this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
道すがら ――冬、2月の頃――
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
つぎへ >>
部室は部室棟にあるものの、射撃部の練習は体育館や校庭、裏の森と屋外が主であった。
今日も今日とてその裏の森で
八神 修
と
椿 美咲紀
は射撃の練習に励んでいる。
「――と。そろそろ帰るか」
日の傾きに気づいた修が美咲紀に声を掛けた。
整備しているとは言え山に面している練習所は雪が積もれば足元は危なく、安全面を配慮するならそろそろ引き上げる頃合いであろう。
「まだまだ夕方は短いのです」
終了を告げられて、修を真似て太陽を見仰いだ美咲紀はこの時期の屋外活動はなかなか厳しいものだと笑った。
「時間が経つのが早いよな」
「雪の中で射撃の練習は何時だってできるものじゃないからつい気合が入ってしまうのです」
それだけ集中していたという事だ。
必要最小限に留めた荷物を手早く片付けたふたりは周囲にゴミ等散らかしていないか練習所内を歩き、
「あれ?」
美咲紀は、その足を止めた。
「美咲紀? どうした?」
「シュー君、あっちに何かあるみたいなのです」
彼女が見詰める先に視線を向けた修も「おう?」と目を凝らす。
「何かってなんだ?」
「それがよくわからないのです。動いたような気がしたので、動物かなとは……シュー君あれ!」
美咲紀に袖を引っ張られた修も「ああ」と頷く。
雪が残る山の斜面。ふたりより距離を置いた遠くの雪が被さる地面の上で、飛び跳ねているのだろう、ぴこんぴこんと特徴的な耳が揺れていた。
「先っぽだけ黒くてあとは白い体毛って事は……ニホンノウサギか。可愛らしいな」
「ニホン……アレはウサギさん。なのです?」
「ユキウサギ……? いや、やっぱり多分ニホンノウサギだと思う。ユキウサギは北海道くらいにしか居ないからさ、ニホンノウサギは冬になると保護色の白毛になるんだ。あと絶滅危惧種でその生態や分布は……ってそこまでの説明はいいか」
「なるほどなのです。さすがシュー君は物知りなのです」
カモフラージュ色の白さと耳の先端に残る黒色がその種類じゃないかと類推させる。
往来の猫でないことがそうさせたのか、ふたりは自然と小声で会話を交わし、無意識に気配を消そうというのか身を寄せ合いその場に屈んだ。
「シュー君と居ると色々な動物と出会いますねぇ。絶滅危惧種を目の当たりにするなんてなんか不思議な気分なのです」
「まぁ、珍しいよな。野生かな、それとも飼い主から逃げてきたのか、どうなんだろ」
くすくすと美咲紀に笑われて修は過去を思い出し、苦笑する。
「ウサギさんも可愛くて良いよねぇ。いつか飼いたい生物のひとつなのですよ」と美咲紀はほんわりと頬を緩めた。「こっち来ないかなぁ。人懐っこいとかないかなぁ」と眺めるだけの距離をなんとか縮めようと方法を検討する美咲紀は修に顔を向ける。
「シュー君、シュー君。そのニホンノウサギは何を食べたりとかするですか?」
巣穴もこの辺にあるのだろうか。素朴な疑問に修は、小さく唸る。
「鞄の中に残りのパンが入っているが、距離が中途半端で気づいてくれそうにないな」
接近すれば逃げられるだろうし。
「いきなり立ち上がってウサさんをビックリさせたら可哀想なのです」
なので、このまま隠れて様子を見ることとにしましょう。と美咲紀は触れ合いを諦めた。
部活動は既に終了し掃除も無くあとは帰るだけで、向こうも日向ぼっこの猫ではないのでそう長居もしないだろうし。
ふたりは無言のままそれぞれデジタルカメラを取り出した。何を考えているのか、同じことを考えていると知り、外敵無く自然体でいるうさぎの手前ふたりは噴き出すのを堪えた。
「フラッシュは諦めるか。音も出せないな」
「こっちを向いて欲しいけど、気づかれたら逃げちゃうかな」
隠し撮りはベストショットが狙いづらく、動物相手では尚更難しい。そこは動物相手だからと思考を切り替えてシャッターボタンを数回押し下げた。
「そいや美咲紀、ウサギの目が何故赤いか知っているかい?」
ロマンチックな色を滲ませて問う修に、デジタルカメラを両手で持った美咲紀は首を横に振った。
「それはさ、泣きすぎて真っ赤になっちゃったんだ」
「え? シュー君、それ小学生相手までですよ」
動物好き故にその手のお話は絵本でも物語でも何度か目に触れて美咲紀には身近であった。だからそのファンタジックさは否定するものではなく、受け入れているもので、修を指摘する美咲紀の声はとても柔らかい。
「あ、やっぱり?」
騙すわけではなかったと和んだ空気に修は「本当は色素がなく透明だから血管が透けて赤いからなんだ」と正解を伝え、それを聞いて感心する美咲紀に立つように促した。
「シュー君?」
「帰るみたいだ」
背中を向けて山へと向かってひょこひょことウサギは跳ねていく。当然の如くそれに続く人間ふたり。
「追いかけたら巣にたどりついたりするですかね?」
距離を保って追いかける美咲紀の疑問に修は彼女を見、流れるように、
「寝子高新聞の記事ネタになります」
と小声で囁かれて、
「逆にふたりだけの秘密ってことにもできるな」
と修は返した。
追いかけ難い藪の手前で止まったウサギに、ふたりは追跡の足を止める。
どことなくこれ以上の深追いはできない予感がした。
「もう、行くのかい?」
思わず声をかける修の声に、ウサギは片耳を立てて、空気の匂いを嗅ぐ。
寒空の冬の中、その光景は寂しくも見えて、修はこのウサギに家族はいるのだろうかといるのなら皆はちゃんと冬毛になっているのかと心配を覚えた。
「さよなら雪ウサギ」
捕食者に見つからないように、餌の少ない冬を仲良く生き延びてくれと、偶然の出会いだからこそ修はそう切に願う。
「無事に巣へお帰り」
そして、「時々来てくれるのなら、お野菜の切れはしを持ってくるよ」と修の隣りで美咲紀も藪の奥へと消えたウサギを見送った。
ウサギを追いかけたといって、それほど山の奥へと入ったわけではなく、振り返れば整備された道が見える。
鞄を抱え直した修と、デジタルカメラを仕舞った美咲紀は、
「体が冷えてしまったな」
「すっかり体が冷えちゃいました」
お互いにハモった事で、はたとその動きを止めた。
顔を見合わせる。
「部室でココアを淹れてあげるね」
「部室でココアでも淹れるよ」
やはりハモってしまい、今度こそ噴き出して笑いあった。
「帰ろう」
と、修は美咲紀に手を差し出し、斜面の傾斜を気にして美咲紀は素直にその手を取ったのだった。
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
道すがら ――冬、2月の頃――
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
保坂紫子
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年08月25日
参加申し込みの期限
2016年09月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年09月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!