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天に開いた『穴』を可視化するアーティファクトには、掛けた者の人格を変える副作用があった。
顔に掛けた『鬼百合のMASK』を隠し、コートのフードを深く被る。
(構わない)
その程度の副作用は、創作の邪魔にはならない。
『鬼百合のMASK』をつけた千早が今宵歩くは寝子島シーサイドタウン駅近辺。
立ち並ぶビルから、けばけばしいほどに色鮮やかなネオンの光が降り注ぐ。一歩路地に入り込めば、覆い被さって来そうなビルとビルの壁の隙間、夜空に暗く紅く渦巻く天の『穴』が見えた。
『鬼百合のMASK』越しに見るその『穴』に、今は堕ちてくる『異界者』の姿は見えない。
興味失せたように顔を俯かせる。路地を吹き抜ける生ぬるい風にコートの裾を翻し、大股に歩く。
無秩序に入り乱れた路地は、入り込めば入り込むほどに混沌さを増す。ネオンの光が眩しいほどに輝いているかと思えば、すぐ傍には掴めそうなほどの濃い闇が蹲り、軒を寄せ合うバーやいかがわしい店のどこかしらからは煙草と酒の匂いが溢れ出る。積み上げられたゴミに交じって転がる酔っ払い、猥雑なネオン看板の脇の扉から絡みあい嬌声あげつつ出てくる男女。
すれ違いざま、その男女の身から到底真面とは思えぬ薬の匂いを嗅いで、千早はちらりと眉を顰める。
薬はいけない。一時は狂気じみて美しい世界を見られるかもしれないが、結局は感覚を鈍らせてしまう。何も作品を創り出せなくなってしまう。
不意に背後のバーの窓が割れた。投げ捨てられたらしい椅子が路地に転がる。店の中で酔客の影が怒号をあげる。
耳に入る罵声を嫌い、路地裏へと道を変える。
暫く歩いて、足を緩める。路地を挟む薄汚れた壁の片側、大量の血が付着している。
色具合から見て、まだ新しい。
血の跡を追う。宙から転がり落ちたか、血痕は上方から下方へと滑り落ちている。尋常ではない傷を負った何者かは壁に手をつきながら立ち上がり、よろめきながら壁伝いに歩き――
壁に反射するネオンの極彩色の下、道を塞いでナニカが転がっている。
とりあえずは人のかたち保ったそれの前に足を止め、
(死体だろうか?)
無感動に瞬く。うつ伏せた身には破れ傷ついた蝙蝠羽。敵対する天使の仕業か、『機関』の誰かの功績か。
靴先に転がし、横臥させる。
血と泥に汚れた紅茶色の長い髪を頬にまとわりつかせた、悪魔にしては温和そうな青年の顔を見下ろす。しゃがんで耳を寄せれば、切れた唇の端から微かな呻きが聞こえた。生きているらしい。
細く開いた悪魔の瞼は、けれどネオンの光に射られてすぐに閉じた。
(どうするか)
『機関』構成員としては捕縛か抹殺が真っ当なのだろうと意識の片隅に思いながら、傷ついて倒れた悪魔をただ観察する。
全身に殴打の跡がある。フツウではない力に撲たれ折れて腫れた腕がある。地面に叩きつけられた際に負った擦り傷も、刃ですらないナニカに刺し貫かれた腹の傷すらある。過去の傷痕が数多残る蝙蝠羽の片方は、引き千切れかけ、だらりと背から垂れ下がっている。
ここまで傷つけられて生きていることが不思議だった。悪魔という存在はかくも頑強なのか。
とは言え、ここまで逃げおおせるのが精一杯だったのだろう。
力尽きて倒れ伏し、後は死を待つばかりか。
死に瀕した悪魔を無表情に見下ろしているうち、夜風に力なく揺れる蝙蝠羽に興味が惹かれた。ひとが持つべくもない、異形の羽。引き千切れかけのそれに手を伸ばす。無造作に、引く。
「ッ、う……」
案外ひとじみた呻き声を漏らし、ひとと同じように顔を引き攣らせる悪魔の羽から手を離す。
(こんな顔で痛がるのか)
心の遠い所で、そう感じた。
痛みを感じはするものの、悪魔は身動ぎもしない。
抵抗する気力もなさそうな悪魔の羽を、傷だらけの身体の線を、絵筆を伝わせるように指先でなぞる。辿り着いたのは血を流す唇端の傷。ひとと同じ色の血を流し、ひとと同じ体温と肌の柔さを持つ悪魔の傷口を爪先で抉るように弄る。
大人しくされるがままだった悪魔の瞼が震え、薄く開いた。道端に投げ出されていた傷だらけの腕がほんの僅か動いて、千早は虫にするように悪魔を弄っていた手を止める。
爪先で新しく開いた傷口が異様な速さで修復されてゆく。体中の傷も、千切れ掛けていた翼すらも。
悪魔が舞っていたのは死ではなく、己が身の再生だったらしい。
(動けるようになったら危険か?)
伺うような視線向けてくる悪魔の瞳を見つめる。
先に視線を外したのは悪魔だった。ゆるりと瞬き、物憂げな息を吐き出す。億劫そうに両腕に力が籠る。足に背に力が籠る。
手助けせずに黙して見守る千早の視線を受け止めながら、悪魔はどうにか身を起こした。そこまでで力尽き、手近な壁に背を預ける。疲れ果てた指先で纏うたジャケットのポケットを探る。投げ出すように引き出した手には、煙草の箱。潰れ掛けた箱の中から吸えそうな一本だけを引き上げ、傷の癒えた唇に咥える。
同じポケットからオイルライターを探し出し、傷ついて無意識のうちに震える指先で火をつけようとしていた悪魔が、ふと小さく首を傾げた。
視線を寄越され、ライターを掴んだ手を伸ばされ、千早は悪魔の仕草に倣うように首を傾げる。手を伸ばせば、怖じることのない動作で悪魔はこちらにライターを寄越した。
受け取ったライターに火を灯し、煙草の先に火をつける。ゆっくりと煙草をふかす悪魔を眺め続けているうち、悪魔はどこか居心地悪そうに身動ぎした。物珍しそうな視線を流してくる悪魔は、こちらを物好きだとでも考えているのだろうか。
煙草が燃え尽きるか尽きぬかの頃、夜闇の帳の向こうにひとの声がした。誰かを探すような会話と喧噪に、千早は悪魔を観察する瞳をもたげる。
我関せずの顔で煙草を手にする悪魔は、もしかすると耳もやられているのかもしれない。
動かない悪魔に手を伸ばす。腕を引き、驚いたように瞬く悪魔の耳元に顔を寄せた瞬間、
「ッ?!」
腹に拳を叩き込まれた。
引き籠りには非日常な、手負いの悪魔が寄越した本気とは思えぬ痛みに、思わず怯む。悪魔の耳元に唇を寄せた格好のまま息を呑む。悪魔の肩口に額を押し付けるように体を丸め腹を抑えたところで、突き放された。
よろめくように悪魔が立ち上がる。気遣うような眼差しを一瞬だけ降らせ、背を向ける。地を蹴ると同時に羽ばたかせた蝙蝠羽は、けれど全快はしていなかったらしい。
路地裏の空へと飛びあがる悪魔の背から、裂けた羽から、紅い血が飛び散る。
夜の空に血を撒いて去る悪魔の背を目だけで追いながら、千早は何となく可笑しくなった。痛む腹を抑えたまま、笑う。
夜空に赤黒く開く、ひとの目には捉えられぬ『穴』向けて、悪魔が飛んで行く。堕ちて来た『穴』から元の世界へは戻れぬことを、彼は知っているのだろうか。あの『穴』は堕ちるだけのものだと知った彼は、この島でどう生きるのだろうか。
千早は瞳を上げる。
大口を開けた空からは、今日も天使や悪魔が堕ちてくる。
(それにどんな意味があるのか)
果たして誰が知るだろう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月21日
参加申し込みの期限
2016年06月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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