1月下旬。
おおよその人達はお正月気分もようやく抜けきったであろう、そんな頃。
寝子島ではある噂がまことしやかに囁かれていた。
その噂とは
「黄色いものが福を呼ぶ」
黄色いものを持ち歩いたり、身に着けた人にはちょっと良いことが起こるらしい。
宝くじで百万円当たった、というような幸せではなく、
機嫌の良いお母さんから臨時のお小遣いを貰った。
鉛筆を転がした運任せのテストで高得点をとった。
いつも褒めない上司に褒められた。
片想いの人に声をかけて貰えた。
そんなちょっとした、身近にありそうな幸せに恵まれるという噂だ。
決して有り得なくはなさそうな内容故か、信じる人も多く、寝子島では黄色が今年のトレンドカラーとなりつつあった。
それと時を同じくしてシーサイドタウンにある香水専門店『Herbe d’amour』。
店主である高松 由季也はカウンターで一人の男と談笑していた。
「それにしても驚いた。お前もこの島に来たとはな。 俺が恋しくて追いかけてきたか?」
「馬鹿言うな、美女の尻は追いかけてもお前の尻なんて追いかけて堪るか。 こっちでショーもあるし、暫く日本絡みの仕事が多いんだよ。 それなら海があって空気がうまくて東京にそこそこ近い場所が良いって探したら、この島が丁度良かっただけだ」
軽口を叩く由季也にむすっとした顔で返す男の名前は光井 蘭。
由季也がフランスに居た頃からの友人で、日本人の平均よりかなり高めの身長と彫りの深い顔だち、そして日に焼けた小麦色の肌を持つ美丈夫だ。
そして整った顔だちや体形以外でも蘭には目を惹く特徴があった。
それは服装である。
キャラメルブラウンのコートの下に派手な黄色いシャツを覗かせ、耳には黄水晶のピアス、背負っているボディバッグもまた鮮やかなカナリアイエロー。
黄色一色ではないが、黄色を中心に考えられているような、自然と黄色に目が行くコーディネイトだ。
「相変わらず黄色が好きなんだな、お前」
「黄色は良いぞ。明るく、華やかで、見ているだけで幸せにしてくれる」
恍惚とした表情を浮かべて答える蘭に、由季也は苦笑しながらカウンターに頬杖をついた。
「ああ、それで例のモノな。 明日の夜には用意できるわ。 だから明日の夜また店に来てくれよ」
「わかった。 数日休みをとっていてな、折角だからのんびりこの島中を散歩するつもりなんだ」
「そりゃあ良い。 島の端から端まで存分に楽しんでこいよ。 ……ところで蘭」
「ん?」
「最近、変わったことあったか?」
「いいや?」
由季也の唐突な問いに対して蘭はきょとんとした顔をする。
どこかあどけないその表情に由季也は笑って肩を竦めた。
「気にしないでくれ、なんとなくお前の匂いが少し変わった気がしただけさ。 それじゃあ……良い休暇を」
寝子島に、小さな幸福が飛んできました。
こんにちは、お久しぶりです。
はじめての方ははじめまして。
本条 小鹿と申します。
今回は4周年記念にあわせて「黄色」をテーマにしたちょっと不思議な日常シナリオをご用意しました。
お話は1月下旬のことになります。
平日でも土日でも曜日や時間は問いません。
舞台は寝子島全エリアどこでも大丈夫です。
参加者様方が「黄色いものが福を呼ぶ」噂を知ってか知らずか、黄色い物(服飾品や小物、花など)を身に着けたり、持って家の外に出ていると、小さな幸福が訪れます。
家の外といっても屋外限定ではありません。
学校や職場、お店や図書館といったその中やそこに行くまでの道中で他人と接触できそうな場所なら問題ありません。
【大切】
アクションにはどんな黄色い物を身に着けて(持って)いるか、どんな幸せなことがおきるといいか、幸せが訪れたときのリアクションの3点を必ずお書き下さい。
幸せの内容に関しては具体的でなくても構いません。
キャラクターの目的・理由の部分に書いてくださってもOKです。
【登場可能NPC】
申し訳ありませんが今回は以下のメンバーに絞らせていただきます。
七夜 あおい・海原 茂・剣崎 エレナ・三宅 ゆり・青木 慎之助
寝子高1年担当教諭
高松 由季也・光井 蘭
【知らなくても大丈夫なPL情報】
・光井 蘭
高松由季也がフランスで出会った友人
黄色大好きファッションデザイナーの34歳
無自覚のもれいびで、ろっこんは「黄色いものを見て幸せを感じたとき、その黄色いものの所有者に小さな幸福を授けられる」というもの
・高松 由季也
シーサイドタウンにある香水専門店『Herbe d’amour』の店主
モノクルをかけたちょっと不思議なオッサンって言わないで男盛りの36歳
もれいびらしいがろっこんの内容は不明
【その他】
本条のシナリオにおけるアクションに関する注意事項等はマスターページも参照していただけると助かります。