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悪徳は芳しき香りに満ちて
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【表裏】
黒崎という男を端的に言い表すような言葉を、意外にも
城山 水樹
は、ひと目で思い浮かべることができなかった。さぞ印象の強い人物であろうと想像していた……しかし、彼は清潔そうなぱりっとした黒のスーツを着こなし、整った面立ちに柔和な笑みを浮かべるくらいで、他にこれと言った特徴を見出せないような、ごく平凡な男に見えた。端的に言って、あまり印象に残らないような顔だ。
「やあ、お待たせしましたね。画商の城山さん……でしたか」
「……ええ。初めまして、よろしくお願いします」
偽りの肩書きが耳に馴染まず、聞き流しそうになりつつも城山は何とかそう返し、勧められるまま椅子へ腰かけた。黒崎のオフィスは小綺麗で、彼の身なりと同じく整えられていて清潔で、別段奇妙なところは見当たらない。見目麗しい秘書が運んできた茶に毒でも盛られているわけでもなし、そもそも表には、彼の名を冠した小さな看板まで掲げられている。
目の前で微笑む男が、裏では冷酷非情な犯罪組織を率いているなどと誰かに話しても、容易に信じてはもらえないだろう。
「さて。今日は、ビジネスについてのお話ではない、と伺いましたが」
「ええ、ごく個人的な取引のお話を……黒崎さんは、絵画や芸術作品にとても造詣がおありだとか?」
「ああ、そのことでしたか。ええ、まぁ。僕の数少ない趣味でしてね」
もちろんのこと、城山の口から滑り出る言葉の数々は、方便だ。黒崎という男へ近づき、懐へ潜り込むための策に過ぎない。
中沢 リッカルド
……城山の父を陥れ、家族を崩壊させたあの男を破滅に導いた後、城山は裏社会からは遠ざかり、今度こそ真っ当に日の光の下を歩み始めるつもりだった。復讐は終わり、身も心も新しい自分として、新しい人生を始めるつもりだった……しかし、報復すべき相手が中沢だけではないのだと、城山は知った。知ってしまった。
(……
黒崎 俊介
! 中沢もその末端として属していた、大規模な投資詐欺組織……その大元をたどれば、やがてこの男へとたどりつく……)
「城山さん? どうかなさいましたか」
「あ……いえ、何でも。お部屋があまりにもお見事なので、見とれてしまいましたわ。さすが、芸術コレクターとして知られる黒崎さんのオフィスですね」
取り繕った世辞に、黒崎は機嫌良く、ありがとう、などと柔らかく笑うが、城山はその部屋に、いささかの違和感を覚えずにはいられなかった。彼らの腰かけた椅子などはずいぶんと小洒落たデザイナーズチェアで、壁には目に鮮やかな絵画が飾り付けられ、ガラスの戸棚にも焼き物の類が幾つも収められている……城山とて芸術に明るいわけでは無いものの、それらはどこか統一感に乏しく、ちぐはぐなものとして映った。
この男は本当に、芸術を嗜むような感性の持ち主なのだろうか。疑問を抱きつつも、城山は要件を切り出す。
「黒崎さんは、特に絵画をお好みとのこと……現在、ご所望の絵などございませんか? 可能な限り、ご用意させていただきますわ」
「ふむ。そうですね、ありますよ。どうしても手に入れたい一枚が」
実際に、彼の欲しがる絵を手に入れてやる必要は無い。元より、城山にはそんなツテもコネもありはしないが……こうして黒崎へと近づくことで、貴重な情報を引き出せるかもしれない。手管としては、中沢を陥れたやり方とそう変わりは無いものだ。
「……瀬島 作太郎。『子猫を抱く女』」
「! それは……」
ややあって、彼が口にした画題。森繁美術館で催されているという展示会のことは、城山も耳にしていた。しかし、美術館に所蔵されるような、それも掛け値なしの名画と呼ばれるような代物を、個人が所有するために手放すものだろうか。一介の画商が、そんな交渉を請け負うものだろうか。
思案するそぶりを見せていると、彼は砕けた調子で、
「フフ。冗談ですよ、冗談。もちろんね」
どこか含むような言葉とともにに、にやりと笑った。城山が、彼の端正な顔に何かしら意味のある感情を見出すことができたのは、それが初めてのことだった。
報復の対象たる男との初めての面会は、確たる実りこそそう多くは無かったもののつつがなく終了し、城山は今後も末永いお付き合いを、と社交辞令を言い置いてオフィスを出た。こうして繋がりを持っておけば、いつか付け入るべき隙を見出すこともできるかもしれない。
それに……『子猫を抱く女』。その名をまさかあの場で、彼の口から直接聞くことになろうとは、思いもよらなかった。
「どうだったー?」
「ああ……記者さん」
待ち構えていた
鹿島 あおい
が、いかにも楽しそうな様子で尋ねる。
「黒崎って男は、裏じゃあこれでもかってくらいに、黒い噂があふれてるんだよー。会ってみて、どんな奴だった?」
「別に。普通の男だったわ、特に印象に残らないような、ごく普通の」
「へえー! 意外なんだよー」
表向きは単なる青年実業家といった黒崎だが、その手腕は決して馬鹿にはできない。自ずと彼を目の敵にする実業家や投資家の類も現れ、この鹿島が属する新聞社へ多大な出資をしているという彼女の依頼主もまた、その中の一人であるという。
記者、鹿島が城山へと黒崎の情報を知らしめたのは、その取材の過程で、彼女の数奇かつ壮烈な人生の顛末を知ったがため、であるらしい。あるいはその記事で紙面を賑わすため、でもあるのだろうが……聞くところによれば、鹿島が書くものには汚職や収賄の告発などお堅い記事も含まれるものの、多くは世の中を煽るようないわゆるイエロージャーナリズムに則った内容で、お世辞にも信用に足る人物とは言いがたい。とはいえ鹿島は報道の最前線に身を置く新聞記者であり、城山にとって、情報ほど貴重なものは他に無いのもまた事実だ。
「彼、『子猫を抱く女』の名前を口にしたわ。冗談のつもりだったようだけど……」
「黒崎が? ただの一介の画商に? それは面白いんだよー」
「ええ。なぜ、それほどまでにあの絵を欲しがるのかしら?」
城山が調べた限り、黒崎が作者である瀬島 作太郎に特別なこだわりを持つとは思えなかったし、美術館へ収蔵される前の来歴にも、彼と何らかの特別な繋がりは見出せなかった。それにあのオフィスを見る限り、高尚な名画だからという理由だけで、入手しようと思えば困難を極めるであろうあの絵を欲しがるとは思えない。むしろ、他にいくらでもあるだろう安価で手頃な絵を見繕い、壁にかけて満足できるような、およそ美術収拾家とは称しがたい手合いに見えた。
「それがどうしてまた、『子猫を抱く女』なんだろうねー? それも、泥棒を雇って盗ませるなんて、リスキーなことをしてまで。気になるんだよー」
「…………」
鹿島の言葉に、城山は脳裏へと、あの中沢邸での最後の一夜を思い描く。
黒崎が盗みを依頼したのは、手練れとして知られる女泥棒。
桜栄 あずさ
が頼った仲間らの中には、あの夜に城山を助けた、幾人かの顔見知りの名前が含まれているらしい。鹿島が独自のルートで仕入れた情報で、城山はそれを知ることとなった。
(また……助けてくれるかしら)
そんな風に考えて、ふと。城山は小さく、頭を振る。
彼らには、借りがあった。それも少なからずの借りが。
(……いいえ。今度は私が、助けになる番よね)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
前回シナリオ
悪徳は小粋な調べに乗せて
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
コメディ
推理・サスペンス
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年03月02日
参加申し込みの期限
2016年03月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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