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眠れない夜に <冬>
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窓の向こう、星ヶ丘マリーナの夜景が煌いている。
「良い部屋ですね」
数室あるベッドルームや寝室毎のバスルーム、ケータリングサービスも可能なアイランドキッチンのあるリビング。ホテル最上階の一室は、一室とは言えほとんど一軒の邸と同等の施設となっている。
足首まで埋まりそうな絨毯が敷かれたリビングのソファに身を沈め、美咲紀は天井を飾るシャンデリアを仰いで切ない溜息を吐いた。
最上階のここは、とてもとてもいい部屋だと思う。
「それより私、お腹が空いたのです」
ここに来るまでチョコレートで誤魔化してきたけれど、もうそろそろ我慢も限界。
「クラブハウスサンドイッチとフィレ肉ステーキ、温野菜のサラダ、デザートはケーキという所ですかね」
窓からの夜景を眺めながらネクタイを緩める修に言う。
「夜景見ながら食べると美味しいですよ」
言い募る。
「……深夜メニューだがルームサービスにするか」
「わあ、やったあ!」
くすりと笑いフロント直通の電話機へと向かう修の後ろで、美咲紀は諸手を挙げて無邪気な快哉を叫ぶ。
程なくして運ばれてきた食事を夜景の見える窓辺のテーブルにセットして貰えば、日付が変わった後のディナーが始まる。
「夜景が美しいな」
「こういうゆったりとした時間も必要ですねぇ」
温かいものは温かいまま、冷たいものは冷たいままに供される食事を楽しみながら、ふたりは和やかな笑みと未だ耳に残る楽曲について会話を交わす。
「ベートーベンの曲は良いですねぇ」
「日本に来るのは珍しくてさ、どうしても聴きたかったんだ」
指揮も素晴らしかった、と修は心と身体に残る余韻を楽しむ。
「前プロの序曲も素晴らしかった」
「えーと、……」
サンドイッチを口に運びながら、美咲紀はプログラムの始めを思い出す。
「『レオノーレ』序曲、ですか?」
「そう。元々はオペラの序曲なんだ」
テーブルに飾られた花にキャンドルの仄かな光が揺れる。
「ベートーベンが唯一完成させたオペラ、『フィデリオ』」
「『レオノーレ』じゃないのです?」
窓の向こうには中天に差し掛かろうとする月やマリーナの光が闇の海に煌く光を投げかけている。
「ヒロインが『レオノーレ』、ヒロイン男装時の名が『フィデリオ』。男装したヒロインが牢獄に繋がれた夫を助けに行く物語だな」
「素敵ですねぇ」
「今度、観に行ってみるか?」
同好の士が出来そうな予感に目を輝かせる修に対し、美咲紀はちよっぴり申し訳なさそうに黒い眼を伏せる。
「残念ながらオペラは言葉がわかりません」
「あー……頑張れ」
爽やかに言ってのける秀才に、勉強はどちらかと言わずとも苦手な美咲紀は唇を尖らせた。修にもちょくちょく勉強を見て貰ってはいるが、それでも苦手なものは変わらない。
「予め物語を知っておけば何とかなるさ」
何なら原作を貸そうか、といかにも楽しげな読書家の煌く瞳から視線を逸らし、美咲紀は窓の外の夜景を見つめる。
「最近色々と事件も多くて、このゆとりを忘れそうになっていましたですよ」
しみじみと話も逸らす。
「リフレッシュできたので明日からまたアレコレ頑張れそうです」
「それは良かった」
オペラの勉強について突っ込みそうになった言葉を柔らかな笑みに変え、修はケーキの最後のひと欠けを口にする。紅茶で口直しをして、ディナーを終える。
「ごちそうさまでした」
「美味しかったのです」
食事の世話をしてくれた係りの者に皿を下げて貰う。熟練の手が見る間に机を片付け、丁寧な礼ひとつを残して部屋を去れば、高級ホテルの最上階の部屋に残るは男女ふたりだけ。
満足な笑みを唇に、女はソファへと再び身を沈める。
静かに男が立ち上がり、部屋の隅の衣装掛けから鞄を持ち出す。空いたテーブルに広げたは、分厚い問題集。
「……シュー君」
「ん、なんだ?」
「クラシックコンサートに行ったのに何故参考書なんか持っているのですか」
「何故って、食後の勉強だ」
「しかも紙の本ですよ。重くないんですか」
正装のままソファにうつ伏せに転がり、駄々をこねるように手足をばたばたとさせる美咲紀を眼の端にとらえつつ、修は問題を解き始める。
「コンサートで聞いた心洗われる曲に浸って余韻を楽しむとかしてもいいんですよ?」
ふたりで、と口の中で付け足し、美咲紀はその一言を誤魔化すように言葉を重ねる。
「ベートーベンの曲は良いですねぇ」
「そうだな」
美咲紀の言葉に卒なく応えながらも、修の手は止まらない。
「シュー君は、呼吸をするように勉強するのですね」
「面白い事を言うな」
小さな笑みが零れると同時、問題を解く手が止まった。
「腹ごなしみたいなものさ」
テーブルから修に手招きされ、うっかりホイホイと近寄ったところで、
「英語だが、参考書なら貸せるから美咲紀もどうだ?」
無邪気な笑顔を向けられた。問題集はテーブルの上の分厚い一冊だけではないらしい。
目眩さえ覚えて、美咲紀はテーブルに両手をついてよりかかった。努力家の彼が己の体力のなさを嫌い、日々のランニングで体力増強に励んでいることは知っている。ランニングだけではなく、常々持ち歩く重たい参考書も、密かに体力増強を生んでいるのではないだろうか。
「遊びに行った日も勉強はキッチリこなすよ」
よろよろと向かいの椅子に座り、傍観の構えに入る美咲紀を責めもせず、修は再び黙々と解答に取り掛かる。
「それがあるから思い切り遊べるんだ」
「そんなものですか」
共に正装でクラシックコンサートに赴き、夜更けのホテルで同じ時間を過ごす友人の怜悧な横顔を、美咲紀は見つめる。聡い友人に気取られぬよう、そっと息を零す。
「だからどんな問題出てきてもダイジョブなのですけれども」
言葉に紛らわせた溜息は、けれど矢張り気付かれてしまった。亜麻色の髪を揺らし、修が睫毛をしばたたく。真っ直ぐに己を見、淡く微笑む。それに思わず見惚れて、見惚れたことに今度こそ気付かれぬように笑み返して、
「小腹が空いたって顔してるぞ」
鞄から取り出したクッキーを手渡された。
煌く夜景を傍らに、美咲紀は微笑む。
「もう……本当にシュー君はシュー君ですねぇ」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月02日
参加申し込みの期限
2016年06月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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