【球技大会】本気の野球（白猫組サイド） -後半-｜リアクション

【球技大会】本気の野球（白猫組サイド） -後半-

【最終回・７回裏】

「あと２点なら追いつける！行くぞ！」

轟が声をあげる、それに合わせてチームメンバーが拳を振り上げた。

「さーて、それじゃあ最後の打席と行きましょうか」

打順は四番の武道から。
ひびきが振りかぶる。１球目は様子見。２球目は武道を誘うような入りからの変化球。

「ひえーこわいこわい。変化球のキレがよすぎておにーちゃんちょっとこわい」

軽口を叩きながら目の前のボールに集中する。
３球目、救い上げたボールはレフト、空音の目の前に落下した。

「はっ！ぱんつがっ！」

ワンバウンドした打球は空音の頭を飛び越えて後ろに転がって行く。
フォローに入っていた貴弘が拾い、二塁に送球するが、武道は既にセカンドベースに立っていた。

「どんまいどんまい、後ろはまかせろー！」

ひびきに声をかけながら貴弘がボールを返す。
その声にひびきは手を振ってこたえた。
次の打者、真美は飲みかけのコーヒー牛乳を優に預けると、

「あ、わかった、フェンスにぶつけたら１点なのね」

と呟きながら打席へと向かった。
そしてその言葉通り。
３球、ファールで粘った後の変化球を全力で叩き、ライトのフェンスに直撃するライナーを放った。
ライトの守備についていた豪は後にこう語ったという。
「あのライナーの前に入ったら自分が死ぬんじゃないかと思った」

こうして真美は二塁に進み、二塁にいた武道がホームイン。
８－７とした。

「あと１点取ったら同点やな。満塁ホームラン打たれたときはどうしようかと思ったんやけど」

柳司がバットを構える。
気のせいだろうか、ひびきの目がきらめいたように見えた。
１球目、少し高めに浮いたストレート。

(おっ、もらったで！)

迷わずバットを振るが、当たる直前でいきなり下方に変化した。

「おわっ」

弾かれたボールはサードの真ん前へ転がる。
刀が丁寧に捕球した後自らサードベースを踏み、一塁へ送球。
併殺されて、ツーアウト。

「くっそ、なんなんやあのピッチャー！変化球のキレがおかしいやんか！」
「あの子あれで普通科なのよね」
「な、謎や……」

真美と柳司がとぼとぼとベンチへ帰ってきたところで、轟が２人とハイタッチ。

「俺がもう一本、叩き込んでやろうじゃねぇか」

気合を入れるとバッターボックスに向かった。

「おう、さっきはええホームラン見せてもろたで」
「次も見せてやりますよ」

そう言ってバットを構える。
ひびきと源太郎は簡潔に、しかししっかりとサインを確認しあう。
１球目、低い位置にストレートを入れてストライク。
２球目、外角に入れた変化球を叩いてファールボール。
３球目、内角から少しずれてボール。
４球目、少し高めの位置にまっすぐ入ってくるボールを、真帆の時と同じようにフルスイングする。
高い金属音と共にボールがセンターの頭上へ飛んで行った。

「――――っ！」

グラウンドから一切の音が消える。
誰もが固唾を飲んで見守った。

――ぽすん、という音がして、
センターフェンスぎりぎりの場所で貴弘のグローブにボールが収まった。

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