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眠れない夜に <冬>
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吹き付ける北風に色素の薄い茶の眼を細めれば、柔和な目元に笑い皺が刻まれた。
見上げる星空に白い息を吐き出し、革手袋に包まれた手でコートの襟を立てる。
マフラーに整えた顎髭のある口元を埋めた途端、己の呼気に混ざる酒精の匂いに気付いて、
楾 龍一郎
は僅かに苦い笑みを零した。
星ヶ丘で営むシガーバー&カフェ『Wald Mond』は今日が定休日、たまにはいいかと日暮れ後に街へ出た。居住する星ヶ丘で一軒、シーサイドタウン駅前で一軒、酔いはしないまでも気分が良いまま夜の街をのんびりと歩き、キャットロードでも一軒。いずれはフルマラソンに出たいと思う程度には健脚の足が向くまま気の向くまま、居酒屋の勉強も兼ねて梯子酒を愉しんで、辿り着いたは旧市街。
駅前ロータリーを過ぎ、小さな炎のような花を咲かせる紅山茶花の生垣の路地を潜り、中天を過ぎて傾く月を供に歩く。
ぽつり、雪の塊のように地面に落ちた街灯の光の輪に踏み込みつつ、何気なく視線を上げれば、路地の果て、古びた居酒屋が見えた。
『やきとり ハナ』。
二三ヶ月に一度は訪れる店を前にして、思わず頬が緩んだ。
けれど、店の奥の電気は灯っているものの、店前の電光看板は消え、暖簾は仕舞われている。
(無理かな)
今日はここを最後にしようと思っていた。
暖簾の下ろされた店の前、龍一郎は少しの間迷って立ち尽くす。
(……せっかく来たから、)
挨拶だけでも、と決め、縄暖簾の向こうの格子戸に手を掛ける。鍵も掛かっていない引き戸はあっけなく開いた。
ふわりと流れ出す温かな空気と酒の匂いに細めた眼に映ったのは、カウンターでひとり手酌する女将の姿。
「あら、楾さん」
「おばんです」
物静かな礼をひとつする星ヶ丘の紳士に、旧市街の居酒屋の女将は親し気に笑う。
「ごめんなさいね、炭火落としちゃったの」
「いえ、今日はご挨拶だけと思いまして……また出直します」
「そうなの? でも、もしお時間許すようなら、少し付き合ってくれない? お代の頂戴できないものばかりしか出せないけれど」
言いながらいそいそとカウンターに回り、時間外のお客の分の猪口を取り出す女将の誘いを断るに断れず、龍一郎はうなじに結った黒髪を揺らして小さく頭を下げる。
カラリと戸を閉め、コートのポケットに革手袋を仕舞う。マフラーを外し、壁の衣紋掛けにコートとまとめて掛ける。
「じゃあ、一杯だけ」
「はい、一杯だけ」
悪戯っぽく笑って椅子に座り直す女将の傍らに着く。
「最近はめっきり寒くなりましたね」
「そうねえ」
余り物だと言う鰹節と葱と生姜をこれでもかと掛けた揚げ出し豆腐と胡瓜の糠漬けをつまみに、喉と胸を焼くほど熱い熱燗を一杯。
ここ最近の寒さの話に始まり、この間のお正月の参道商店街の盛り上がり、
「このあたりは本当に賑やかだったわねえ。楾さんのお住まいのあたりはどうだった?」
「僕はお正月はずっと家にいましたね……人混みはあまり好きではなくて」
本土で有名らしい造り酒屋の新酒の出来、漁場にあがる魚の種類と量。とりとめない雑談を交わしつつ、龍一郎は女将の猪口が空くたびに酒を注ぐ。
「まあまあ、ありがとうねえ」
「そういえばこの間来た時は、女将さん、風邪をひかれていたとの事で」
「あの時は息子がひとりで店番だったけれど、……あの子、楾さんにご迷惑お掛けしなかった?」
女将のあまりにも真剣な面持ちに思わず微笑み、龍一郎は首を横に振る。
「昔の話を聞かれたりしましたね……」
「ああ、あらあら」
「おかげで、たまには昔を思い出すのも悪くはないな、なんて思ったりしました」
「そう、それなら良かった……」
息子が粗相をしてはいまいかと未だに心配をしては胸を撫で下ろす女将に穏やかに微笑みかけてから、
「おっと……」
龍一郎ははたと気付いて瞬いた。
「何だか僕の話ばかりになりそうだ」
「いいのいいの、お付き合いしてもらってるんだから」
「いえいえ」
龍一郎は大柄な背を正す。どれだけ酒が入ってもどこまでも温厚に礼儀正しく、
「そういえばこの店、どれぐらい前からやられてるんですか?」
もしよければ、と女将の話を請う。
「バーのマスターなんてやってるものですから、人の話を聞くのは得意な方だと思いますよ」
言ってから、自分で自分の言葉を恥じた。目の端だけをほんの僅かの間、仄かに朱くする。
「……なんて、思い上がりかもしれませんけれど」
人の話を聞くのが嫌いではなかった。長く居酒屋を営んでいるらしい女将の話を色々と聞かせてもらうのも悪くないと、そう思った。
聞き上手な紳士に水を向けられるまま、女将は嬉しそうに頷く。
「この店はね、夫と一緒に始めたの。もう四十年も前になるかしら……」
普段聞き役に徹することの多い女将の話は、例えば森の月のように思慮深く物静かな聞き手を得た今晩ばかりは長くなりそうだ――
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月02日
参加申し込みの期限
2016年06月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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