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ふわりと幸運は舞い降りる
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仄青い空が夜明けを慎ましく告げる。早朝の時間帯、二人は九夜山を登り始めた。
神野 美野梨
が先頭をいく。白いダウンジャケットに伸縮性のある青いジーンズを穿いていた。眼鏡の奥の目には、ある種の決意が見て取れる。
「もう少しゆっくり行こうよ」
新井 すばる
は最後尾に付けた。山の色に合わせた登山服に身を包み、黒いバックパックを背負っていた。
美野梨が足を止めて振り返る。
「冴えた空気を逃す訳にはいかないわ」
「うん、わかるよ。月詠寺の大樹がクリスマスツリーに見えるって現象だよね」
「わかっているのなら急ぐわよ。まさかとは思うけど。新井くん、ツリーに興味が無いのかしら」
美野梨の目がすっと細くなる。すばるは笑ったような顔で答えた。
「ああ、確かにボクはツリーに関心はないよ。でも、調査の過程には興味があるね。だから今日は君と一緒に確かめに行くんだよ」
「そう、それを聞いて安心したわ」
前に向き直ると美野梨は足を速めた。口を開き掛けたすばるは微笑んで後を付いていく。
二人は山頂に着いた。美野梨は突っ切って道なりに下る。すばるは後方で眼下の三夜湖を眺めた。全体が白く霞んで揺らめいて見える。注意を周囲の木々に移して大きく息を吸った。
「事件の臭いがするね」
すばるは心浮き立つような笑みを浮かべた。
二人は月詠寺の近くまで一気に進んだ。真っ先にすばるが異変に気付いた。
「神野さん、これを見て」
「急にどうしたのよ」
引き返してきた美野梨に、すばるが一枚の葉を指差した。
「栗の葉が……おかしいわね。冬なのに葉が落ちてないわ」
「おかしなところは、まだあるよ」
すばるは掌を開いて見せた。緑色の円筒形の物体をコロコロと転がす。
「オトシブミの揺籃みたいだけど、季節がおかしいわ」
「卵の産卵時期は初夏だから、確かにおかしいよね」
すばるは笑みを深めた。隠し持っていた竹輪を口に咥えてにやりと笑う。
「ボクらは事件に巻き込まれたようだ。その先にはきっとツリーの謎が待っているよ」
「私にも何となく真相が見えてきたわ。急ぐわよ、新井くん」
「ここまできたら、のんびりしていられないね」
すばるのウインクを受けて、美野梨は大きな一歩を踏み出した。
山深い三夜湖の畔に月詠寺はあった。住職はいるものの、人手が足りず、どこかうらぶれた感じを醸し出している。
二人は厳かな表情で境内に入った。行く手を阻むかのように白い霧が立ち込めている。すばるは美野梨に手を差し出した。
「予想よりも霧が深いようだね。足場もあまりよくない。ここからは手を繋いで行こう」
「その方がよさそうね」
手を繋いだ二人は慎重な足取りで奥へと進んだ。霞む中に一本の大樹が見えてきた。
美野梨は力なく頭を振った。
「またなのね。クリスマスツリーには見えないわ」
「諦めるのは早いよ」
空を見上げた。微かな陽光が望める。すばるは手を繋いだ状態で小刻みに歩いた。
「ここがベストだね」
すばるはバックパックを背中から下ろした。中に収めていたシートを取り出し、その場に広げた。
「ここまで休まずに歩いてきたから喉が渇いたよね。温かい紅茶を用意してきたよ」
「貰うけど、冴えた空気が気になるわ」
「ギリギリかもしれない。でも、ボクは時間が解決してくれることを信じているよ」
すばるの笑顔に美野梨は表情を緩めた。シートに並んで座ると紙コップに注いだ紅茶を二人で飲んだ。
陽光が地上に降り注ぐ。すばるが大樹の方向を指差した。
「あれを見て」
「あれが、クリスマスツリーなのね」
大樹の後方の霧に大きくぼやけた影が出来ていた。頂に抱くのは星ではなく、円形の虹で小波のような感動が胸に打ち寄せてきた。
美野梨は眼鏡の中央を押した。じっくり観察するような目で現象と向き合う。
「こんな低いところでブロッケン現象が見られるなんて思わなかったわ」
「複合した要因のおかげだね」
すばるは大樹の影を見ながら言った。美野梨は腑に落ちない表情となった。
「濃い霧が発生するほど、昨日は暖かかったかしら」
「気温はそうでもなかったよ。ここが特別なんだよ。思い当ることがあるよね」
すばるは美野梨に優しく問い掛ける。
「季節外れのオトシブミの揺籃ね。地熱が他と比べて高いのは温泉地が近いことも関係あるのかもしれないわね」
「ボクの考えと同じだよ」
時間と共に周囲の霧が薄くなる。名残惜しそうな目で二人は最後の時を待つ。
影の輪郭が大気に溶けた。美野梨は隣のすばるに目をやった。
「噂のツリーはブロッケン現象で説明できるわ。だけど、決め付けは自分の見識を狭めるわね。霧が凸レンズの役割を果たして大きく見えることも考えられるわ」
「可能性としては、十分、あると思うよ。それとか、大樹が意識的に霧を発生させて影を作ってたら面白いよね」
その内容に美野梨は冷静に返した。
「科学的ではないわね」
「不思議なことがいっぱいの寝子島だからね」
満面の笑顔を向けられて美野梨は、そうね、と笑みを零した。
紅茶を飲み干したすばるは勢いよく立ち上がる。両腕を広げて大きな伸びをした。
「これで今回の事件、『冬のオトシブミ』は無事に解決だね」
「そうなるのかしら」
「お約束の言葉だよ。わかっていると思うけど」
すばるは笑顔で念を押す。美野梨は適当な相槌で立ち上がった。
二人はタイミングを合わせて同時に言った。
「Q・E・D!」
はしゃぐすばるは子供のようだった。美野梨は穏やかな笑みで加わる。
青い空の下、二人の一日は晴れ晴れしく始まった。
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担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年04月28日
参加申し込みの期限
2016年05月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年05月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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