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外でお食事
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シーサイドタウンにあるカフェに、
志波 武道
とエリセイとレナートの三人が連れ立って行ったのは、イリヤとロベルトが偶然に会う少し前のことだった。
武道は得ていた前情報の通り『小洒落た』店内を眺めて、前に座る双子の方へ上半身を前のめりにする。
「敵情視察、ミタイナ!」
「はは、うちとは大分中身も客層も違うけどね」
レナートは苦笑した。開店して間もないこの店と、改築しているとは言え大正時代からある店では大分勝手も違う。武道が『敵情視察』を言い訳に、何か別の目的を持って自分たちを誘ったのだと察している彼の声は乾いていた。
武道の前には彼が注文したブラックコーヒーとサンドウィッチが並ぶが、エリセイとレナートの前にはティーカップが二つ。彼らは会話を長引かせるつもりがない。
テーブルを挟んで壁が置かれた事に気づいた武道は、気さくにミルクホールの常連客の話しを出す。レナートは店外で客の情報になる会話するのを「駄目だよ」と断ったが、幾分表情は砕けた。
武道はサンドウィッチを一口「うまぁ!」とでかい感動を見せて——そうしても他の客が気にしない程度に、店内は騒がしかった——、別の話題を出す。
「小さいころどんな子だった? 俺? ほら俺もブラコンでいじって泣かせたりとかテヘ!」
「どうって事ないよ。周りの期待を裏切って申し訳ないけど、双子だからって特別な事もないし」
先ほどから役割分担でもしているかのように、レナートが喋って、エリセイは黙っている。武道は逡巡し、ペーパーナプキン手に取った。
「さて……」
サンドウィッチのソースがついた唇を拭いて改まる。
「単刀直入に聞くけど、言えなかったら普通にお茶飲み続けてくれ。
イリヤ君に対しての二人の言動や反応……ブラコンの域を超えてるよな」
「そう見える?」取りようによってはかなり失礼な質問を、レナートは片眉を上げて冗談めかして流した。
「見える。
それ以外にも、イリヤ君が幼いころの話をしようとすると空気を換えようとする、ベタボレで優しいと思えば威圧し従わせる部分もある。
時折入れ替わってるんだってね、イリヤ君は分かるようだけど。
誰かを特別にはしない。それは兄弟に対しても言えるのか?
子供の成長を見るのが胸が苦しい。普通は『熱くなる』とかだよな。
……康子さんに聞いたんだ、すまない。幼いころに何があったんだ、君たち兄弟に」
詰問を武道は一気に吐き出したが、彼自身まくし立てているつもりはなかった。ただ彼ら兄弟と関わるようになってこれ迄蓄積してきた『気になっていた事』があふれ出ただけだ。
しかし突然ぶちまける形にはなってしまったのは確かで、双子が黙りこくる反応を示したのに、武道は一度やり直した。
「美味しいなコレ」
真面目な話しをすると空気を変えたくなるタチだ。食事に戻り、パセリを咀嚼して、また顔を上げた。
「あ、そうだ……俺の事ブドーってヨンデモイイノヨ? マスカットでも可!」
「——今の」
エリセイが口を開いた。呼び名について話すトーンではない。武道が真面目な顔に戻って首を回した。
午後の光が差し込む窓を背負っている所為か、エリセイの青い目がいつもより暗く見える。それが微笑む表情とは真逆の印象を与え、武道を困惑させた。
「答えを聞いてどうしたい?」
「どう……? 気にかかるというか何というか……」
「答えても良いよ。これ以上叔母さんに迷惑掛けたくない。聞いても黙っていてくれるなら、君はそういう事しなさそ——」
「Заткнись!」
レナートの反応は、周囲の注目を集めてしまう。彼は冷静になろうと息を吐き出して黙ったが、酷く気分を害した顔を覆うように額に手の甲をあて、大きな失敗を自覚した時のように舌打ちした。
「ああそう、今分かった。確かに俺たち『普通に振舞えてない』。君が違和感を覚えたのは当たり前だね。気味が悪かった? 自分の居場所に、生活に、シミがついたみたいに?
得体の知れない人間が怖い思いをさせたなら謝る。謝るからもう関わらないでくれないか。放っておいてくれよ、俺たちは他人に『俺のクソ人生に関わってくれ』なんてヘラヘラ笑って頼んだ覚えはない——!」
声を懸命に低く抑えながら、言葉には激しい怒りを隠さないレナートは、テーブルに紙幣を置いて感情のままエリセイの腕を掴んだ。
「帰るよ」命令に近い強い声で、エリセイは席を立った。
武道が狼狽してそれを追うように立ち上がる。反射的に二人を引きとめようとした手がエリセイに伸びたが、彼を掴む事は出来なかった。
指先を擦りながら、エリセイがくらりと揺れて崩れた。
「リーセ!」
レナートの動きは予知していたように早く、兄を床に横たえはしなかったものの、ひと一人が卒倒しかけたことは周囲にも明らかで、店員が駆けつけてくる。レナートは笑顔と巧みな言葉で休むように引き止める店員を断り店外へ出て行った。武道はレナートが置いた紙幣をひっつかみ、慌てて会計を済ませて彼らを追いかけた。
レナートがエリセイをおぶさっている。
「病院に——」背後から手を貸した武道を一瞥して、レナートは「店に連れて帰る」と眉を吊り上げた。エリセイの様子を伺うと、眠っているようにしか見えない。
「君が余計な事言うからだ!」
当たられても武道にそのつもりはなかったのだが、きっかけをつくったのは確かだと思い、彼らが無事にミルクホールまでたどり着くまで横を歩いた。
客を驚かせないように裏口から入店したが、二階の居住スペースに行くには普通に動けばホールから見えてしまう。レナートに指示されて康子を呼んだが、事務所で倒れている甥を見ても、康子は状況に驚いた様子はなく冷静だった。
手際よく二階へ運ぶとレナートと言葉を交わして、「ごめんね志波さん、迷惑かけたわね」と挨拶までして部屋を出た。
再び重い沈黙が訪れた。
武道はソファに横たわるエリセイと、その隣で床に座り込んでいるレナートを交互に見つめる。康子とレナートの会話に「薬」や「病院」とキーワードを聞いていた。
「これ……病気なのか?」
恐る恐るの質問に、レナートはあっさり頷いた。
「少しほっとけば治る。緊張してたみたいだからいつもより長いだけ。心配しないで、声も聞こえてるし」
兄の額を撫でて「ね」と呼びかける。レナートはそのまま武道を振り返らず、彼をキッチンへ連れて行った。
ダイニングチェアに座らせて、彼の前にコーヒーを出した。
「さっきの店の、飲みかけだったでしょ。悪かったね、まあ俺が淹れた方が美味しい」
視線は合わせないが、義理は果たすとでも言うような行動に、武道はカップを手に取ったが——。
「もしそれに毒でも入ってたらどうする?」
「え?」
レナートは笑い出した。それは明らかに嘲笑だったが、彼が誰を嗤っていたのかは分からない。
「俺たちの母親はそういう事をした。アルコール依存症の治療に使われてる薬をディナーに出した。でも俺とリーセは引っかからなかった。ブロッコリー嫌いだから食ったふりして捨てたんだ、悪い子で良かったよ」
今度こそレナートは武道を見ていたが、青い目がこちらを向いているのは視線だけだ。人間を相手に喋っているとすら感じていない冷たさは、この先どうなっても良いとやけくそになっているだけだった。
「父と浮気相手を首尾よく殺って帰ってきた彼女に、エリセイは『イリヤを病院に連れて行かせて欲しい』と懇願した。銃を向けてでも『イリヤだけは助けてくれ』って。
俺はもうシンプルに——」レナートは息を吸い、鼻で笑った。
「自殺を教唆した。『頼むから一人で死んでくれ』ってお願いしたんだ。願いは聞き届けられた、目の前で」
レナートはいよいよ狂ったような笑顔で、自分のこめかみを人差し指でトントン叩く。
「俺は後悔してないよ。不満はあるけど、こうなるしかなかったんだよ。
父はアホだし、叔母さんには悪いけど——桜子は馬鹿な女だった。あんな両親糞食らえだ。でもリーセは……時々エリセイを止めたがる。彼は母親だけは愛してたから、その人に銃口を向けた事を後悔してるんだ。
だからたまに交換する。どっちがやったかって言ったら、俺の方が酷いのに。リーセは俺は悪くないと思ってるから、レナートをあげるんだ。リーセが欲しいなら一生分あげてもいいんだけど、そこまではいらないみたいね」
レナートは視線をリビングにやった。
「エリセイ、起きたね」
静かに立ち上がって扉を開け、魂などとうになくした不気味な表情で武道に出て行くように示す。
「さあ、もう行ってくれ。イリヤが帰ってくる。
俺とリーセはあの日に全部失ったし、この先なにも持てない。それが親を殺した罰だ、何も要らない、灰になるまでこの茶番を続けられれば良い。
けれどイリヤの優しい兄さんて場所だけはね、どれだけ嘘を重ねても譲れないんだよ」
扉が閉まる瞬間、吐き捨てるような声が背中に響いた。
「弟が大事ならそのくらい判るだろ」
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あとがき
担当マスター:
東安曇
ファンレターはマスターページから!
シナリオにご参加頂き有難う御座いました東安曇です。
頂いたアクションにひとりひとりの個性が出ていらっしゃって、色々と高低差の激しいリアクションが出来上がりました。
お楽しみ頂ければ幸いです。
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担当ゲームマスター
東安曇
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月22日
参加申し込みの期限
2016年06月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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