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道すがら ――冬、2月の頃――
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雪道は、日常ではあるものの、年に数回しか無いと思うと、それは非日常とも受け取れる。
だからだろうか。たまに、常の無い行動を起こしてしまうのだろう。
明日は雪が積もるみたいだし、少し早めに……一緒に行かないか?
そんな連絡――というより約束を
高梨 彩葉
と交わしたのは昨日の夕方だ。
「……少し、早かったかな……?」
待ち合わせの寮の入り口には彼女の姿は無く、
志波 拓郎
は時間を確認するように空を見仰ぐ。
晴れやかな晴天。
冬の時期は天気が良いと逆に寒く早朝となれば吐く息も白い。真っ白い。
昨日の今日で約束を忘れるはずは無いだろうし、部屋から玄関までの距離の違いもあるだろうし、何より自分が積もった雪に気持ちが逸り早く来てしまった自覚はある。
ただ待つのは苦にはしないものの、陽光を受けてきらきらと静かに煌めいて主張し輝く雪を視界に入れ、何もせずに待ち人をするには拓郎は自分を抑えられなかった。
「うわー、ミニ雪だるまかわいいー!」
背後から投げかけられた感想に拓郎はこれが最後の作品かと掌大のミニ雪だるまをそっと置いた。足元を気にしつつ早足で近づいてくる彩葉を迎える為に背筋を伸ばす。
「数が多いね。結構待たせちゃったかな。ごめんね」と彩葉は道端に量産され並べられたミニ雪だるまの数を数え、拓郎に待たせてしまったことを謝り、にっこりと笑う。
「おはよう、拓郎」
元気な挨拶は、
「彩葉さん、おはよう」
優しい挨拶で返し、交わされた。
そして互いに、くすぐったさに声が漏れる。
夜が冷え朝には雪が積もるだろう。道がどうなっているかわからないから少し早めに寮を出て共に学校へと登校しないかと誘う拓郎の気遣いは彩葉は素直に嬉しいと感じる。寒いからと気を使ってくれる相手だからこそ彩葉はマフラーを巻いて手袋を用意し、寒そうに見えないだろうか他にも不備は無いだろうかといつもより身支度が入念になったのは否めなかった。気を使ってくれるのは嬉しいが、気を使わせ続けるつもりも無いのである。
「うーん」
と、彩葉が小さく唸る。
「……ど、した?」
量産されたミニ雪だるまを腰に両手を当てて屈むように見入って小首を傾げる彩葉に、作り手である拓郎はどうしたのだろうかと彼女の横に立った。
「私も対抗しようかなって」
言うと彩葉は積もる雪を掬って手袋越しながらも器用に雪を固め形を作り、即席の雪うさぎを拵える。
「一個だけになっちゃうけど、溶けるまでよろしくね」と彩葉作の雪うさぎはミニ雪だるま達の隣にお供えされた。
手を合わせる代わりに雪うさぎの頭を軽くぽんぽんとする彩葉。朝から和む光景にほっこりとした拓郎は彼女が立ち上がるのを待ち、ふたりは示し合わせるように静かに歩き出した。
「思った、より……」
「ん?」
ふたりは肩を並べて歩く。
初めこそ、彩葉が歩きやすいように前に行こうとした拓郎はエスコートを実行しようとする寸前で、勿体無いと考えを改めて横並びを選んだ。
新雪を踏みしめる楽しみを独占しているようで、勿体無い気がしたのだ。
一歩を踏むごとに、靴底できゅっきゅっと雪が鳴る。乾いていても濡れていても味わえない感触だ。だから拓郎は彩葉と肩を並べて歩むのだ。
「……寒い」
「そうだね!」
だからこそ雪は解けずに積もった。
「寒い!! でも、雪を見るとテンション上がっちゃうよね」
きゅっきゅっと雪が鳴る。
二人分の靴音。
雪音。
踏みしめる雪のこの感覚を彩葉は好きだと感じる。
靴底から伝わる感触は面白いし、踏み締められて鳴る音は可愛いし、何よりこの時期にしか楽しめないというのが特別感があってよかった。
「雪とかあんまり見ないから、なんかはしゃいじゃうよねー」
彩葉の前髪に隠されず見える頬は幽か上気して、楽しいねと拓郎に高揚を投げかけた。
「自分も…雪は、なれてない…から、なんか…はしゃぐ…」
うずうずしてミニ雪だるまを量産するくらい、拓郎もまた彩葉と同じ気持ちだと頷いてみせた。
純白の白。正に魅惑の色彩。
目に入る景色は非日常的に視界は釘付けで、肌で感じる寒さはこれが現実だと突き付けて、そんな落差に心は浮つき、これが冬なんだと再認識する。
四季折々で出来ることはその時にしか出来ず、雪だるまも雪うさぎも今しか作れない。一個や二個だけでは足りない。見ているのも良いし、遊ぶのも良い。時間が経つに連れて解けていくだろう世界を眺めるのも、有限なる雪と触れ合い楽しむのも、今だけだ。
積もる雪。一面の銀世界。この刹那の時をどう過ごせばいいか想像するだけでわくわくしてくる。
だから、彩葉は忘れてしまった。
世界を繋ぎ止める足の、雪に浮ついた心を支えるその足元の、不安定さを。
「うわわ!?」
つるっと。
滑ってしまった。
「!」
倒れようとした彩葉の手を慌てて取った拓郎は重心を後ろにずらし、こちらも、つるっと、雪で足が滑ってしまった。
ステーン! と拓郎が綺麗な形で尻餅を付く。
拓郎の上に乗っかる形になってしまった彩葉は、
「ご、ごめんね!」
謝りつつ急いで拓郎の上から退く。
「怪我……無い?」
聞く拓郎に彩葉は首を横にぶんぶんと振った。
「ううん。無いよ。痛いところも無い。拓郎のおかげだよ、ありがとう。拓郎も大丈夫?」
聞かれ、拓郎は頷き一つで大丈夫と返す。
彼が立ち上がるのを彩葉は助け、それぞれの服についてしまった雪を払いつつ、ハプニングとはいえ拓郎に馬乗りになってしまったことに遅れて気づき、朝から恥ずかしいことしちゃったよー! と両目をつぶった。
きゅーと聞こえない悲鳴に悶える彩葉の横で拓郎は頬を指で掻く。
「……えっと、その……」
拓郎も拓郎で支えるはずが共に転んでしまった恥ずかしさに、照れて赤くなった頬を雪がついて冷たくなった手で冷やした。
衣服についた雪は落ちにくい。転んだとなれば被害は広く、特に下敷きになった拓郎の背後は真っ白になっている。拓郎は叩くように雪をほろう。
「……早めに、出て、……よかった」
そうだねと彩葉は同意した。
「いつもどおり出てたら、もっと雪まみれになってたかもしれないね」
雪解けの水に足元は更に滑りやすくなっているだろし、比例して転倒率も増すだろう。雪質も変わる。
拓郎は彩葉に手を差し出した。
自分へと向けられた掌に彩葉は顔を上げる。
「…危ない、から。 ……手、……繋ごう」
今度は転びそうになっても支えてみせる。
言葉少なめながらも拓郎が見せた気概に彩葉は微笑んだ。
彼の掌を握り返す。
拓郎が転びそうになったら支えるつもりだと、ぎゅっと握って。気持ちを込めて。
体は寒いけど。
繋ぎ合う手は、心は、じんわりと、暖かい。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
保坂紫子
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年08月25日
参加申し込みの期限
2016年09月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年09月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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