this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
カオスワールド・プレイ
<< もどる
1
2
3
4
5
…
13
つぎへ >>
星ヶ丘マリーナを臨む一角を占めて、その巨大高級ホテルは在る。
カジノに始まり、プールやショッピングモールをも内包するその施設を擁するのは、世界各地でカジノを抱えた高級ホテルやリゾート施設を展開するParadisoグループ。
「……天国、ね」
マリーナを一望出来るホテル高層のバーの止まり木で、女は吐息を零した。
艶やかな黒髪が華奢な顎に触れて揺れる。繊細な白い指先に髪を絡めてかき上げれば、煽情的なまでに白いうなじが露わとなる。
黒い睫毛を意味深に伏せ、もたげる。ただそれだけの仕草で、少女めいた横顔は不意に鮮烈なまでの色香を宿した。淫らなまでに潤んだ黒い瞳に映すのは、一枚板のカウンターの央、退屈そうにグラスを傾ける陰鬱な雰囲気の背広の男。
今日の、獲物。
女は桜色した柔らかな唇を舌先で湿す。鮮やかなルージュを引いたように色付いた唇に笑みを浮かべ、
「……ねえ、」
蜜にも似た甘い声で、女はバーで偶然行き会った壮年の男に話しかける。
「あなたの隣、空いているかしら?」
天使のように無邪気に近づき、男の傍らに身体を寄せる。
「君は?」
娘のような年頃の女に近づかれ、男は生真面目そうに眉を寄せた。けれどその瞳に、舌なめずりするような色を確かに認め、女は危うげに微笑む。
「私は、……」
葉利沢 倫理子
、と名乗りかけた唇を噛む。それはこの身体が天使であった頃の名。この身体に元々宿っていた、そうして今は精神の奥底に死と同じ縛めによって封じられている、憐れで脆弱な少女の名。
「私は、Marice」
(可哀想な倫理子)
今はもういない天使の少女に向け、女は嗤う。
(あんなことで私に主導権を譲るなんて)
元々は、天使だった。
天上から地上へと落下した際、『機関』の者の罠にかかった。
――これはこれは、可愛い天使だ
老境に差し掛かった背広姿の『機関』の男は、初めは『異界者』を匿う協力者の顔をしていた。ひとを疑うことすら知らぬ倫理子は、男が落ち着きなさいと差し出した水を素直に口にし、――
最初に、天使の翼が爛れて腐り落ちた。
翼を喪う痛みと恐怖に泣き喚く倫理子を鎖に絡め、『機関』を名乗る男は虫けらを虐める悪童のような笑みを浮かべた。
すすり泣く声が一際大きな悲鳴になり、やがては心を失った小さな喘ぎに代わる。
Mariceからしてみれば、それは絶好の機会だった。
天使の身の内に封じられていた悪魔は、その瞬間、天使の意識をその身の精神の牢獄に逆に押し込めた。二度と消えぬ穢れと屈辱をその身に刻まれた天使の心は死に、Mariceと言う名の堕天使となり替わった。
腐り落ちた白い翼の代わり、漆黒の翼を得た堕天使の姿に目を剥く『機関』の男の隙を突き、新たに得た悪魔の力で鎖を砕いた。ついでに男の身体の骨も粉々に砕き、痛みにのたうつ男を存分に嘲笑して後、姿を眩ました。
それからは、淫蕩と乱交の日々。
星ヶ丘の高級ホテルや娯楽施設を拠点に、ひとも天使も老若男女も問わず、身も心も惑わせ、最早完全に離れられぬまで己が身に溺れさせた。
快楽と幸福の絶頂を舐めつくそうとする相手に向け、
――あなたなんていらないわ
――つまらない男ね
容赦のない嘲笑を叩きつけた。
身も心も捧げた女からの純粋なまでの悪意を受けて、天使は悪魔へと堕した。ひとは絶望のどん底へと突き落とされた。
(あの、魂の苦み)
今までに味わった天使やひとの苦悶を思い出し、Mariceはちいさく舌なめずりをする。苦しみが濃ければ濃いほど、彼女にとっては甘露となる。全身に巡る戦慄にも似た歓喜が一際際立つ。
「ねえ、あなたのことが知りたいわ」
無邪気を装い、男の腕に身を寄せる。妖艶な衣装がどれほどに薄紅色の胸元を、白い脛と腿を際立たせるのか、この身がどれほどに男の劣情を掻き立てるのか、彼女はよく知っている。
「僕は女の子の興味を引ける人間ではないよ」
「そんなこと……」
悲し気に首を振って見せながら、気づいた。
(この男、『組織』の)
倫理子を穢しある意味『殺した』あの老境の男と、同じにおいがする。血と鎖と、倫理子に飲ませた毒の臭い。どんなに薄めても肌に染み込んで離れぬ、下卑た性持つ人間の臭い。
(まさか)
男の顔を見遣る。運命のあの日、あの男は人相も分からぬまで鼻も頬の骨も満遍なく砕いてやった。あの男がこの男だという確証は顔では得られない。
(それに、ここは)
このホテルを経営するのが悪魔の一人であるということは、界隈では公然の秘密となっている。知る知らぬに関わらず、ひとも悪魔も天使ですらも呑み込みもてなす巨大施設は、巨大であるが故に『機関』の手を逃れている。だからこそMariceもここを主な拠点としている。
(潜入捜査か、『機関』の一員でありながら禁断の快楽を求めての逸脱か)
考え掛けて、やめる。そんなことはどうでもいい。
やることは元より同じ。
「ふたりきりであなたのお話が聞きたいわ」
「……僕はね」
優しげに、遠慮がちに男は微笑む。Mariceの手を取り、骨ばった手首に触れさせる。手首に刻まれた深い傷痕に己の魔力の残滓を感じ取り、Mariceは反射的に手を引いた。
(この男)
くすり、男は笑む。
「僕を滅茶苦茶にしてくれた女の子を探してたんだ」
「そう……」
口づけを待つような蠱惑的な笑みを浮かべて、次の瞬間。
Mariceは星ヶ丘マリーナを臨む窓の外へと手を向けた。パチン、と指を鳴らせば、砕けぬはずの強化硝子が粉々に砕けて散る。
静かなバーに悲鳴が上がる。
ひととも天使とも悪魔ともつかぬ、バーに憩うていた人々が逃げ惑う最中、Mariceは悠然と立ち上がる。轟音たてて風の吹き込む窓辺に立ち、今の今までひとの振りをして隠していた黒翼を広げる。
「私もよ」
艶然と笑み、マリーナの光を背に仰向けに空へと飛び込む。
「ねえ、来て」
夜風を翼に浴びて高層階から落ちながら、ベッドに誘うように甘く囁く。
落ちる視界の中、濁った夜空が見えた。空に渦巻く『穴』が見えた。そうして、割れた窓から外へと身を躍らせる男が見えた。
男の背には、男のアーティファクトたる機械翅。蝙蝠の羽のようにも蜘蛛の肢のようにも見える機械翅を広げ、男はMariceに追い縋る。
空中に捕らえようとして叶わず、ホテルの前庭にふわり、二人で降り立つ。
噴水のある夜の前庭を歩いていた人々が驚き逃げ惑う中、歪な翼持つ二人は視線を交わす。
「なんだ、『蜘蛛』か」
二人の沈黙を破ったのは、ひどく不愛想で不機嫌な女の声だった。
「邪魔をしてくれるなよ、自称エクソシスト」
「あぁ?」
逃げ惑う人々の中から現れた黒髪にコートの女は、咥え煙草の唇を不穏に歪ませる。
「こちとら今絶好調に機嫌悪ィんだ、……なんだその女、堕天か」
「僕の『作品』だよ」
「……そうか」
海色の瞳がほんの一瞬、痛ましげに己を見るのを、Mariceは確かに見た。見て、胸が悪くなった。
おそらくは同じ『機関』に属するらしいこの女は、男の所業を知っている。
(どうしてやろうかしら)
思いつく限りの残虐な破滅方法に頭を巡らせる僅かな間に、女は煙草の火の光の尾を闇に引きながら『蜘蛛』と呼ぶ男の傍へと歩み寄った。無言のままに正面に立ち、無言のまま、男の股間に慈悲の欠片もない蹴りを見舞う。
声もなく膝をつき悶絶する男に向け、女はコートの中に隠し持っていた金色の十字架型散弾銃を取り出し躊躇なく撃った。男の身体が跳ねる。
「鳳翔、貴様……!」
跳ねて、何のダメージもなかったかのように立ち上がろうとする男の顎を、
鳳翔 皐月
は爪先で抉るように蹴り上げる。
「見ての通り、ひとにも天使にもきかねえんだなこれが」
もんどりうって倒れる男の胸を踏みつけ、皐月はMariceに背を向けたまま言い放つ。
「そういうわけで私は悪魔退治専門の戦闘要員、自称エクソシスト」
不敵な笑みすら含んだ女の声音に、Mariceは眉を顰め、ふと思い至って嘲笑う。
「仲間割れかしら」
「もし天使と悪魔がいるなら悪魔をぶっとばすし、天使と悪魔が戦ってるなら悪魔をぶっとばす。天使にゃ興味がねえんだよ」
とりあえずの共闘路線だ、と頭を掻く。
「『聖なるショットガン』が堕天に効くか試す気もねえしな」
「その男は仲間でしょう」
仲間、と口にした途端、不快に冷える唇をMariceは歪める。
「知ってるか、堕天。ひとも悪魔になれんだよ。で、悪魔は私の抹殺対象」
「でも貴方の武器は彼には効かない」
「そう、だから」
女の言葉の後を読み取り、Mariceはうっそりと静かに微笑んだ。それはどこまでも悪魔的な、美しく艶やかに彩られた笑み。
「……いいわ。でも、今だけよ」
「無論、今だけだ」
「よ、よせ、やめてくれ、……」
極上の破滅を男にもたらすべく、夢見るようにMariceは男に歩み寄る。
<< もどる
1
2
3
4
5
…
13
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
カオスワールド・プレイ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月21日
参加申し込みの期限
2016年06月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!