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寝子島高校
黄色のファレノプシス
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「うーん……」
その日
後木 真央
の心は澄み渡る空とは対照的だった。
(なんだろう、忘れていることがある気がするのだ)
心の中に巣食った靄。
何か自分にとって大切なことを忘れているのか。
それが現実にあったことなのか、それとも夢なのか。
はっきりしない『何か』のせいで、折角の休日もすっきりしない。
靄を振り払いたくて、黄色のリストバンドをはめて寮を飛び出した。
しかし、こんな日は普段行っている食べ物屋さんやスポーツ用品店を覘く気分にもなれない。
「ふおおお!? 真央ちゃん攻撃されているのだ空気攻撃なのだ!?」
「攻撃とはまた斬新な表現だ。いらっしゃい、元気なマドモワゼル」
そのせいだろうか、普段なら絶対入らないような店。
『Herbe d’amour』に真央の足は不思議と吸い寄せられていた。
しかし日焼け止めとハンドクリーム以外化粧品らしきものとは縁遠かった真央にとって、この店の空気は刺激が強すぎたようで。
その結果、無慈悲な涙と鼻水が真央を襲ったのだった。
苦笑しながらも丁重に出迎える店主の由季也の耳に、カランと新たな来客を伝えるベルの音が聞こえてきた。
「あら、想像していたより賑やかなお店なんですね」
綺麗なウェーブが掛かった長く黒い髪に黄色い薔薇の髪飾りを留めた少女が楚々とした動きで店の中に入ってきた。
彼女が一歩踏み出すたびに揺れるのは豊かな髪だけではない。
プリンセスラインのコートからのぞくフリルがあしらわれたスカートもまた風に揺れる花のように翻る。
「麗しいマドモワゼルもようこそ。 うちはいつだって賑やかだよ。香りは雄弁だからね」
「こんにちは、店主さん。私は
宵ヶ咲 メリィ
と申しますの。まだこの島に来たばかりで色々と見て回っているのですけれど……ここは香水屋さんなのでしょうか?」
「ああ、そうだよ」
丁寧にお辞儀をするメリィの横でタオルを鼻に当てながら店内を見渡していた真央も会話に交じる。
「おっちゃん」
その一言が出た瞬間、由季也ががっくり肩を落としたのは火を見るより明らかだった。
「えっと、お兄さん! この店の店長さんなのだ? それなら真央ちゃんちょっと相談に乗ってほしいのだ」
「そうそう、お兄さんはここの店長で高松由季也というんだ。 お客様、もといマドモワゼルの相談とあらば喜んで」
そんな解りやすい由季也の様子を見たメリィと真央は顔を見合わせて、くすりと笑い合う。
「真央ちゃん、寝子高の陸上部なのだ。学校には香水とかつけていけないのだ。
でも、寮で、独りでいる分にはつけてもいいかなって思ったのだ。もやもやした気持ちをどうにかしたいのだ。
だから気分がさっぱりする匂いがあったら教えてほしいのだ」
「私も折角ですから店長さんに香水を見立てて欲しいです。何かお勧めのものはありますか?」
由季也は二人の話をカウンター越しにうんうん頷きながら耳を傾け、暫しじっと二人を見つめる。
「よし、わかった。それじゃあ二人とも少し待っていてくれるかな?」
二人の少女が頷くと由季也は数多の香水瓶が並ぶカウンター奥の棚から二本の香水瓶を選び取ってカウンターの上に置く。
「まず真央ちゃんにはこれ」
由季也が真央に示したのは南の島を思わせる綺麗な青い海と貝殻の落ちている砂浜が描かれたラベルの張られた小瓶。
その小瓶の中身をテスターに少し噴きつけ、真央に渡す。
「……海の匂いなのだ」
現実の海の匂いを真央はよく知っている。
この香は磯の香りがするそれとは全然違う。
それなのに、その爽やかな香りは南方の島、青い海の記憶を呼び起こす。
白いさざ波が、海風が、心に巣食っていた靄を押し流し、吹き飛ばしていく。
「さっぱりした匂いっていうとまずは柑橘系が挙がるんだけど、柑橘系の香りって猫が嫌う場合が多いんだ。香料によっては毒にもなるからね。それだと真央ちゃんは困るだろう? だからマリンノートを選んでみた。
で、メリィちゃんはこっち」
そういってメリィに示した小瓶には空中独楽を手にした悪魔の仮面をつけた道化師が描かれたラベルが貼ってある。
テスターを渡されたメリィがそれを軽く振って香りを飛ばせば、甘く、そして仄かにスパイシーな香りがメリィの鼻を擽った。
「これは……花と果物、だけではなくって、刺激的な香りもするような」
「そうだね、これはまずは花の香りから始まり熟れた果物の香りに変わって、最後にはシナモンやクローブ、カルダモンやジンジャーといった香りが残るように調香されているんだ」
「長く楽しめそうな香りですね。でもどうしてこのラベルなのかしら」
「ディアボロって知ってるかい?」
「ええ、ここに描かれている空中独楽のことですよね」
「そう。その語源は悪魔って意味なんだけど。姿を色々変えて人間を翻弄する悪魔とこの香水、なんだか似ているだろう?」
メリィが由季也の説明に成程、と頷いていると真央がその横で財布を握りしめオロオロしている。
「お兄さん、どうしよう。真央ちゃんこれ欲しいんだけど、あのあの」
真央の財布事情はなかなかに厳しい。
香水の相場も知らない真央だったが、店の雰囲気からしても安い買い物ではないということはわかる。
「安心して、真央ちゃん。うちはね、量り売りもできるんだ。だから真央ちゃんが無理なく出せる分の量をお渡ししよう」
「!!」
真央の表情がぱぁっと明るくなる。
寮費や食費、部活に必要な分のお金は残して真央が財布から出した金額に合わせて由季也は香水を小瓶から小さな携帯用アロマディフューザーに移して手渡した。
メリィには小瓶を割れないよう梱包して紙袋に入れて渡す。
「お兄さんありがとなのだ! 早速寮でつけてみるのだ」
満面の笑みを浮かべた真央は店を出ると自慢の足で駆け出していく。
声をかけるタイミングを見失ったメリィは少しだけ残念そうに小さくため息をついたが、すぐに気を取り直して微笑みを浮かべる。
(同じ高校のようですし、お名前や部活も分かりましたもの。きっとまた会えるでしょう)
そう考えて由季也に向き直ると深々と頭を下げる。
「今日は素敵な香りをどうもありがとうございました。ところで店長さん、一つ伺ってもよろしいですか?」
「うん? なんだい」
「彼女……真央さんの香りを選んだ理由を仰ったとき気になったのですが……。何故猫が嫌ったり、毒になるような香りは困るって解ったのでしょう?」
「彼女は猫好きだからね」
「あら、それは答えになっていませんね」
含みのある微笑をたたえてじっとアメジストの瞳を向けてくるメリィに由季也は苦笑して肩を竦める。
「俺が魔法使いだから、って言ったら納得してくれるかな? マドモワゼル」
「そうですね、またここに遊びに来ても良いのなら考えましょう」
「大歓迎さ。だから納得いくまで考えておくれ」
由季也の答えにメリィは満足げに笑みを深くする。
友達作りにはあと一歩及ばずだったが、興味深い店と縁が出来たのだ。
黄色いものは確かに小さな幸福を運んできてくれたのかもしれない。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
本条小鹿
シナリオタイプ(らっポ)
イエローシナリオ(50)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月20日
参加申し込みの期限
2016年06月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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