豚は出荷よー！｜リアクション

豚は出荷よー！

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「ちょちょちょっ、赤福ラッシュはズルいよぉ～！！」
「ぶっひっひ、勝てば良かろうなの～！」
「すおりゃ！　えいさ！　よっしゃそこだー！　喰らえ、超必殺技～っ！」
「ぶひー！？　ばかな、その攻撃はガードしたはずなの！　……まさか投げ技！？」
　ゲームセンターでは、2人の少女と3匹の豚たちが遊んでいた。皆、クソゲーであれ良ゲーであれ、楽しげに笑い合っていた。究極、ゲームなど所詮は道具に過ぎず、ただ隣にいる者と遊んで楽しければそれで良いのだろう。結局のところ、遊びとはそういうものだ。
「……？　あれ、ブタさんブタさん、ブタさんのターンだよ？」
「さ～、次はどのキャラで来るのかな？」
　絵理奈とはつなが、操作が遅い隣にいる豚たちを見る。しかし――。
「ぶひー」
「あ、あれ？　ブタさんどうしちゃったの？」
「う、うひ～！　か、勝ったからって顔は舐めないで欲しいよ～！」
　そこにいたのは、もう人語を喋れず、ゲームを操作することもできなくなってしまった、ただの豚たちであった。
「そっか……」
　絵理奈は悲しげに俯く。もう彼らともこうして遊べることはできなくなってしまったのだ。
「ど、どうしよう絵理奈ちゃん、この子たち、ただの豚に戻っちゃったよ～！？」
　二匹の豚たちにのしかかられるように顔を舐められてはつなは当惑する。
　うん、と答えて絵理奈は隣にいるかつてのゲーム仲間を見て、そっとその頭を撫でた。ぶひぃ、と豚は心地良さそうに鳴き声を上げる。
「あたしは、面倒を見てあげようかなって思うの。人の言葉が話せなくなったとしても、この子はあたしのお友達だから」
　ぶひー。嬉しそうに豚が鳴く。
　もう周囲が暗くなる時間帯。煌々と明るくゲーム画面と夕暮れの闇とのコントラストが、楽しかった時間の終わりを告げていた。

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