アモーレ４アモーレ！｜リアクション

アモーレ４アモーレ！

　ブーケを受け取ったあおいに幸福が訪れるのか――彼女は椅子に腰かけて、幸福を待つ。
「あの時に繋がったのか……？」
　疑問を口にした八神修の言葉へと、日和は首を傾ぐ。
　夢でないことはないかと、椅子に腰かけた真白のドレスのあおいへと視線を落とした。

「きひひ」

　何処から聴こえた声に日和がきょろりと周囲を見回した。突然局地手に巻き起こった竜巻。
　周囲の花が舞いあがり、楽しげな骨削瓢の『フツウを破壊する』ような笑みが聴こえた。
　魔王ホネソギによる『お祝い』に、背を押される様にあおいが地面をとん、と踏み締める。
　かつり、こつりと音を立て驚いた様に修の胸に収まったあおいが「えへへ、転んじゃった」と困った様に首を傾いだ。
「あおい」
「すごい風だね？」
　またも吹き荒れたのは瓢の起こす風。
　言いたい事は沢山あるが、敢えて『黙って』見つめてやるんだよ、と言わんばかりの彼がい草をメインに使用した奇妙なデザインの椅子から立ち上がる。
　ぶらりと袖を揺らしてあちらこちらから吹き荒れる風の中、踊る様に、独楽の様にぐるんぐるんと回って見せた。
「きゃっ」
　遠巻きに、聴こえたのは萌の怯えた声。ユウくん、とひしと抱きつく彼女の姿に瓢が「熱いじゃないかァ！」と声を上げた。

「あっしは恋愛フラグに反応して嵐を起こすもの。
　結婚式で、ここにある全てがラブで――店の屋号も『アモーレ』なら、あっしのろっこんも大サービス、出したい放題だねぇ」

　これは決して邪魔ではない。風に吹かれたはつなが「うひ～」と声を上げて厨房へと避難して行く。
　なんだなんだと顔を出した悪魔、否、アキヒロは驚いた様に台風と舞いあがる花に瞬いた。

「あっしは宛ら眠り姫の誕生祝いに来た『１３人目の魔女』でねぇ」
　スリーピング・ビューティーに出てくる１３人目の招かれざる魔女。
　宴にひとつ、ハプニングを起こす彼女を自称した瓢は楽しげに袖をぶらりぶらりとぶら下げた。
「王女は１５歳になると、紡ぎ車の錘が指に刺さって死ぬなどととんでもない！
　あっしが起こすのは最上の喜劇なんだよぃ。破壊・混乱・狂乱、踊り狂って忘れるも一興じゃないかねぇ！」
　くつくつと咽喉を鳴らす。不遜な彼はひひ、と笑みを零し、『ラブ』が混乱に陥る様子を楽しいのだと踊る様に跳ね上がる。
　起きた風に舞い踊ったヴェール。押さえるあおいが瞬き、慌てた様に尚輝の手を引いて避難をする時子の頭上に花が注ぐ。
「宛ら、花の雨だねぃ」
　楽しくて堪らない。可笑しくて堪らない。その気持ちを共有しようと彼は嵐を巻き起こす。

「ラブだの愛だのよりらっかみ！　４周年を祝いなさいな。
　言ってる意味が分からない？　安心しな、あっしも言わされてるんだ」

　――メタファー上等。さあ、もっと、愛と嵐で混沌を満たそうではないか！