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狂気を孕む月 ~機鋼世界マシナリア~
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◆三章「恐怖という名の――抗えぬ真実」
一方、ルナと共に町はずれを探索に出た常闇は森の中を歩いていた。
しかしそれはただ歩くというようなものではない。
目的となる場所につかないように時間稼ぎをしながら、そのことを背後を歩くルナに悟られずに歩かなければならない。
いつ終わるともしれない緊張する森林散策は唐突に終わりを告げる事となる。
「はぁ……もうそろそろですかね」
「え、何が……でしょうか?」
「わかっているんでしょう」
辺りの温度が下がり、背後で急速に殺気が膨れ上がるのを感じた常闇は敵位置の確認作業を省き、回避行動を最優先する。
前に体重を落とし前方へ転ぶ様に身を投げ出すと右手を軸に前転しながらルナから距離を取った。
「あれあれ、はずしてしまいましたねぇー……実に残念です」
「ルナさん……やはり貴女は――――」
「ええ、勿論……リベレイターに荷担する――――ツクヨです」
ざわざわとルナの茶色の髪が風に踊る様に広がり、不気味で禍々しい紫の光を放ちながら金色の髪へと変わっていく。
服は形状を変えていき、黒い着物となった。半脱ぎで上乳が露出した着物の所々には金の刺繍が施されている。
先程まで常闇が立っていた位置には血の様な赤い鎖が伸びており、先端の尖った針の様な部分が地面を貫いていた。
「ああ、でもルナであるのは間違いないですから……嘘はついていませんよぅー。まぁ、訳が分からないと思いますけどねぇー」
髪の毛先を弄ぶかのように数本の鎖をくねらせるルナの瞳は真っ赤に染まり、笑顔を浮かべている。大きく見開かれたその眼差しには底知れぬ狂気が宿っている様に見えた。
不意に鞭を振るったかの如く横薙ぎに放たれる鎖の一撃を常闇は身を翻し上空へ跳んで避ける。
そこに追撃とばかりに鎖が真っ直ぐルナから放たれるが常闇はそれをナイフで弾く。
「案外避けるものですねぇー。イザナの情報通りですかぁ」
(イザナ……前に遭遇した敵ですね……此方の戦闘方法がある程度知られている……でも、時間稼ぎくらいは……!)
「防戦一方ですねぇー。それだと私は飽きてしまいますよぅー」
何度も振るわれる鎖はそれぞれが必殺の一撃、常闇の代わりとばかりにルナ――ツクヨの鎖は木々を薙ぎ倒し地面を大きく穿っていく。
それでも常闇は攻勢には出ず、回避に専念していた。
常闇を狙い、再び放たれたツクヨの三本の鎖を側転を交えた空中機動で辛うじて躱す。躱しながら懐からナイフを抜き最速の動作で常闇はツクヨにナイフを投擲する。
「そんなものは当たりませんよぉー?」
着物の裾からするりと伸びた鎖がナイフを危なげなく弾いた。
直後、常闇が腕を引く動作をすると細い糸の様な物がツクヨの身体を蜘蛛の巣の如く拘束する。それはギリギリと締め上げ、ツクヨの自由を奪った。
鋼糸が肌に食い込み、軽く皮膚を裂いて血が流れた。血は足を伝って地面へと染みる。
「本命はその鋼糸……ナイフは囮です。もう観念してください。ツクヨ……いえ、ルナさん」
「あひゃぁはっ! いってるじゃないですかぁ……ルナはツクヨで、ツクヨはルナなんですよぉー。ふふ、今はどっちなんでしょうねぇー……それともどちらでもない? ふふふ、あひゃぁはっ!」
「ふざけないでください。私がその気になればこの鋼糸で――」
直後、無数の鎖が針山の様に常闇の足元から噴出し彼女の身体を斬り裂いた。
肉を穿たれ、血が噴き出る激痛に耐えられず常闇はその場に膝を突く。
「がぁっ!? ぐっ……予備動作、無し……ごふっ……ですか」
「予備動作って何でしょう? 私はそんなものがあるなんて言ってませんよぅー?」
「完全に、読み違えて……しまいましたね……ぐっ」
ゆっくりと常闇にツクヨは近づくと彼女の四肢を鎖で貫いて一際大きな巨木に磔にした。
「うぐっぅ!」
「安心してくださいねぇー。急所はぁ、ずれているので死にません。簡単に殺してしまってはつまりませんからねぇ……」
鎌首をもたげる様にぐっと持ちあがった槍の様な鎖の先端が常闇の腹を貫いた。
赤い血液が服を真っ赤に染めていく。
「あぐっ!? ぐぅ……っ!」
「痛いですかー! ねぇ、ねぇ、痛いですよねー!? いいですよ! いいですよ! もっと痛めつけてあげますからね。殴って、刺して、抉って、弄って、狂ってしまうような痛みを貴女にさしあげます。大盤振る舞いですよぉー、あひゃぁはっ!」
激痛に抗い常闇は声をなるべく声を上げないように努めた。
なぜならこのまま声を上げてしまえば敵の思う壺の様な気がしたからである。
過去の経験上、常闇はこの手の事には敏感に臭覚が効く。
(一撃で殺さない理由……思い、つくのは……ぐっ……仲間の、あぶり出し……そんな、こと……させない)
その様子に不満だったのか、ツクヨは新たな鎖の先端を常闇の右目に向けた。
「あれ、もう悲鳴あげてくれないんですかぁー? そうですか、悲鳴……簡単にあげて頂けないのならー……残酷な方法を取らざるを得ないですよねぇー。悲鳴を上げてくれない貴女がいけないんですよー?」
無慈悲にも真っ直ぐに右目へと飛来する鎖の先端を見ても、常闇の気丈な態度は変わらない。
直後、吹き上がった赤い血は辺りを真っ赤に染めた。
◆
イザナミに誘われ、森の奥へと歩を進めるとそこには大きな焼け焦げた木があった。
その場所は少し開けており、背の低い草が茂り、色取り取りの花が咲き誇っている。
「ウィル、喜べ! 救援者を連れてきてやったぞ! ウィル! おらんのか! このワシが呼んでいるのじゃぞ!」
「そんなに叫ばなくても聞こえてるよ……救援者って、どういうことなの?」
木の陰から出てきた青年はかなり疲労している様に見えた。青ざめた顔で調子もかなり悪そうである。
しかし見た所、怪我をしているようには見えない。
「聞いて驚け! ワシらを助けるといって現れた謎の旅人集団じゃ!」
しばしの沈黙の時間が流れる。
何か言わなければとその場の誰もが口を開こうとしたその時、別の音によって静寂が破られた。
地の底から響いてくるような呻き声が森に鳴り響き、一同を囲む様に黒い人影が顕現したのである。
ウィルはその場の誰よりも早く駆け出しながらイザナミの名を呼んだ。
「くっ、またか! 来い、イザナミッ!」
「もちろんじゃ! しかと受け止めいっ!」
光の玉へと変化したイザナミはウィル目掛けて飛来する。それは彼が走るよりも、弾丸が飛ぶよりも速かった。
ウィルにぶつかると溶ける様にしてイザナミは彼と融合する。
「我受けるは古の御霊。降ろし、宿し……顕現せよッ! 遺邪那美ッ!」
言葉の終わりと共にウィルが薄紫色に輝き、彼の胸部に紫色のクリスタルが出現、それを中心に金属のような光沢をもつ黒色の装甲がまるで彼を飲み込む様に覆っていく。
全身が装甲で覆われたその姿は見る者達に中世の騎士を想起させた。
胸部のクリスタルから全身に紫色のラインが複雑に走り、準備完了とばかりに輝いた。
「うおぉぉぉーーーッ!」
剣を鞘から抜く様に手の平から長大な騎士剣を抜き放つと黒色の騎士――――ウィルは紫のマントを翻し影の集団を薙ぎ払う。
黒い衝撃波と共に薙ぎ倒された影の集団はもつれ合う様に吹き飛びながら霧散した。
剣を薙ぎ払った動作の勢いを利用しウィルはその場で右足を軸に回転、背後に迫っていた影を両断する。影は黒い粒子となって散った。
ウィルは地面に剣を突き立てると、手の平を眼前に迫る二体の影目掛けてかざし黒い雷を放つ。
極太のビームの様に光速で放たれた黒い一撃は瞬く間に二体の影を跡形もなく消し飛ばした。
大半の敵はウィルの攻撃によって消滅したが、今だ数体ほど残っている。
ゆらゆらと揺らめきながら攻撃動作に入る人影へ狙いを付けると走り出そうとした――――が彼は突如、力が抜ける様に崩れ落ちその場に膝をついてしまった。
そればかりか、彼の姿は鎧の騎士から先程の青年の姿へと戻ってしまったのだ。
ウィルからはじき出される様に空中へ飛び出たイザナミが慌てる。
「なんじゃとっ!? ここで限界が来るとは……ッ!」
「う、ぐぅ……体が、上手く動かない……!」
彼らの不調等お構いなしに……無感情に……そして無慈悲に人影の黒い刃が迫っていく。
しかし、彼らにその刃は届かなかった。
高速で間に割って入った何者かによって影の刃が弾かれた為である。
人影はお構いなしにもう一度その人物に向かって剣を振り下ろすが、その刃は空を切った。
その人物――――サキリがふっと姿を消した為である。
「そんな攻撃じゃ、僕を捉えることはできないよ……さよなら」
一瞬の内に人影の背後を取ると、サキリは人影を一閃する。鋭い刃に斬り裂かれた人影は掻き消える様にして消滅した。
「危ない所だったね、大丈夫?」
「ああ、助かった。本当にありがとう」
サキリの伸ばした手を掴むとウィルは何とかといった様子で立ち上がる。
息を整えているウィルの隣で心配そうに浮いているイザナミに対し、八神は問いかけた。
「今のが、異骸の力なのか? 話せる所まででいいんだ……もしよければ教えてくれると今後、共に戦うにしてもとても助かるんだが……」
「ふむ、そうじゃのう。このウィルの様子ではすぐには動けんだろうし……その間にワシが異骸について教えるとしようか」
何処から出したのかホワイトボードをその場に立てると、そこに書き込みながらイザナミは説明を始めた。
「今から数千年も昔、この地には大いなる存在と呼ばれる者達がいたのじゃ。それらの力は凄まじくてのう、あっという間にこの世界を支配するに至った。神にも匹敵するといわれたその者達は五人おっての。その五人の名はツクヨミ、スサノオ、アマテラス、イザナギ……そしてイザナミじゃ」
「あれ? あなたはイザナミなのです。もしやその大いなる存在の……!?」
ちーあが驚いた様にイザナミに問うが、イザナミはその問いを否定した。
「違うな。ワシは彼女の残り香の様な物じゃて。その証拠にワシの名は遺邪那美。最初の一字が違うそうなのじゃが本来の文字は失われ、本当の大いなる者の字は……わからずじまいなのじゃよ」
そういったイザナミはどこか悲しそうに見えたがその場の誰もそれに深く追求する事は出来なかった、いや……追及してはいけない気がしたのである。
それは知り合って間もない相手の深い傷を持つであろう所を避けるかの如く、必然の行動であった。
「長い時間をかけ、その者達の力が宿った物質――それが異骸なのじゃ。この異骸に宿る我らの様な『遺霊』に認められた場合に限り先程の様な力を発揮できるのじゃよ」
「そんなすごい力なら奪い取られたりしないのです?」
「ちーあよ、その心配は無用じゃ。この異骸に選ばれた者はその身と異骸が文字通り一体化する……要は奪うには適合者を殺さねばならんという事じゃな。おいそれと殺してください、などと言う様な輩はまず適合者にはなりえんし殺されそうになれば最大限の抵抗はするじゃろうから、奪われてしまうという事は簡単にはないと思ってよいぞ。暴走と言う危険性もあるにはあるが……ストッパーとなるワシらの様な遺霊がおる限り、それもないと思ってよいじゃろう」
「なるほどなるほどなのですよ! ばっちりきっかり把握したのです!」
その微笑ましいやりとりを数十メートル離れた草葉の陰から見つめる者がいる。
「ほほう、遠くてあまり詳細は聞こえねぇがなるほど。奪うには殺すしかない……ということだねぃ。くっくっく、暴走の余地もあるみたいだし上手くすれば――――自滅……ですかねぃ」
そう、骨削である。あちこち擦り剥いたり、なぜか打撲痕があるようだった。
彼はちーあ達をこっそりつけ、重要な情報が転がり込んでくるのを狙っていたのであった。
「もう逃げられないわよーーッ! 大人しく出てらっしゃいッ!」
「ちぃっ……もう来たのかぃ、これ以上怪我をさせられたら敵わないからねェ……ここらで身を隠すとしましょうかねぃ」
彼は後方からずんずんと迫る筋骨隆々の男――尾鎌から逃げる様に森の闇へとその姿を消した。
◆
――――深い森の奥。
今まさに常闇の片目を貫かんとしている血の様に赤い鎖が急に方向を変えると振り向く様にして身を捩ったツクヨの側面を抜け、後方から迫りつつあった仮面の襲撃者を攻撃する。
辛うじて軸をずらし、仮面の表面をがりがりと削られながらも襲撃者は怯まずに炎を纏わせた渾身の一撃を放った。
その一撃は拳圧でツクヨの腕を斬り裂きそのまま炎に包む。
ツクヨは痛がりもせず、燃える着物の一部を破り捨て鎖で腕を包んで炎を消し止めた。
一撃必殺の奇襲をかけた襲撃者――
灯 斗南
であったが、ツクヨに察知されてしまった為にそのダメージは必殺とはいかなかったのである。
だが拘束されていた常闇は解放され、動けそうにはないがとりあえず人質ではなくなった。
「あひゃぁあぁぁあああッ! そうですよ、そうですよぉー! やっぱり来てくれると思ってたんですー……
灯 斗南
さんッッ!」
焼け焦げた腕から血を流し、その部分を抑える様にして斗南からツクヨは距離を取る。
斗南もまた、常闇を守れるように動きつつ間合いを計っていた。
「悪いが……君みたいな知り合いはいないはずなんだけど」
「あひゃあっ! それはそうですよ、会ったことありませんものー! 斗南さぁんッ!」
腕に痛手を受けながら、口は笑っているが目は笑っていない狂気の笑みを浮かべながら自身の名を呼ぶツクヨに言い知れぬ嫌悪感を抱く。
こいつは本格的にまずい相手……そう本能が告げている様であった。
睨み合う中、先に戦端を開いたのは斗南だった。
走りながら数発の炎弾を放つ。炎弾は真っ直ぐに飛来しツクヨの至近距離にて時間差で爆ぜた。
咄嗟に防御の体勢に入ったツクヨの上空から手の平に炎を発生させた斗南が急襲する。
「そう来ると思ってましたぁー! 予想を裏切らない、流石ヒーローなんですねーッ!」
「ぐっ……!」
ツクヨの足元からおびただしい数の鎖が現れ、それらが矢を射出するような速度で放たれる。
連続する鎖の猛撃を辛うじていなしていく斗南であったが、防ぎきれない鎖によってその体には傷が増えていった。
体勢を立て直し、少し離れた地面に着地した頃には斗南は至る所から血を流し、利き腕が満足に上に上がらないまさに満身創痍となっていた。
それでも目に宿る闘志は失われていない、それが斗南の強さとも言えるだろう。
「うふふ、情報通りで楽しくなっちゃいますよぉー。貴方の癖、攻撃の頻度、回避の仕方……全てがイザナの言ったとおりでしたねー」
「イザナ……あいつか」
彼の脳裏に以前戦った雷撃を操る黒衣の少女の姿が浮かんだ。
「そうですよぉー、イザナが丁寧に教えてくれたんです……」
「なら俺の出番だな! 下がってな、灯!」
その言葉と共に飛び出したのはまさにヒーローと言った出で立ちのバーニングソウル・オブ・ネコジマヒーロー……
風雲児 轟
であった。
轟は突進しながら拳の乱打を繰り出しツクヨの鎖を放たれる傍から打ち落として見せる。
「数が多いならなぁッ! 全部落としちまえば問題ねぇぇぇッ! うおぉぉおおーーッ!」
「あひゃあーっ! なんということでしょうねぇー。ヒーローが二人もいるなんてー! 感激ですねー!」
拮抗していたかに見えた打ち合いだが、不意に放たれたツクヨの回し蹴りが轟の横っ腹に決まり、彼は地面に投げ出された。
「ぐぁぁあああっ!」
「そこで見ていてくださいねー、私……好きな物は後に食べるタイプなんですよぉー」
しばらくは動けないものと判断したのかツクヨは轟に背を向け、斗南の方へ歩いていく。
(油断したな、これでお前の雷攻撃を封じてやるぜ!)
豪は気づかれないように立ち上がり、草むらに隠していた樽を掴むとツクヨ目掛けて放った。
ツクヨは振り向かずに鎖で樽をばらばらに砕く。
すると樽の中から液体が溢れ、ツクヨはそれを頭から被った。
べとべととした粘液のような液体が彼女の身体に絡み付き、胸の谷間や生足を妖しく煌めかせるその様は戦闘中でなければ多くの者の目を釘付けにしたことだろう。
「油……ですー?」
「はっはっはっはーー! 油断したな、ツクヨ! これでお前お得意の雷攻撃は一切使えねえ!」
「何をしたのかと思えば……そんな事ですか。残念でしたねー」
ツクヨは振り向きざまに轟目掛けて鞭の様に三本の鎖を放った。
一撃目が足を打ち付け、二撃目が頬を殴る。三撃目で強力な殴打を腹部に真面に食らった轟は今度こそぐらりと地に沈んだ。
斗南は――偶然とはいえ――豪が作った隙を生かすべく、最大級の大技を放つ構えに入った。
「今だ……いけぇッ!」
両の手を合わせ、竜の口を思わせる形を取るとそこに炎を集約する。
圧縮された炎は次第に大きくなり人ですら簡単に燃やし尽くせる程の大きさとなった。
腕に走る痛みを堪え、斗南は持てる最大の力を用い、特大の火球をツクヨ目掛けて放つ。
放たれた火球はあまりの熱量の為か熱波を伴い地を削り、土埃を撒き散らしながら進む。
速度、威力共に並みの相手では避けられないであろう最大級の攻撃。
「大振りな攻撃はぁぁあああーーーー! 避けられやすいっていうのも学んだ方がいいですねぇえええーーーッ!」
鎖を用いて跳ね上がる様に高く跳び上がったツクヨは自身を中心にして鎖を円形に展開、落下速度と自らの全体重をもって斗南を貫かんと迫る。
「あひゃぁはぁッ! 大きな、大きな……花を咲かせてくださいねぇぇええええーーーッッッ!」
迫るツクヨを見て――――仮面の下で斗南はにやりと笑う。
「最近のマスカレイダーは武器だってガンガン使うんだ」
まさにツクヨに貫かれるその瞬間、斗南は隠し持っていた痩身薄刃剣を高速で抜き放つ。達人ですらその眼に留める事はできない必殺の居合抜きがツクヨの身体を一閃した。
深く腹部を斬り裂かれたツクヨの身体から血飛沫が噴き出し衝撃で後方へと吹っ飛んだ。
くの字に身体を曲げて吹き飛んだツクヨは大木に身を打ち付ける。その衝撃は大抵の衝撃では揺らがぬほどの大きさの大木を激しく揺らした。
「いいパスだぜ、灯ッ! 後は任せろぉおおーーーッ!」
即座に立ち上がった轟は地面を蹴り、飛翔するかの如く低姿勢でいまだ身動きできないツクヨに接近する。
「くはっ……あひゃ、あ……コンビネーション、ですかー……まいっちゃいましたねー」
ツクヨは地面から轟の突撃を妨げる様に鎖を生やして妨害するが、その全てが轟の腕に嵌めた輝く篭手――怪力もりもり篭手によって粉砕されてしまう。
「こんなんじゃ、俺は止められねぇぇーーッ! いくぜ、うおぉぉおおおおーーーッッッ!」
ツクヨに肉迫した轟は目にも止まらぬ速さの乱打を放つ。
連続して放たれる拳の一撃はどれもが重く、突き刺さる様にツクヨの腹部に集中した。
篭手の輝きがオーバーヒートを示す赤色に近づいた時、豪は腰の高さを変えずに左足で前蹴りを放つ。乱打からの蹴りにツクヨは対応できずそれを真面に受け、今だ身動き一つできない。
そのまま流れる様に轟は左足で地面を強く踏み締め、懐に飛び込む様にして拳を縦拳で突き出した。
「臨界突破! リミットオーバーストレイト・スマッシャァァァーーーーッッッ!」
ツクヨの胸部に拳が命中すると同時に右足を強く地面へと打ち付ける――それは震脚と呼ばれる武術の技の一種であった。
震脚の効果で最大限に力を発揮した轟の拳は直撃後、激しい衝撃波を放つ。
ツクヨの背後の大木に深いヒビが轟音と共にめきりと入り、その衝撃の凄まじさを物語った。
ばくんっと篭手が外れ、地面を蹴って轟は跳躍し距離を取る。
その瞬間、篭手の動力が臨界点を突破しツクヨ諸共大爆発を起こした。
激しい業火が吹き荒れ、爆発の衝撃が地面を砕き、凄まじい量の土礫と土埃を発生させる。
「散々バカにしてきた人間の底力を見たか!」
轟の一言の後、彼らは土煙にの中、ゆらりと立つツクヨの赤い眼光を見るのであった。
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10人
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2016年04月27日
参加申し込みの期限
2016年05月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年05月04日 11時00分
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