもうと誘う澄佳に深紺灯の心はじんわりと緩む。
待って、澄佳お姉ちゃん。
胸の内で忍ぶ澄佳に向けられ深紺灯の声は、届かないからこそ、この瞬間を思い出のひとつにさせていくのだろう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
保坂紫子
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年08月25日
参加申し込みの期限
2016年09月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年09月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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