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豚は出荷よー!
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●
路地裏を歩きながら電話をする少年がいる。
八神 修
だ。
『処理場への手配ありがとう。八神君、だったかしら? あの子がお世話になってるわ。改めて、義姉の虚よ』
「どうもご丁寧に。それで、何か不都合は?」
『なぁんにも無いわ。“缶詰業者”もいることだし、至れり尽くせりね。んふ、欲しい部位があったらいってねぇ♪ おねーさん、サービスしちゃうわよ』
「ああ、良いところを取っておいてくれ。それじゃあな」
通話を切って、一息つく。
彼が虚と話していたのは、豚の処理場についてだ。彼は食肉工場とその処理場を手配し、虚たちが豚を解体加工しやすいように環境を整えた。
「俺が加工場・元所有者・販売所へ手配する。常闇たちが加工し、そして収益を上げる。俺は見返りに少しの肉と販売収益の一部を得る。――俺の労は少なく、収益は大きい」
にやりと口元を歪める修。全てが完璧な計画であった。
「さて、あとは問題が――」
「スースだけ、ね」
横からぬっと巨漢、
尾鎌 蛇那伊
が現れる。
「君も奇矯な子ねえ。豚の王サマと話したいだなんて」
「相手は知的生物だ。それなら、まず本人の――いや、本豚(ほんとん)の意志の確認をするべきだ。そうだろ?」
修の言葉に、けれど蛇那伊は肩をすくめるだけだった。
「そこは君の勝手よ。……話が終わって、スースが投降しないならあたしが殺る。君が危なくなってもあたしが殺る。良いわね?」
「ああ、それで良い」
頷き、ありがとうと告げて修は蛇那伊へと背を向けて、スースのいる方へと進んだ。すぅ、と空気を肺いっぱいに溜め込んで、腹から声を出す。
「――スースよ! スース・スクローファ・ドメスティクスよ! 聞こえるか!?」
「ぶひっ!? 何奴なのだ!?」
道路の中央。近衛の豚たちの上に乗ったスースが反応する。
「俺は八神、お前と話をしにきた!」
「話ィ?」
スースが首を傾げて訝しむ。当然の、予期していた反応であった。だから修は言葉を重ねる。
「俺に危害を加える意思はない。ただ、話したいだけなんだ。なあ、スース。お前はなぜこんなことをしているんだ?」
「何を聞いてくるかと思えば」豚はフゴッと鼻で笑う。「笑止。お前ら人間に殺された今は亡き同胞たちのため、そしてこの世の害悪たるクソゲーを滅しせしめるため、そして我々が本来いるべき大自然に生きる生物としての尊厳を回復させるためなのだ!」
「そうか、君は自分で選んでそこに立っているんだな。――なら、他の豚たちはどうなんだ? 彼らは彼らの意思でそこに立っているのか?」
「ぶっひっひ、無論ここに立つ我が同志たちはこのスースが直々にその蒙昧を啓いてやったのだ」
配下の豚たちは答えず、そしてスースは誇らしげに自分の功績だと言うように胸を張る。
つまりは洗脳。そういうことなんだろうと修は理解した。
「飼われている豚はその豚生半ばで屠殺される。君の豚生は君の物だ。けれど、他の豚たちは自然界で暮らしていけるのか? あるがままにした方が幸せなんじゃないか?」
「一匹一匹では確かに生きるには難しい。ゆえに我々は群れ、そして山で暮らすことを決めたのだ。あるがままに家畜として死ぬならば、いっそ自然の掟の下に死して屍となった方がまだマシだ。そこには我々の、生物としての尊厳がある!」
「然り!」「然り!」「然り!」「然り!」「然り!」
スースの言葉に合わせて配下が声を張り上げる。後ろで蛇那伊が動く気配がした。修はそれを手で制して、言葉を連ねる。返ってくる答えは半ば以上予想できている。けれど問わずにはいられなかった。
「……しかし群れたところで早晩鎮圧されるだろうということぐらい、君ほどの頭があればわかるだろう」
「戦いの中に死を見い出せたのならそれこそ我らが誉れ」
つまり彼らは――彼はただ屠殺されることを不名誉として、尊厳の中で死にたいと願っていたのだ。ゆえに復讐。ゆえに害悪の排除。ゆえに自然への回帰。そういうことなのだろう。
「…………」
修は静かに一歩下がる。話し合いは、もう終わってしまった。入れ替わりにずしりと一歩巨漢が歩み出る。
「いつものことよ」蛇那伊は言う。「フツウじゃない、神魂の影響を受けた豚の反乱。まったく“いつものこと”よ」
あたしたちがそれを解決することも含めてね。そう言って、蛇那伊はスースの眼前へと歩を進めた。
「……自然に生きるということは、食うか、食われるかの生存競争に加わることに他ならないわ!」
なら、と蛇那伊は続ける。
「アタシが貴方達を屠って食べても文句ないわよね?」
「面白い宣戦布告だ、気に入った。ならばスースはこう返すのだ。――やれるものならやってみよ」
傲岸不遜に蛇那伊を見下しながら、スースが言う。それを合図としたかのように蛇那伊は構えを取り、近衛の豚たちが突進を開始した。
近衛ともなれば選りすぐりらしく、その口元からは凶悪な大牙が生えている。牙を生やしたままの豚の育成は日本ではほぼ無いため、これもあるいは神魂の影響か。なんにせよ、あの豚たちの武器は鋭い牙と強靭な鼻先を使った突撃とそこからの“しゃくり上げ”に違いあるまい。
気を抜かず、迫り来る横一列の豚たちを見据える蛇那伊。横に避けることは難しいだろう。かと言って上もしゃくり上げられたらそれでおしまいだ。しかし蛇那伊は知っていた。敵の攻撃タイミングこそ、こちらの攻勢の好機であることを。
ゆえに彼はこちらに来る豚の列目掛けて駆けていた。それを見ていた自殺行為だと瞠目する。しかしさにあらず。駆ける豚たちの狙いが大腿で、まず機動力を削ぎに来ることは知れたことだ。手札が割れているのであれば対処に要するのは充実した気力と不動の心胆のみ。
蛇那伊はスライディングするように右足を豚の顎下に差し込み、左足で地面を蹴り上げて勢いのままに立ち上がるような挙動によって、その豚の喉元へと膝蹴りを見舞った。カウンターである。
「――ふぅっ、まず一匹!」
脳震盪を起こした豚が仰向けになって地面に転がる。
「なるほど、少しはやるようなのだ」
スースが頷いて片足を上げると、その支えとなっていた豚2匹がスースを降ろした。彼らも戦闘に加わるのだろう。
「……それはちょっと、マズイかも」
普段ならば一匹二匹増えたところでと豪語できただろうが、今回ばかりは話が別だ。蛇那伊の広く取った知覚が豚たちはそれぞれ一頭分の間隔を空けて、突撃の合図を待っているのを捉える。二方向からの、格子状の突撃。クロスファイア。避けるのは至難だ。
豚のくせに真っ当な連携を。蛇那伊は口元に笑みが浮かぶ。
――ふと、蛇那伊はひらりひらりと2匹の蝶を視界の端に捉えた。それらは真っ直ぐにスースの元へと飛んで行く。
行けい。スースがそう号令しようとした、その時だった。魔法のように、一瞬の後に蝶が人間へと変身を遂げていた。
「ねぇねぇ」
ふわりと二つの三つ編みが舞う。くすぐるような少女の声。半ば条件反射的に、スースは号令を中断し振り向いてしまう。
「なになに?」
「クソゲ♪」
「なぁ――っ!?」
そう言ったかと思うと、少女はスースの王冠を掻っ攫っていった。
「単なる蝶々だと思いました? 残念! こずえちゃんでしたー☆」
少女、
屋敷野 梢
はいたずらな笑顔を浮かべながら頭に掻っ攫った王冠を載せる。強く対象が蝶へと返信する瞬間を想起することでそれを実現させるのが、彼女のろっこん“胡蝶の詩”の能力であった。
「さあ豚さん! その豚の頭にクソゲーがくっついていますよ!」
ぷふーっ、と笑いながら梢に指差されるスースの頭上には、確かにゲームのパッケージが載せられていた。その表面には「(´・ω・`)」と描かれた張り紙が。
「な、な、な、な――なんたる侮辱か! 者共! 奴を狙うのだ!」
「あっ、ですよねー。王冠が影響してるのかなーと思いましたけどそんなことありませんよねー……。さよならっ!」
回れ右して逃げる梢。それを追うようにスースの号令一下、豚たちが突撃していく。
「へっへーん、追い付かせてやるものですか! 鬼さんこちら手の鳴る方へ~♪」
ろっこんで王冠に蝶の羽を生やすことで逃して自分もまた蝶に化けようとするが、しかし間に合わない。ろっこんの力としては優れた彼女だが、イメージするのには多少なりとも時間がかかる。そして、その時間は梢へと豚が突進をするのには充分過ぎるほどの時間だった。
「ぶひぃ!?」
豚よりも間隔の長い蹄の音、そして破裂するような音が複数。豚たちは戸惑いの声を上げ、突撃を中止して浮足立つ。
「Hi-yo! Silver!」
女性の声が横からしたかと思ったら、梢は宙を浮いていた。いや、厳密には抱え上げられていた。見上げるとそこにはテンガロンハットに赤髪の少女。バニーだ。
「ナイスだウサギちゃん! でも30年代のネタはちょっとどうなんだ?」
「No、まもる。この掛け声はウェスタンスタンダードよ。……っと、大丈夫?」
同じく騎乗して道路を駆けるまもるへと応えながら、バニーはひょいと梢の顔を覗き込む?
「い、いえーす、あいむおーけーないすとぅーみーちゅー」
「Ah、日本語で平気よ。――あたしはバニー。で、自己紹介して早速なんだけど、この辺りは危険になるから少し避難してもらってていいかな?」
「お、おーけー。おーけー」
片言の英語でこくこくと頷く梢。苦笑しながらバニーは梢を降ろした。
「……さあ、うさぎちゃんがよくやってくれてるんだ。俺もひと頑張りしなくちゃな!」
スパイダースパイダー。掛け声と共にまもるは蜘蛛糸を射出し、空をよろよろと舞う王冠を捕まえる。
「ああっ、スースの王冠に何をするのだ!?」
「うさぎちゃん、あのスースーとかいうのがリーダーみたいだ。あいつを狙おう」
「リーダーを狙うのはセオリーね。Watamya Cicillas(小さな銃名手)のバニーの実力を見せてあげる!」
駆ける二頭の馬。スースは自分が狙われていることを知って、配下たちに指示を出す。
配下がこちらに介入できるまでの間に捕らえる。そのつもりで二人はラリアットで二方向からスースの首を絡め取るが――。
「牛や馬とは違うのだよ!」
驚くべきことにスースは自らの両前足を使って二つのラリアットを腕に絡めとり、逆にそれらを信じられないほどの膂力でそれらを引いた。上体が馬体から持って行かれて落馬しそうになり、二人はやむなくラリアットを手放すことで事なきを得た。
「チッ……。キングってだけあって、オツムもカラダも良いみたいだな」
「まもる、危ない!」
何、と振り返れば、すぐ背後に配下の豚たちの突進が見えた。早過ぎる。
馬に避けるように指示を――否、それでは遅すぎる。ゆえに僅かな意思伝達のタイムラグをも惜しむような時間の中、即座に馬を捨てて馬上から転がり落ちるようにしてその場から移動したのは彼の英断であった。
馬のいななき。いくつもの蹄の音。自身がアスファルトの地面に落ちて転がる音をまもるは耳にする。
「光栄に思うのだ! このスース手ずから貴様を葬ってやるのだからなァ!」
地面に這いつくばりながら、まもるはスースの巨体が突進してくるのを見た。どこか冷静に、詰んだ、とまもるは直感していた。
「うぉおおおおおおおおおぉォォッ!」
叫び声と共に、すさまじい音がして、目の前にいたスースが横に吹っ飛ばされた。――蛇那伊だ。
すかさずバニーがまもるを拾い上げて馬上へと乗せる。
「まもる、大丈夫? 怪我はない?」
「ああ、かすり傷程度だ。問題ない」
気遣わしげに声をかけてくるバニーに、なるべく声が苦しげに聞こえないようにまもるは答える。その中で操馬で前を向かざるをえないバニーの背で渋面できたのはある意味で不幸中の幸いと言えた。
「ありがとうよ、タフガイ!」
「感謝は良いから、早く豚たちを……ッ!」
スースとがっぷり四つに組んだ蛇那伊が犬歯をむき出しにしながら答える。
「OK! ……そういうわけだ。まずは配下から無力化しよう」
「それは良いけど、傷が……」
「おいおいうさぎちゃん、ここで諦められるムッシュ様じゃねぇよ。ライ麦畑のキャッチャはな、敵味方もねぇみんなを崖から落ちないよう守るんだ」
「……Okay、まもる。やるわ!」
「よし、行くぞ!」
スースを援護するべく蛇那伊へと突撃する配下たちへ、二人は蜘蛛糸と空気銃を放つ。しかし、手数が足りない。まもるの蜘蛛糸はコントロールは良いが速射性も持続性も、耐久性も足りていない。一方でバニーのエア弾はそこそこの威力とコントロールがあるが、速射性に劣る上にノックアウトさせるには何発か当てるか、急所に当てる必要がある。しかしそれにはコントロールが足りない。
「合わせろ、うさぎちゃん!」
「Roger!」
しかし、二人にはそれを補って余りある連携力があった。まもるが的確に豚の足を狙って速度を鈍らせ、そこをバニーが急所を狙撃する。
「な、なにぃ!? す、スースの近衛たちが!?」
「イイ連携、ねェッッ!!」
一瞬の動揺。蛇那伊がスースの防御を打ち崩すためには、それだけで充分だった。左足に軸を移し、右足で膝蹴りをスースの身体に叩き込む。鈍い音と苦悶の声と共にスースの力が弱まったの好機を蛇那伊は見逃さなかった。彼はその首をしっかりとホールドし、そして抱え上げたのだ。
「すぉりゃあああああッッ!!」
阿修羅の如き形相と雄叫びを上げながら、その抱え上げた巨体を遠心力で振り回す蛇那伊。スイング・スリーパーである。遠心力でどんどんとその首は締まっていき、そして蛇那伊の平衡感覚の限界ギリギリでスースは放り投げられ、地面に叩きつけられた。
「はぁ……、はぁ……、はぁ……ッ! まだ、まだァ……!」
「待って下さい!」
ぜいぜいと肩を上下させながら蛇那伊は追撃を加えようと走り、しかし梢の制止の声で立ち止まった。
「その子は、もう……」
悲しげに眉尻を下げる梢を見て、彼は冷静になった。荒い呼吸を繰り返しながら、今まで戦っていた豚の王を見る。その口からは泡が零れ落ち、巨体はすでにぴくりとも動かなくなっていた。
ふと、ぶひぃという鳴き声を梢は聞いた。牙を生やした、豚の近衛兵。しかしその表情に敵意はなく、すりすりと梢の足に身体を擦り付けてくる。
「豚が元に、戻っている……?」
スースの死と同時に、豚たちへの影響力が途絶えたのだろう。
豚たちの反乱は、こうして幕切れを迎えた。
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グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
コメディ
バトル
動物・自然
定員
15人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年03月20日
参加申し込みの期限
2016年03月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月27日 11時00分
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