シナリオ「ふわりと幸運は舞い降りる」

ふわりと幸運は舞い降りる

　元々のボサボサの髪を、さらに寝癖で酷くした状態の男が目を覚ました。布団から上体を起こして生気のない顔でカーテンを眺める。太陽の明るさが、まるで感じられない。枕元の時計を見ると午前六時前であった。
「……起きるか」
　口にはしたが、すぐに行動を起こさない。日々の掛け持ちのバイトで身体は疲れ切っていた。二十分の時間を掛けてのろのろと動き出す。
　トイレを済ませた男は生の食パンを齧りながらテレビを点けた。身綺麗な男性アナウンサーが集団暴行の話を伝える。死者は出さなかったものの、酔った末の蛮行で重軽傷者は二桁に上った。
「なんて酷い事をするんだ」
　目の縁に涙を溜める。悔しそうに拳を握り、頭を小刻みに震わせた。
　男は真横のカーテンに顔をやる。思い立って開け放ち、窓まで全開して身を乗り出した。空に訴え掛けるような目を向けて大きく息を吸い込んだ。
　近くでシャッターの開く音がした。身を縮めた男はそっと窓を閉めた。消極的な姿勢で改めて空と向き合う。
「神様、お願いします。今日だけでいいのです。全世界の人々に幸運を授けてください」
　片膝を突き、胸元で両手を握り締める。ひたすらに祈りを捧げる姿勢は午前の交通誘導のバイトで五分後に取り止めとなった。
　男の行動によって無自覚のろっこん、『無垢なる祈り』は発動した。ある条件の元、神に祈ることで自分以外の人間にささやかな幸運をもたらす。世界規模の影響はないが寝子島全体を範囲に収めていた。

　やんわりとした幸運に包まれた島の新たな一日が始まる。

運営部より

※本シナリオはマスターコメントにある通り、
　「キャラクターの行動・手段」はアクション投稿ページの文字数カウントで100文字以内になるようにご記入ください。
　101文字以上記入されている場合はリアクションの描写がなく、らっポの返還もありませんのでご注意ください。

ゲームマスターより

担当ゲームマスター

黒羽カラス

マスターコメント

今回のシナリオはアレです。第二回「マスターにアクションを丸投げしよう＋」シナリオなのです！
末尾にプラスとありますが、あまり深い意味はありません。イエローからブロンズに移行した程度のことです。
参加されたＰＣには漏れなく、ささやかな幸運が訪れます。個々にとって幸せの形は様々ですが、不幸になることはありません。
それでは詳しい説明に入りたいと思います。下記をご覧になってアクションの参考にしてください。

★物語の舞台★
・ある晴れた日曜日の寝子島。ろっこんの効果は早朝から始まって深夜までの一日とする。

★基本的なルール★
・ＰＣの行動を１００文字以内で書き込む（山登り、買い物、勉強等）。
・幸運の種類はプロフィールと、その時の状態を見て決定する（体調不良、焦燥感、苛立ち等）。

★登場人物★
・神尾　望（かみお　のぞむ）
　小さな劇団に所属する二十代前半の多感な青年。軽度のあがり症の為、今は大道具を担当している。
　無自覚のろっこん所有者で『無垢なる祈り』を発動しては不特定多数にささやかな幸運を与えていた。
　※本人は忙しい身の上の為、リアクションでＰＣと絡むことはない。
　　アクションで希望した場合、別のＮＰＣが宛がわれる。

今回は幸運が約束された話になります。
本当にちょっぴりなので多大な期待はしないでくださいね。
ほら、ほんの少しの幸せがじんわりと心に沁みることってありますよね（自ら頷く）？

二回目の丸投げシナリオ、ささやかに始まります。

サンプルアクション（1）

サンプルアクション（2）