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ユニに教えられた通り、町を貫く石段を登る。
「うあー……」
「お先なのだー!」
運動を得意としない由貴奈を追い越し、真央が元気に駆けて行く。
「はいはい、お先にどうぞー」
重たい両膝に手をつき、由貴奈はもう片手をひらひらと振って元気な女子を遠慮なく見送った。見仰げば、石段はあと百段はあるだろうか。
石段の半ばに打ち捨てられて転がる本を見つけ、一休みがてら手に取る。息を整える間に頁を捲っても、揺れる水中に認められるのは、見たこともない文字の羅列ばかり。
(記念に持って帰ろっかな)
子供の落書きなのか、小さな魚と大きな龍らしきものが書き込まれた頁を見つけて、思わずくすり、笑みが零れた。
碧い水の中、幾つもの巨大な柱に支えられた屋根を戴く神殿を眺め、白く光ってさえ見える石段を眺め、由貴奈は苦しい胸から大きな息を吐き出す。再び足を進める。
階段の一番上、先に登りつめていたらしい寝子島の少女ふたりが奥の誰かに向けて頭を下げていた。
「町にお邪魔しています、こんにちは」
人懐っこい声を耳にすれば、顔を知る美咲紀の明朗な笑顔が由貴奈の脳裏に容易く思い浮かんだ。
「おぉ~、美咲紀ちゃんに月詠ちゃんも居たのだ?」
階段を駆け上った真央が、ずっと走っていたとは思えぬ溌剌さとテンションの高さで笑っている。
「真央ちゃん」
「真央か」
少女たちの声を耳にしながら、由貴奈はやっとの思いで最後の一段を登り切る。息を切らせながら冷たい石畳の上に膝をつき、両手をついてくずれおちる。
「こんにちはなのだー! ユニちゃんのおじいちゃんに会いに来たのだ! 真央ちゃんは後木真央というのだおじいちゃんのお名前教えてほしいのだ」
石畳に頬をつけたまま、由貴奈はほとんど息継ぎなしで一気に自己紹介をし神殿の主の名を尋ねる真央の背中を見遣る。
「名か。アレスだ」
佇む老翁とはしゃぐ小柄な少女の肩越し、見えたのは閉ざされた巨大な扉。
駅ビルよりも高さのある柱と同じほどに巨大な扉を見上げようとして首の角度が足らず、由貴奈は笑う膝を堪えて立ち上がった。
「ここは蓬莱山ですかニライですか竜宮ですか瓜生島ですかそれとも他の場所ですかっ」
鼻息も荒らく詰め寄る真央の身体に隠れて、小柄な真央よりも更に小柄な白銀髭の老翁の禿頭が見える。
(……まさかお面被ってたりしないよねぇ?)
ふと思って、思った瞬間、見えた老翁の顔に面が掛かった。この世界で見るとは思っていなかった、能に言う翁面を目前にして、由貴奈は黒い瞳を細める。
首を傾げ、ぼんやりと翁面を掛けた小柄な老人を眺める。
「そしておじいさんは亀の化身ですかなのだ!」
ほとんど一息に言って、声にして吐き切った息を取り戻そうと深呼吸する真央の前、老翁は豪快な声で笑い始めた。
「いや、いやいや、ここは貴女の言う何処でも無い。私も亀の化身ではない。それにしても元気な御子が来てくれた」
「じーちゃんが例の『じいちゃん』?」
笑い続ける老翁に向け、由貴奈はおっとりと進み出る。何の隔たりもなく見ても、老翁の顔には間違いなく、あの黄昏の町に見た翁面が掛かっていた。
「うん、例の『じいちゃん』だ」
「初めまして、お爺さん」
頷く老翁に、月詠が丁寧に頭を下げて挨拶をする。
「みさみさちゃん」
「はい?」
神殿を飽きず見上げていた美咲紀に、由貴奈は呼びかけた。
「あの『じいちゃん』、お面とかつけてるかなぁ?」
「え? うーんと、いいえ。つけてませんですよ」
「……そうかぁ、ありがとー」
何かを考えているような何も考えていないような茫洋とした表情で、由貴奈は老翁の傍に近づく。
「いやぁ、水たまりからここに来ちゃったみたいでさぁ。帰る方法聞くついでに町のことも聞こうかと思って訪ねさせてもらったんだよぉ」
神殿を訪れた少女たちのうちで一番小柄な月詠よりも更に低い位置にある禿頭を、顔の大部分を覆い隠す翁面を見つめる。
「うちみたいに迷って来る人、ここじゃ多かったりするの?」
「他所人が最後に訪れたのはもうずっとずっと前だ。貴女たちは、……」
由貴奈の視線を受け、老翁は仮面の奥、町を埋める水と同じに碧い瞳を悪戯げに、かなしげに細めた。
「あの子と遊んでやって欲しいがためにこの爺が呼んだ。元の場所には時が経てば自然と帰れる。驚かせた、済まない」
「すごい綺麗な世界だったのだ!」
真央が元気に飛び跳ね、老翁の傍に駆け寄る。風に似て水流を巻き起こしながら、この町で撮ったインスタントカメラのフィルムを一枚、老翁の手に押し付けようとして、
「……アレスおじいちゃん、どこか辛いとこあるのだ? 手、すっごく冷たい」
フィルムを握らせようと取った手を己の両手で包み込む。枯れ枝じみて細く皺深い指や掌が、驚くほどに冷たかった。恐ろしくなるほど存在感が薄かった。
強く触れれば小柄な老翁が崩れて消えてしまうような気すらして、真央は唇をへの字に引き結ぶ。
「元来のものだ、心配無用」
(死んじゃったりしない?)
頬に幾重にも笑い皺を刻むアレスへ流石にそうは問えず、
「また来てもいいかなぁなのだ?」
次の約束を請う。無論、と頷かれ、真央は胸の安堵を隠して大きく笑んだ。手を振り、地面を蹴る。それだけで、身体は水中の空へ飛びあがった。
見回した先、町の一角で他の寝子島の子供たちと遊ぶユニの姿を見つけ、真央は両手を振る。
「おーいユニくーん! 時間ぎりぎりまで遊ぼうなのだ~」
「ここは穏やかで何だか不思議な町ですね」
真央の後に続こうとしながら、美咲紀はどこまでも明るく笑む。
碧に沈んだ静かな町は、もしかすると母の胎内に似ているのかもしれない。
(覚えてないですけど)
「それは光栄なことだ。あの子にとってもそうであれば良い」
美咲紀のこころを読んだかのように瞳を細めるアレス翁に一礼し、美咲紀ももう一度ユニの元へと向かう。こんな素敵な場所に呼んでくれたせめてものお礼になるのなら、アレスの望み通り、時間の許す限りユニと遊ぼう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月10日
参加申し込みの期限
2016年07月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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