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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
迷え！ バッドステータス
冬の空は暗く、太陽の出ている時間は僅かだ。放課後になってからあっという間に沈んでしまう。
水上 桜は赤くなりかけてきた空を見上げ、暗くなる前に帰ろうと、歩くスピードを速める。向かっているのは星ヶ丘にあるハンドクラフターの為のアクセサリーパーツショップだ。
桜は細かい作業が得意な少女で、水泳部と一緒に手芸部を掛け持ちし、アクセサリー作りを趣味にしていた。この星ヶ丘の店は土地柄、物価が桜の住むシーサイドタウンや旧市街のショップに比べてやや割高に感じられるが、『この店でしか手に入らない』オリジナルパーツも多いので、折々で足を運んでいる。
今日は受験勉強の気分転換の『折』だった。
目的地がこの先の大きな交差点を曲がったところまで差し掛かった時、桜の視線が信号機の下に固定された。
スマートフォンを見て、交差点にある看板の文字に視線を走らせ、首を捻る。——一連の動作から、迷子か、どこか目的地を探している人物だと推察出来た。
黒のショートピーコートの下から伸びるスラックスを見れば、寝子島高校の男子生徒だとも分かる。
こちらは中学生の桜だ。一学年で何クラスもある高校の生徒を事細かには知らないが、しかし彼は何処かで見たような『印象』があった。
光を受けると色を変える自然なブラウンの髪を遠目に、そんな知り合いは居たかと巡らせていると、男子高校生の方へ派手な容貌の女子高校生が近寄っていくのが見えた。
真冬だと言うのに襟元を広く寛げて、大きな胸を惜しげもなく外気に晒している。中学生の桜には、少々刺激の強い光景だ。
思わず視線が固定をしてしまったことで、二人もこちらに気づいたようだ。男子高校生の目があって、桜の記憶がはっきりとした。
遠目にしか見たことはなく、目の色や髪の色は桜の知る彼のほうが薄いが、印象が似ている所為で覚えていたのだ。
「１組のイリヤ君のお兄さん？」
「イリヤの同級生？ こんにちは。イリヤの兄さんの片方だよ。エリセイ・ジュラヴリョフ」
弟の同窓生に声をかけられて微笑んだ顔は、より一層兄弟の血の繋がりを感じさせる柔らかさで、桜は安心して彼のほうへ駆け寄る。
「お店を探してるの？」
んーん、と首を振って、エリセイは「迷子」と笑った。
「あん？ 道に迷った？」と隣の女子高校生が眉を寄せた。エリセイが肯定の頷きを返すと、女子高校生は驚いた顔になる。短い会話から、この二人は待ち合わせをしていたのではないんだなと桜が考えていた。
「旧市街に帰りたいんだけど、何故かこんなとこに居るんだ。困っちゃったね。俺半分だと本当ダメだ」
エリセイはネイビーストライプのマフラーを弄ぶそうに結び直しながら言った。危機感を感じていないような仕草に、女子高生は「大丈夫かよ」と情に厚い性格をのぞかせている。
「迷子……になる人もいるよね……」
桜から見れば少しだけ大人の高校生が、スマートフォンにGPS機能が付いている時代に、迷子になるなどかなり意外ではあるが、きっとこの辺りの地理に疎いのだろう。
桜がそんな風に好意的解釈をしていると、交差点の左右から同じタイミングで手を振る男子高校生が駆け寄ってきた。
「ジュラヴリョフ先輩、こっちもダメでした」
「エリ先輩がここにいるってことは、やっぱり戻ってきちゃったみたいですね」
肩を落としている二人を一瞥して、エリセイは
「パン屋さんあった？」
「パン屋は探してないですよ」
「俺今無性にパン食べたいんだ、イチゴとカスタードクリームを組み合わせたやつ。よくあるでしょ、クロワッサンとかミルフィーユみたいなやつ。あれの気分」
無軌道な会話術で二人の男子高校生を完璧に疲労させて、エリセイは桜と女子高校生のほうへ顔を向けた。
「高１の御剣 刀と佐藤 英二。やっぱり迷子なんだ」
女子高校生が思い切り顔をしかめたように、高校生が３人で迷子などいよいよもってきな臭くなってきたが、桜は不思議に思っただけで詳しく聞こうとはしなかった。
なぜなら自分は答えを知っている。
行こうと思っていた店までは、暗くなるまでに帰りたいと思っていたくらいで、特別急いでいる訳でもない。
「星ヶ丘駅まで連れて行ってあげる！」
桜が自信ありげな笑みを迸らせると、女子高校生も「ったく」と頭をかいた。しかしその様子は少しも嫌味を感じさせない、むしろ姉御肌と言った雰囲気だ。
「俺は３年の吉祥寺 黒子だ。なんだか大変つーか……、しゃーねぇな同じ高校のよしみだ、俺も手助けしてやんよ！」
水上 桜は赤くなりかけてきた空を見上げ、暗くなる前に帰ろうと、歩くスピードを速める。向かっているのは星ヶ丘にあるハンドクラフターの為のアクセサリーパーツショップだ。
桜は細かい作業が得意な少女で、水泳部と一緒に手芸部を掛け持ちし、アクセサリー作りを趣味にしていた。この星ヶ丘の店は土地柄、物価が桜の住むシーサイドタウンや旧市街のショップに比べてやや割高に感じられるが、『この店でしか手に入らない』オリジナルパーツも多いので、折々で足を運んでいる。
今日は受験勉強の気分転換の『折』だった。
目的地がこの先の大きな交差点を曲がったところまで差し掛かった時、桜の視線が信号機の下に固定された。
スマートフォンを見て、交差点にある看板の文字に視線を走らせ、首を捻る。——一連の動作から、迷子か、どこか目的地を探している人物だと推察出来た。
黒のショートピーコートの下から伸びるスラックスを見れば、寝子島高校の男子生徒だとも分かる。
こちらは中学生の桜だ。一学年で何クラスもある高校の生徒を事細かには知らないが、しかし彼は何処かで見たような『印象』があった。
光を受けると色を変える自然なブラウンの髪を遠目に、そんな知り合いは居たかと巡らせていると、男子高校生の方へ派手な容貌の女子高校生が近寄っていくのが見えた。
真冬だと言うのに襟元を広く寛げて、大きな胸を惜しげもなく外気に晒している。中学生の桜には、少々刺激の強い光景だ。
思わず視線が固定をしてしまったことで、二人もこちらに気づいたようだ。男子高校生の目があって、桜の記憶がはっきりとした。
遠目にしか見たことはなく、目の色や髪の色は桜の知る彼のほうが薄いが、印象が似ている所為で覚えていたのだ。
「１組のイリヤ君のお兄さん？」
「イリヤの同級生？ こんにちは。イリヤの兄さんの片方だよ。エリセイ・ジュラヴリョフ」
弟の同窓生に声をかけられて微笑んだ顔は、より一層兄弟の血の繋がりを感じさせる柔らかさで、桜は安心して彼のほうへ駆け寄る。
「お店を探してるの？」
んーん、と首を振って、エリセイは「迷子」と笑った。
「あん？ 道に迷った？」と隣の女子高校生が眉を寄せた。エリセイが肯定の頷きを返すと、女子高校生は驚いた顔になる。短い会話から、この二人は待ち合わせをしていたのではないんだなと桜が考えていた。
「旧市街に帰りたいんだけど、何故かこんなとこに居るんだ。困っちゃったね。俺半分だと本当ダメだ」
エリセイはネイビーストライプのマフラーを弄ぶそうに結び直しながら言った。危機感を感じていないような仕草に、女子高生は「大丈夫かよ」と情に厚い性格をのぞかせている。
「迷子……になる人もいるよね……」
桜から見れば少しだけ大人の高校生が、スマートフォンにGPS機能が付いている時代に、迷子になるなどかなり意外ではあるが、きっとこの辺りの地理に疎いのだろう。
桜がそんな風に好意的解釈をしていると、交差点の左右から同じタイミングで手を振る男子高校生が駆け寄ってきた。
「ジュラヴリョフ先輩、こっちもダメでした」
「エリ先輩がここにいるってことは、やっぱり戻ってきちゃったみたいですね」
肩を落としている二人を一瞥して、エリセイは
「パン屋さんあった？」
「パン屋は探してないですよ」
「俺今無性にパン食べたいんだ、イチゴとカスタードクリームを組み合わせたやつ。よくあるでしょ、クロワッサンとかミルフィーユみたいなやつ。あれの気分」
無軌道な会話術で二人の男子高校生を完璧に疲労させて、エリセイは桜と女子高校生のほうへ顔を向けた。
「高１の御剣 刀と佐藤 英二。やっぱり迷子なんだ」
女子高校生が思い切り顔をしかめたように、高校生が３人で迷子などいよいよもってきな臭くなってきたが、桜は不思議に思っただけで詳しく聞こうとはしなかった。
なぜなら自分は答えを知っている。
行こうと思っていた店までは、暗くなるまでに帰りたいと思っていたくらいで、特別急いでいる訳でもない。
「星ヶ丘駅まで連れて行ってあげる！」
桜が自信ありげな笑みを迸らせると、女子高校生も「ったく」と頭をかいた。しかしその様子は少しも嫌味を感じさせない、むしろ姉御肌と言った雰囲気だ。
「俺は３年の吉祥寺 黒子だ。なんだか大変つーか……、しゃーねぇな同じ高校のよしみだ、俺も手助けしてやんよ！」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2016年05月13日
- 参加申し込みの期限
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- 2016年05月20日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2016年05月20日 11時00分
