猫、逃げる｜リアクション

猫、逃げる

「任せるのだ、真央ちゃんと違って頭脳が飾りじゃない人を呼ぶのだっ！」

　そう宣言した後木真央は、颯爽と手持ちの連絡先の中から巻き込まれ役を呼び出した。
「修ちゃん、ＮＭＲ大降臨なのだ！　すぐにクロネコ寺に来てほしいのだ、桜台墓地の横なのだっ」
　そう一方的に言い切ると、そのままねこったーへの情報拡散にいそしむ真央。

　本当にこの子に任せて大丈夫だったんだろうか、そんな表情を見せる住職に向けて、真央は笑う。

「赤点を減らしたい真央ちゃんは泥船でも、修ちゃんは違うのだ。大船に乗った気でいると良いのだ！」
　肩をぽむぽむと叩かれ爽やかに言われるほどに、泥船と思えてしまうのは気のせいか。

　そう待たない頃合いで、一人の少年が自転車とともに現れる。敷地内に姿を現した八神修に向かって、真央がぶんぶんと手を振って呼び寄せる。
「修ちゃ～ん！　こっちなのだ～！」
　お待たせ、と何かしら荷物が入っているらしく少し嵩張ったカバンと、一匹の猫を抱えて現れた少年は、住職にも一礼をし、「詳しい話を聞かせてほしい」と水を向けてきた。

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