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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
大寒波！ ハムスターの進撃！！
【孤軍奮闘】
「しかし、それにしても情けない。
たかだかマイナス６度程度でガタガタ言いおって……北の大地の冬なら、その程度よくある事だったぞ。
交通網も惰弱すぎる。とはいえ、この島の奴らに今すぐ耐性つけろというわけにはいかないし……」
切り取られた空間で完全に沈黙の落ちた世界で、伊賀 解理は光を反射する歩道を歩んでいた。
生粋の道産子であった解理にとって、この程度の寒さなどは日常茶飯事。実際、氷を踏みしめる力は安定感と逞しさに溢れている。
慎重ながらも堂々と歩みを進めていく様は、小さいながらもまさしくその場を確実に支配している姿でもあった。
「テオが空間を切り分けたから良かったようなものの……あのままでは、『彼』も風邪をひいてしまう」
思考を別にしていても、無意識に注意しバランスを取る──滑らないのはまさしく道産子のなせる業だ。
そんな考え事の中身は、彼……想い人から恋人に変わった、解理の愛しの男性のことである。
「いや、むしろそのままで風邪を引いてしまったら、僕が彼を看病する口実が──」
無意識の内にそこまで口にしていた事に気が付いて、誰に聞かれていた訳ではないが解理の頬が一気に熱くなる。
「……じゃなくて、そうなったら大変だからどうにかしてハムスター像を破壊しよう。
サンマさん、は──まあ、それは誰かに任せるさ」
サンマさん──そう、今回の事件において誰もが、誰かしらがサンマさんの元へ向かっているから問題ないと思って疑わなかった。
しかし、その結果、
……サンマさんの命運が、小学生の少年一人の手に掛かっていると知ったのは、それからしばらく経ってからの事となる……
「サンマさーん、来たよぉー！」
「ぎゃああ！ 声を出すな、見つかるーっ！」
──寝子島シーサイドタウン駅にて。
曖浜 瑠樹は、誰もいなくなった駅のホームで、ゴミ箱の陰に必死にかがみ込んで寒さとハムスターとの恐怖でガタガタ震えている、寝子島観光大使であるサンマさんの姿を見つけた。
とはいえ、隠れていると言っても直立不動のあの姿、出ているあの足だけが屈んだところで、その姿は丸見えである。
「ご、ごめんよぉ」
「いや、でも助かったぜぇ……！ 世界がついに俺一人になっちまったのかと思ったぜ。
あと、何だかハム公が──ぎゃああ！」
サンマさんが噂をすれば、わさっと。
遠くの階段から見える、薄茶色の波──！
「サンマさん、このコートと毛布！
ハム来たらマントみたいに振り払ってなぁ！」
速度はそんなに早くはない。瑠樹は間に合ううちにと、持ち出した巨大リュックの中から引っ張り出した、コートと毛布をサンマさんへ急いで渡す。
「おうっ！ ありがとよ！」
そして一匹であれば、とっとこと可愛らしい歩きであろうに、今やその群れはカップからあふれ出たカプチーノを思わせる勢いで襲って来る。
「靴のサイズが分からなかったから、厚手の靴下持ってきたよぉ。
後で上から履いてねぇ！」
「おおっ！ 準備いいな、後で履かせてもらうぜ！」
サンマさんが感嘆の言葉を洩らす。
しかし現状、サンマさんの御足が、実際に人の裸足なのかどうかは、サンマさん当人が“中の人などいない”状態である以上、各人想像に任せたいところである。
そうして、瑠樹がサンマさんの手を引いて、反対側の動いていないエスカレーターを駆け上がった。
「近くの駅かビルの中に逃げよう！」
「建物の中じゃ、ハム公が襲い掛かって来たりするんじゃねーか！？」
「でも、外じゃアイスバーンがあって、ろくに動けないよぉ！」
走りながらの相談だが、息切れしている暇もない。
殆どが波の一部だが、例外としてサンマさんに飛びついてかじろうとする一際凶暴なハムスターを瑠樹が自分用に肩へ掛けていた毛布で振り払う。
「ヤバい、追いつかれちまう！」
「サンマさん、走ってぇ！！」
瑠樹が白猫のリコーダー入れから取り出したソプラノリコーダーを、サンマさんを先に行かせて、振り向きざまにその高音を大音量で吹き鳴らした。
瞬間、ピタリと動きを止めるハムスターの波。
その隙に、瑠樹が再びサンマさんに追いつき、一緒に駅ビルの中に駆け込んだ。
「ま、また……どこから入って来るか分からねーが、しばらくは安心か……？」
サンマさんが安堵の息を洩らすが、ただひたすら数に任せて来る群れに安心できる訳もない。
「今、お兄さんやお姉さんたちに相談してみるよぉ……！」
言うが早いか、瑠樹は携帯を取り出し、急いでねこったーにコメントをした。
“サンマさんを見つけたよぉ！
寝子島シーサイドタウン駅ビル３階！
いつハムに見つかるか分からないけど……がんばるよぉ！”
「しかし、それにしても情けない。
たかだかマイナス６度程度でガタガタ言いおって……北の大地の冬なら、その程度よくある事だったぞ。
交通網も惰弱すぎる。とはいえ、この島の奴らに今すぐ耐性つけろというわけにはいかないし……」
切り取られた空間で完全に沈黙の落ちた世界で、伊賀 解理は光を反射する歩道を歩んでいた。
生粋の道産子であった解理にとって、この程度の寒さなどは日常茶飯事。実際、氷を踏みしめる力は安定感と逞しさに溢れている。
慎重ながらも堂々と歩みを進めていく様は、小さいながらもまさしくその場を確実に支配している姿でもあった。
「テオが空間を切り分けたから良かったようなものの……あのままでは、『彼』も風邪をひいてしまう」
思考を別にしていても、無意識に注意しバランスを取る──滑らないのはまさしく道産子のなせる業だ。
そんな考え事の中身は、彼……想い人から恋人に変わった、解理の愛しの男性のことである。
「いや、むしろそのままで風邪を引いてしまったら、僕が彼を看病する口実が──」
無意識の内にそこまで口にしていた事に気が付いて、誰に聞かれていた訳ではないが解理の頬が一気に熱くなる。
「……じゃなくて、そうなったら大変だからどうにかしてハムスター像を破壊しよう。
サンマさん、は──まあ、それは誰かに任せるさ」
サンマさん──そう、今回の事件において誰もが、誰かしらがサンマさんの元へ向かっているから問題ないと思って疑わなかった。
しかし、その結果、
……サンマさんの命運が、小学生の少年一人の手に掛かっていると知ったのは、それからしばらく経ってからの事となる……
「サンマさーん、来たよぉー！」
「ぎゃああ！ 声を出すな、見つかるーっ！」
──寝子島シーサイドタウン駅にて。
曖浜 瑠樹は、誰もいなくなった駅のホームで、ゴミ箱の陰に必死にかがみ込んで寒さとハムスターとの恐怖でガタガタ震えている、寝子島観光大使であるサンマさんの姿を見つけた。
とはいえ、隠れていると言っても直立不動のあの姿、出ているあの足だけが屈んだところで、その姿は丸見えである。
「ご、ごめんよぉ」
「いや、でも助かったぜぇ……！ 世界がついに俺一人になっちまったのかと思ったぜ。
あと、何だかハム公が──ぎゃああ！」
サンマさんが噂をすれば、わさっと。
遠くの階段から見える、薄茶色の波──！
「サンマさん、このコートと毛布！
ハム来たらマントみたいに振り払ってなぁ！」
速度はそんなに早くはない。瑠樹は間に合ううちにと、持ち出した巨大リュックの中から引っ張り出した、コートと毛布をサンマさんへ急いで渡す。
「おうっ！ ありがとよ！」
そして一匹であれば、とっとこと可愛らしい歩きであろうに、今やその群れはカップからあふれ出たカプチーノを思わせる勢いで襲って来る。
「靴のサイズが分からなかったから、厚手の靴下持ってきたよぉ。
後で上から履いてねぇ！」
「おおっ！ 準備いいな、後で履かせてもらうぜ！」
サンマさんが感嘆の言葉を洩らす。
しかし現状、サンマさんの御足が、実際に人の裸足なのかどうかは、サンマさん当人が“中の人などいない”状態である以上、各人想像に任せたいところである。
そうして、瑠樹がサンマさんの手を引いて、反対側の動いていないエスカレーターを駆け上がった。
「近くの駅かビルの中に逃げよう！」
「建物の中じゃ、ハム公が襲い掛かって来たりするんじゃねーか！？」
「でも、外じゃアイスバーンがあって、ろくに動けないよぉ！」
走りながらの相談だが、息切れしている暇もない。
殆どが波の一部だが、例外としてサンマさんに飛びついてかじろうとする一際凶暴なハムスターを瑠樹が自分用に肩へ掛けていた毛布で振り払う。
「ヤバい、追いつかれちまう！」
「サンマさん、走ってぇ！！」
瑠樹が白猫のリコーダー入れから取り出したソプラノリコーダーを、サンマさんを先に行かせて、振り向きざまにその高音を大音量で吹き鳴らした。
瞬間、ピタリと動きを止めるハムスターの波。
その隙に、瑠樹が再びサンマさんに追いつき、一緒に駅ビルの中に駆け込んだ。
「ま、また……どこから入って来るか分からねーが、しばらくは安心か……？」
サンマさんが安堵の息を洩らすが、ただひたすら数に任せて来る群れに安心できる訳もない。
「今、お兄さんやお姉さんたちに相談してみるよぉ……！」
言うが早いか、瑠樹は携帯を取り出し、急いでねこったーにコメントをした。
“サンマさんを見つけたよぉ！
寝子島シーサイドタウン駅ビル３階！
いつハムに見つかるか分からないけど……がんばるよぉ！”
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2016年04月11日
- 参加申し込みの期限
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- 2016年04月18日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2016年04月18日 11時00分
