【お正月】初夢～今年のお年玉はダテじゃない！｜リアクション

【お正月】初夢～今年のお年玉はダテじゃない！

●妖刀『金』を手に入れた！

　御剣刀は健全で普通の……もとい、ちょっとフツウな男子高校生である。
「お年玉！？　やった！」
　この歳でも貰えるんだなーと、刀は快活に「ありがとうございます！」と喜びを露わにする。
　早速、カバンを開けた。
「うをっ、なんだこれ！？」
　なぜかすげー額の『お年玉』が入っている。
「こんな大金いいのかよ……！？　すげーいくらあるんだろう」
　総額を聞こうにも渡してきた人物は既にいなかった。一枚、二枚と福沢某を数えて、それが二十になったくらいで刀は数えるのをやめた。日が暮れるどころか、ぶっ通しで一週間は続けられそうだった。
　このお金でなにをしよう……？
　最初に「こんな大金もらっていいのか」と思いはしたものの、そこは健全な若者。普段できないこと、やりたくても出来なかったことを考え、ちょっとニヤつく。
「これだけもらったらアレだな、食うしかないな！」
　御剣刀は健全な少年である。
「美味いご飯をたらふく食うぞ！」
　お金を沢山もらっても、ご飯を食べる事しか思いつかない。
　きっと女性に鈍感とか言われるタイプだ。

「いらっしゃいませー」
　刀はまず、焼肉屋に入った。
「やっぱり肉だよな肉！　先ずは焼肉だよ！」
　焼肉は高い。いざ食べたいと思っても、一人で入るのはお財布的にしんどかった。
　だが、今は違う。懐には伝家の宝刀があるのだ。
「どんどんいくぞ！」
「ご注文はいかがですか～？」
「まずカルビちょうだい、カルビ！　タンとハラミも！　後はレバーとホルモンとライスを大盛りで！」
「かしこまりました～。ところでお客様」
「ん？」
「失礼ながら学生様のようですが、お値段こうなりますが大丈夫ですか？」
　刀はカバンから福沢を取り出した。
「これでどう？」
「アギエエエエエ！？」
　斬られたような絶叫をあげる店員。以後、対応が何故か「親切なお姉さん→メイド」のようになってしまったのだが、気にしないことにする。
「野菜は要らないよ、代わりに肉を……あっはい、野菜食べます」
　注文中、誰かに怒られた気がして、刀は野菜「も」食べることにした。
　肉！　肉！　肉！　野菜！　肉！

　次は天ぷら屋へ。
「こう、目の前で揚げてもらうヤツとか行った事ないからな～」
　ガララララ、と小気味よく店の戸を開ける。
「おー、すげー！　一つ一つあげてるよ、凄い！」
「ククク。坊主、ここは地獄の三丁目よ」
「上等なモンは値が張ってなあ……学生さんにはちぃとキツイんちゃいまっか？」
　刀、諭吉を抜き放つ。
「アギエエエ！？」

「熱っ。衣がサクサク、中がホクホクしてて美味しいよ！　これ美味い！」
「坊ちゃんに喜んでいただければ何よりで！」
「締めは天丼で！」
「サー、イエッサー！」
　店員と他の客の態度がおかしいが、気にしないことにした。
「タレと具の組み合わせがいい。これも美味いよ！」
「坊ちゃん、またご贔屓に！」

「次は寿司だ！」
　寝子島には魚市場もあって、新鮮な魚介類が盛り沢山。
　これが寿司になる。絶対に美味いに違いない！
　今度は遠出して、星が丘の有名店へ。
　値札がないので刀は迷ったが、結局片っ端から頼むことにした。
「トロとイクラと穴子と玉子とアジとサバ。あと太巻きとおすすめあったら下さい！」
「ヘイ」
　さすがに普段の客層が違うのか、何も言わず応じてくれる。
「あー、いいな～、これもう最高。幸せすぎる」
　握って出される寿司を頬張りながら、明日から全店制覇だと刀はニヤついた。

　そこで目が覚めた
「……夢？　夢か～、夢かよ！」
　よだれをぬぐって、刀は朝を迎えた。
「まあいいか、いい夢見られたな。今年も良い事ありそうだ！」
　さてそんな彼の朝食は、パンとベーコンエッグ。
「美味い！」
　刀は健全な、フツーの男子である。

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