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秘密にまつわるエトセトラ
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秘密の待ち合わせ
新江 天懸
は、待ち合わせ場所にやって来た姉の姿を見て、すぐに的確な言葉を見出せなかった。
「……おいおい、その恰好」
バッティングセンターに行きたいという誘いは姉のほうからだった。それだというのに姉の恰好は普段着。身動きしづらい厚手のコートにミニスカートという出で立ちだ。
「まずは挨拶から始めるのが日本の礼儀でしょう」
「……また、人間の実験ってやつかよ姉ちゃん」
「ふふ。そうかもね」
姉、
大天使 天吏
は不適に笑う。
天懸がこの島に来てから姉と再会したのはつい先月、彼が
誕生日のとき
だった。
ふたりはクリスマス前のシーサイドタウンを歩き、喫茶店で小さなケーキを食べた。周りから見れば、姉弟よりも恋人同士に映ったかもしれない。
別れ際、天懸は、全部演技だろ、と言った。天吏は、イエスノーで答えるかわりに、実験しているだけよ、と言った。
「最近は山歩きが趣味っていうキャラクターで実験中なのよ。体を動かすのが好きなら、フツウの日でもバッティングセンターくらいは行くかなって」
「あのなあ」
「大丈夫、野球のルールなら知っているわ」
「そういうことじゃねえよ」
気だるそうに姉から目線をそらし、無意識に耳の穴を指でほじくりながら、天懸は我慢していたツッコミを入れる。
「そんな恰好でバットなんて振れるわけねえだろ! コート脱ぎゃ薄着で風邪ひくだろうし、スカートめくれてパンツ見えまくりだろうし」
少し考える素振りを見せてから天吏は返す。
「そうね。服装までは考えてなかったわ」
変に力の入っていた肩を落として、天懸は姉の横に並ぶ。
「……とりあえず、バッセンの前にスポーツクラブだ」
天懸は先に歩き始める。
「ふふ、エスコートお願いするわ。それが男と女というものでしょ?」
「……けっ」
ふたりは、あの日の夜のようにまた、並んで街を行く。
「どう、似合う?」
スポーツウェアに着替えた天吏は上機嫌の様子でバッティングセンターに入っていく。
(あれもすべて演技、実験なんだろーな)
天吏は、その華奢そうな肉付きとは裏腹に、体全身をしなやかに使って、準備体操を始めている。
(スポーツできるのはあながち嘘じゃねえな)
やはりそこは血のつながった姉弟。天懸が野球部で投手をしていたとき、重心を活かしたしなやかなフォームをよく褒められていた。天吏も同じように、天性のスポーツセンスを持っているようだ。
とはいえ。
(俺は野球辞めちまったし、姉ちゃんは目をやっちまったし)
恵まれながら、十分に活かしきれていない不幸があった。
(不幸、か)
天懸には何が幸で何が不幸か分からないし、興味がない。少なくともそういう風に演じ、毎日厳つそうに生きる。
(俺も姉ちゃんも同じ穴のむじなっつーことだな)
「様になってるでしょ」
天懸の選んだバットを受け取り、打席に立つ天吏が得意気に言う。
「……」
「褒めていいのよ」
「バットの持ち手、逆」
「あら」
「フォームは……悪くねえな」
機械に硬貨を投入しながら天懸。
「でしょ」
「ほら、ボール来んぞ」
ピッチングマシーンから一球目が放たれる。
「あ」
空振り。
「全然ボール見えてねーじゃん」
ネット越しに野次を飛ばす。
「ああ、これがあるから」
「?」
そう言って、天吏は眼帯を外した。
「!」
反射的に、弟は姉から視線を逸らしていた。
(くっ)
直後、激しく後悔する。
(はめられた……!)
視線を戻すと、虚しく目の前を横切っていくボールなどお構い無し、寒気すら起こる含み笑いで、天吏がこちらを見ていた。
眼帯の下に傷など一切ない。フツウの眼だ。
「このほうが見やすいじゃない」
3球ほど見過ごした後、天吏は構えなおす。次に放られたやや高めのボールを打ち返した。三遊間方向への強い当たりだ。
(もうちょい低い球なら)
本塁打のコースになっていたかもしれない。
「やっぱり貴方は、縛られているのね」
間断なく放たれるボールを全て打ち返しながら天吏は言う。
「……何が?」
返される言葉は分かっていたが、思わず天懸は聞き返していた。
「私が眼帯を外したとき、目を逸らしたってこと」
思わず反らしたことは失策だった。しかし天懸も反撃に出ようと目論む。
「姉ちゃんも……許してないってことだろ、眼帯をしてるってことは」
「ふふ……そんな怒った顔しないでよ」
お互い縛られている。ふたりの苗字が別々になったときと、その前後の出来事に。
病室のベッドで心を失くそうとしている姉の姿がフラッシュバックする。
あのときの眼帯の奥は、きっと何も見えていない目があった。
もう片方の目では一体、何を見ていたのだろう。天懸は姉のことを思い出すたび、その光景と心情も想起するのだった。
(まだ、“彼女”を許してはいないんだな)
フルスイングで打たれたボールは、上空に浮かぶ月に届かんほどの勢いで打ち上げられたが、ネットにすくわれあっけなく落ちていった。
「貴方が誰のために苦しんでいるのかは知っているわ」
ベンチに座り、ほかの客が打ち込んでいる様を何気なく見ていると、天吏が言った。
「私が眼帯を外すとどんな反応をするか。それを観察したかったから、外してあげたのよ」
だから怒るな、とでも姉は言いたいのか。何とも据わりの悪い気持ちの中に天懸はいる。
「もう、野球はしてないのね」
「ああ」
両親の離婚後、経済的な豊かさを失い、いくつかのトラブルを抱えるようになった天懸。部活に打ち込む余裕など無かった。
「あの女のせいね」
「……」
いかにも凡退、という刻みの悪い音がセンターに響き渡る。耳障りだと感じた自分を塞ぐように、自販機で買ったコーヒーを黙って飲む。
「逃げられないのよ貴方は」
全て見透かされている。自分は母親に縛られていること。そこから逃げるため、わき上がる不条理な感情を抑え込むため、暴力へと走るようになったこと。
今の自分を詳しく知らなくても、隣の姉は、行動の破片や言葉の調子で汲み取ってしまうようだ。恐るべき存在だが、有り難い存在でもある。
唯一、本当の自分を知ってくれている姉。それを知ることで、ホッとする自分もいるのだ。
「逃げられないの、あの女からも、私からも」
天吏は立ち上がり、飲みきった缶を捨てた。
「姉ちゃんは……いつまでそれ付けてんだよ」
眼帯のことだ。
「さあ」
それ以上天吏は言葉を続けない。
「外したら、そのときは……」
そこまで言って言葉を飲み込む。
「いや、なんでもねえ」
弟が首を振ってうやむやにしようとした矢先、姉は振り返り、笑む。それは冷たくもあり、暖かくも感じられた。
「ウェア、どうしようか」
「どーせ俺には小さすぎる」
「じゃあもらっていくわね」
軽やかに翻り、天吏は静かにバッティングセンターを出て行く。
残った天懸はしばらく頭の整理に勤しんだ。
(あーもう、むしゃくしゃする)
昔は、そういうときよく家の前でバットを振っていた。
(……せっかくだしな)
天懸はバットを手に取り、コインを投入した。
快音が寝子島の夜空を鳴らした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
小西 秀昭
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月10日
参加申し込みの期限
2016年06月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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