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MFS! ~あるいは全ての表現者に捧ぐ、夜半過ぎのTVショウ
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こつ。こつ。こつ。革の靴底がコンクリートへ鳴らす足音が、静謐な夜へと染み入ります。
まるで喪服のような真っ黒のスーツを着込み、かっちりとして几帳面を絵に描いたような、それでいて落ち窪んだ目とその下にくっきりと張り付いたクマがやけに不健康な印象を与える、奇妙なサラリーマンでした。痩せぎすな男は片腕に何やら書類の束を抱え、道行く人に歩み寄ってはその中から薄っぺらい一枚の紙を取り出し、手渡しています。
「人の運命は、その全てが、あらかじめ定められている」
新出府 譲は、そんな男や訝しげな通行人たちを尻目に、視聴者へ語りかけます。
「なーんて、まあ良く言うよな? 物事がうまくいかないことへの言い訳だったり、現実的でない夢を諦めさせるための辛辣な方便であったり。はたまた、ロクでもない人生への気の早い諦めか……誰にも、わかりゃしないってのにな。そいつがただの偶然か、最初から決まり切った結果だったのかなんて、誰にもさ」
近づいてきたサラリーマンから、新出府もまた一枚の紙切れを受け取り、まじまじとそれを見つめて。
「結局のところ、俺たちは神さまじゃない。お前さんたちはもちろん、俺だってそうさ。当の神さまですら、知りやしないかもな? だから俺たちは、そいつが何であれ、粛々と受け入れるしかない。受け入れて、乗り越えていくしかない……ああ、しかし、勘違いしないでくれよ? 世知辛いが、何も世の中全部が全部、どうにもならないことばかりだって言いたいわけじゃない」
書類をびり、びりりと四つに破いてしまうと、不意に吹いた風に任せて、放り捨てました。
「付け入るスキはある、ってことさ」
『戦慄! 謎のサラリーマンと、恐怖の死亡申告書!』(1)
恋人たちにとって、死とはさほどに恐れるものでは無かったことでしょう。
「死亡、申告書?」
「なあ君、これって何の冗談……」
城山 水樹
が怪訝そうに首を傾げ、
ヒュー・ヒューバート
が尋ねた問いの答えを受け取る前に、
「では……確かに、お渡ししましたので……」
まるでその身なりがそうさせるかのように、お役所仕事を定時に切り上げるかのように。黒いサラリーマンはすたすたと、足早に歩き去っていってしまいました。
ぽかんとして顔を見合わせたふたりの手の中に、紙切れは二枚。
「悪趣味だなぁ。何て書いてあるんだ?」
「私たちの名前と……『死因:通り魔の襲撃。刺し傷及び切り傷による失血死』。気味が悪いわね」
とは言いながらも。
恋は、人を強気にさせます。互いのぬくもりに触れていたなら、たとえどんな障害が立ちはだかろうと、一緒に乗り越えていける。そんな風に感じさせてくれるものです。
「何てことは無いよ。ただのイタズラさ。さあ、デートの続きをしよう」
「……そう。そうよね」
紙切れを手近なゴミ箱へ投げ入れると、ふたりは穏やかな時間を再開します。
絡めた指先。寄り添う胸のあたたかさ。慈しむ眼差しの優しさ。水樹の思う幸福が集約されたような、そんな素敵な一日でした。
「さ、次はあそこの店を覗いてみようか。君のお気に入りの、あの店だよ」
カメラマンである恋人の、いつもは世界そのものを見つめて類稀な一瞬一瞬を切り取る、そんな鋭敏な感覚に費やすための薄墨色の瞳が、今はたったひとり。水樹だけを見つめて、眩しそうに細められています。
「ええ、行きましょ。今日は絶対、あのケーキを食べるって決めてたんだから♪」
きゅ、と固く繋いだ手。指と指の間から、彼の愛情が注ぎ込まれてくるような、そんな感覚さえ覚えます。今、水樹にとっては目の前の彼、ヒューこそがその全てであって、道行く人々の心地良い喧噪や、ゆるやかな午後の晴天や、あの店のケーキの何とも言えない美味しさですら、添え物に過ぎないような気がします。
彼がいれば。何だってできる。一緒に、何だって乗り越えていける。そんな気がしてくるのです。
ちらと思い出す、あの紙切れに記された戯言だって……きっとただの、何てことの無いイタズラ。彼がいれば、心配することなんて何も無いんだから。水樹はますます、彼へぴたりと身体を寄せ、そのぬくもりを堪能します。
休日の今日、繁華街のメインストリートは歩行者天国が催されていて、多くの人々が気持ちの良い青空を楽しんでいます。中にはもちろんたくさんの恋人たちもいて、抱き合ったり、露店で売っている飲み物を手に談笑したり、人目はばからずキスをしたり。水樹はそんな様子を微笑ましく眺めつつ、自分たちもその中へと溶け込むべく、繋いだ恋人の手を引いて歩きます。
「何か飲む?」
「ん、いい」
お店へ着けば、ケーキと一緒に、あのコーヒーの絶妙な味わいを楽しめるでしょう。今はただ、彼と一緒に、ゆっくりと歩くことを楽しみたい。雑踏に紛れて、周囲の恋人たちと同じように。何の変哲もない、ありふれたこの一日を。ただ、彼と一緒に……。
「……ふふ。幸せね」
「ああ……そうだね。とても……」
ぽかぽかとした陽気に、寄り添う多幸感に、どこかふたり、ぼんやりとして。
どん、という鈍い音と、遠くから届く金切声に気付くのが、少し遅れました。
「……? 何だろう、悲鳴みたいな……」
握った手に彼の力強さがこもり、水樹は、急速に胸がざわつくのを感じて、
「ヒュー……? これ、何が……」
「分からない。人ごみの向こうで……何だ?」
やかましくうなるエンジン音が、獣の咆哮めいて轟き。どん、どん、どん……しきりに響いているのが、往来の人々を次々に跳ね飛ばす音だと、瞬間、ようやくにして気がついて。
「…………ああ……」
水樹ははっきりと、思い出していました。脳裏へと焼き付いた、あの薄っぺらい紙切れに書かれていた一文を。ふたつの名前を。
跳ね飛んだ赤い飛沫に汚れた車から降り立った男がまるで正気ではないことに、ヒューはすぐにも気付きました。
「あ……」
声を発する間もなく。男はきらとまぶしく光を返すナイフを、たまたま近くにいた親子連れの母親、その白い喉元へさくりと突き刺し。次いで父親の腹部を、その次にふたりの子どもたちの背中と胸をそれぞれに刺すと、茫然と見つめる中年の男へ大股に歩み寄って首筋を斬り裂き、若い女性のふたり連れの胸を次々に刺しました。
赤。周囲は瞬く間に赤黒く染まり、遅れて上がった悲鳴はまるで、光が音を置き去りにするかのよう。
「っ、水樹……!」
恋人の返事は無く。彼女は蒼白で、金縛りのように小刻みに震えるまま一歩も動けず、硬直するばかり。
男はやみくもに突き刺し、斬りつけ、蹴り倒しては刺し、振り回して。そのたび、目に鮮やかな赤が散って。きっと、目的など何も無いのでしょう。正気を失い気の済むまで、止まることはないのでしょう。
ふと。目が合いました。グレイの瞳と、男の血走って赤い瞳が交錯した瞬間に、ヒューは確信しました。悟りました。男がきっと、そうするであろうことを。見定められたことを。
「水樹!! 逃げるんだ、すぐに……」
「あ。う、あ……あ……」
かたかたと揺れる唇、こぼれ落ちる涙。ぴくりとも動けずに、恋人はただ、救いを求めて彼を見返し。
それはヒューにとって、その場で唯一取ることのできた、最善の行動だったのでしょう。ただひとつ、彼に許された、愛情表現であったとも言えるかもしれません。
「…………い」
「愛してる。水樹」
恋人の前に立ちはだかり、両手を広げ。無策に、ただ、身体を投げ出して。刃がするりと内側へ入り込む感触は熱く、鋭く、それでも彼は立ち尽くしたままに、幾度となく繰り返される責め苦を受け入れました。
「いやァぁぁぁぁぁああああああッ!!」
逃げろ。恋人は確かに、そう言ったように思います。最後に……彼はもう、ぴくりとも動きません。数十か所に刺し傷を刻まれていく間、彼は最後まで、膝を折ることはありませんでした。
「そんな、嘘、ウソ、嫌よ……イヤ、冗談でしょう? こんなの……ねえ、ヒュー? …………ウソよォッ、こんなの!!」
水樹の腕の中、冷たくなっていく身体は既に力なく、半ばほど開いたまぶたの向こう、瞳は水樹を見てはいません。
「……言ってよ……冗談、って。嘘だよって…………こんな、嘘……お願い、ヒュー、お願いだから…………、っ」
ずぶりと、背中へ熱い感覚。恋人が受けた苦しみを、今から自分も受けることになるのだと、水樹はぼんやりと自覚します。
ずぶ、ずぶり。ずぶり。ずぶ、と。
やがて、痛みも熱さも感じなくなってきた頃。ようやくにして、男はどこかへ立ち去っていきました。別の誰かを見定めたのか、あるいは駆けつけた警察が取り押さえて引き剥がされたのか。水樹にはもう、分かりません。
分かるのは、ただのひとつ。最後の瞬間まで、恋人が、側にいてくれること。
残った力の全てを絞り尽くし、赤くぬるつく唇を、恋人のそれへと押し当てて。
「…………一緒に……いこうね。ふたり……いっしょ…………」
まぶたを伏せた水樹の頬は、薄い微笑みに彩られていました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
81人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月23日
参加申し込みの期限
2016年07月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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