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水底の町
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サファイアの中に押し込まれたと、思った。
伸ばした指先が空よりも青い蒼に染まっている。吹き寄せる北風を防ぐべく纏うていた真紅のコートさえもコバルトブルーに染まっていて、
弘明寺 能美子
は漆黒の瞳を僅かに細める。
白い光の揺れる水面は、今朝仰いだ冬空よりも高く遠い。
(……流石に)
吐き出した息は、けれど気泡にもならなかった。己の息が水の流れを作り出すだけだと気付いて、水中にあって息が適うことにも気付いて、もう一度息を吐く。
(冬真っ最中に水の中に突っ込まれるのは驚くわよ)
ひとりごちつつ、僅かに乱れた息を整える。水中に漂い揺れる己の長い黒髪を両手に纏め、背中に流す。手首に引っかかっていた傘を片手に持ち直し、碧に占められた周囲を見回す。
どこまでも澄んで碧いこの水は、海水なのだろうか。
(淡水なのかしら)
落ちた時にうっかり飲んだ水は不思議なくらいに甘かった。
(真水だとしても)
川と湖では水の透明度に差がありそうな気がする。
そこまで大真面目に思案していて、ふと小さく噴き出した。思いがけず笑みが零れてしまった唇を指先に抑える。
(……なんだか)
フツウにフツウではない現象を受け入れてしまえている。
(私、可笑しいわね)
可笑しいついでに、手にした傘を開いて頭上に差す。透明傘越しに見上げた水面は尚更に遠く見えて、能美子はまた少し可笑しくなった。
唇を緩める。そう言えば、身体を包み込む水は然程冷たくない。むしろどこか温かい。
思い切ってコートを脱ぎ棄てる。水中花のように漂い落ちる真紅を視線で辿るうち、水底に静かに横たわる町を見つけた。
傘を傾ける。水面に向けて軽く水を叩けば、身体は思いがけず易々と沈んだ。水底に足がつけば、元より水底の住人だったかのように砂上を歩むことができた。
碧い水底を、傘をさして散歩する。
(おかしいことに巻き込まれた時はおかしい事をすれば、きっとたのしい)
広げた傘に掛かる水の抵抗に少し苦労しながら、水底で傘を広げて散歩している可笑しさに時折笑みを零しながら、水底を歩く。踏み出すごとにふわりと舞い上がる白砂の下、よくよく見れば、白い煉瓦の道があった。
道を辿り、町の入り口に立つ。
入り口には申し訳程度の門と、門番の詰め所らしい白珊瑚の小屋。中を覗き込めば、小さな卓と椅子があった。卓の上には古びた手帳と、手帳に書き込むためのペンとインク壺、水しか入っていない硝子の器。ひとひとりが座れる分だけの小さな小屋の床を埋めるほどに積み上げられて、これは門番の無聊を慰めるものらしい本が十数冊。
門番小屋から視線を外し、先に広がる町を眺める。
碧い水に占められた町の通りを彷徨い遊ぶは、真紅に金、濃緑に純白、賑やかに色鮮やかな魚ばかり。
(……?)
僅かな違和感に瞳を細めながら、けれど能美子は広がる町から傍らの小屋へと視線を戻す。
今は人気を感じられないこの町にも、かつては確かにひとが住んでいた。
小屋の卓に放置された手帳に手を伸ばす。触れようとして、やめた。息をひとつ、吐く。
思うのは、自分のろっこん『役立たずの逆さ時計』について。
「ねえ」
声を張る。
「あれ、姉ちゃんおれのこと気付いてた?」
能美子の呼びかけに応じ、小屋に一番近い家の窓からひょこり、蒼い髪の少年が顔を覗かせた。
「誰かに秘密を覗かれても……特別な世界であったのなら、おまけで許してくれるのかしらね」
「むっずかしいこと考えるなあ。でも、そこにいたおっちゃんはもう居ないし、別にいいと思うよ」
窓から外へと身体を引きだし、まるで魚のように傍に寄って来た少年に人懐っこく笑いかけられ、能美子は唇を微かな笑みのかたちにした。これあげる、とどこから持ってきたのかも分からぬ、見慣れぬ花を象った空色の硝子細工を差し出されるまま、受け取る。
「変な世界にいると変なこと考えちゃうわね」
「そう? じゃあおれ、いっつも変なこと考えなくちゃ!」
楽し気に言い、少年は能美子の手を引いた。無邪気に手を引く少年を振り払う気にもなれず、それでも手帳が気になって手を伸ばす。
少年の後に続いて歩きながら、乱暴に触れれば崩れてしまいそうなほどに古びた手帳を見つめる。そうすれば、読めぬ文字が書き込まれた元の姿が脳裏に浮かんだ。
それと同時、詰め所に居たと言う壮年男性の退屈な思い出が瞼の裏を過る。
手帳は、どうやら門番の日誌らしかった。
「町外れの舞台でさ、知らない兄ちゃんたちが面白いことしてたんだ! 一緒に見よ!」
何事も起こらぬ退屈で平和な町での門番業務の日々、けれどそれを愛おしみ日記に書き留めようとする思い、――それから、
(……?!)
地面より不意に溢れだす碧い水の景色。異常を書き留めなくてはという門番としての使命。
手帳に染み付いていた持ち主の思いは、それが最後。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月10日
参加申し込みの期限
2016年07月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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