もちがもちもち？！　白い地獄へご案内？｜リアクション

もちがもちもち？！　白い地獄へご案内？

　ちょっと時間を遡り、待機中の桜は何を作ろうか考えていた。だが、餅を集めているメンバーの姿を見ているうちに、餅の１個がおかしな動きをはじめた事に気がついた。
（？　あれは何かしら……？）
　不思議に思っている間に、他の餅もまるで誰かを狙っているような動きを見せる物が出始める。
「！　ちょっと……っ！！」
　桜が声をかけたとき、異変は始まっていた！

「にゃっ？！　な、なんだこうぼぁ？！」
　真央がなにかに気付いたかと思ったら、餅が口の中に飛び込んできた。目を白黒させている間に、餅たちが真央へと襲い掛かってくる！　だがそれは真央だけに限らず、他のメンバーにも言えることだった！
「危ないっ！」
「は？！」
　修は突然の事に言葉を失った。餅が急に飛び掛ってきたのである。ピンポン玉大の餅が人間に襲い掛かる、というシュールな光景の中、露草に突き飛ばされる形で難を逃れるも、多くの者が餅まみれとなっている。
「きゃああっ？！　ってよくもやったわねっ！」
　碧南が自分へとひっついてきた餅を掴んではきなこへと叩き込む。次々に襲いかかろうがお構い無しにタッパーやきなこ、だいこんおろしへと叩き込む。その速さははっきりいって隼のようだ。
　一方、修を助けた露草はというと……？
（おぅ、お餅だらけデース。でも、愛を持って調理しますヨー）
　と妙に幸せそうな顔で佇んでいた。なんか、こう、まさに至福、というような顔をしていた。きっと彼は自分の眼を塞いできた餅ですら調理して胃の中に収めてしまうだろう……。そう、慈悲を持って、多分。
「焼いて良し、煮て良し、そのまま何かまぶして食うも良し！　揚げてもおいしい！　色々な楽しみ方がある！　だから、これはちゃーんす！！」
　たとえ鼻を塞がれそうになってもキャッチして仁王立ちな陽毬は自分を襲った餅をひっぺはがしてはタッパーに入れていた。この後色んな姿になって胃袋に収まるのをイメージしつつ次から次に引っぺがす。
「こんなにいっぺんには食えねぇよな……って痛ぁ？！」
　と、流は勢いよく飛び込んできた餅が人中にヒットして悶絶していた。やわらかいつきたての餅であれ、さすがに人中は辛いらしい。それでも必死に餅と戦う。
（つーか、これ、餅をしばらく見たくなくなるかもなー）
　なんて内心で思いつつどうにか餅の猛攻を払ったりはがしたり。こっちも中々苦戦しているようだ。
　同じように苦戦しているのは妙子だ。彼女の場合眼鏡に引っ付くという悲劇に見舞われている。眼鏡の内側にも着たりして、はっきりいって不便であった。
「ちょっと、これじゃ見えな……っ？！　服の中まで入らないでくださぁいっ！」
　何故かあったかくてもちもちした感触が胸に当たっている。こういう表現をすると妙な感じもするが事実妙子の胸に餅がぴったりひっついている状態であたふたしている。思わず流や露草が顔を真っ赤にしたがそれだけ色っぽかったようだ。
「このお餅は絶対！　絶対食べてやるんだ！！」
　小柄な体いっぱいに餅をひっつけたからんが必死に餅をはがしている。同じように小柄な真央もまた、飛んでくる餅へ割り箸をぶっさして応戦していた。
「ぐぬぬっ、わんこ餅開催なのだ！　どっちが上なのか徹底抗戦なのだ！！」
　そういって次から次へ餅へ割り箸を刺してはきなこなどにぶっこむ彼女。こうして餅の襲撃にあいながらも、彼らはたくさんの餅を手にすることが出来た。それらを柔らかいうちに食べればミッションクリアね、と妙子が言ったものの、ラッシュが終わる頃には全員べたべたのもっちもち状態だった（餅まみれで）。
「風呂と着替えだな。水上だったか、お風呂とかあったか」
「……八神先輩、あっちにお風呂とか着替えとか洗濯機とかあると案内板にありました」
　助ける事も出来なかった為せめてフォローをと考えた修と桜によって、７人は衣服も体もさっぱり綺麗になる事が出来たのであった。

　しっかし何故餅に襲われたのかは、不明である。