this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
R&R Agency:File01:春の肖像
<< もどる
1
…
4
5
6
7
8
…
12
つぎへ >>
● 箱根の保養所
その頃、
御剣 刀
と
鬼崎 あやめ
は箱根のとある保養所を訪れていた。
依頼主である深見 春子に会うためである。
職員に案内されたのは窓の大きな心地よい部屋だ。
ベッドの中、年老いた春子は食事があまり喉を通らないらしく、手も首も細く萎びている。
死期が近い。本人はそのことを受け入れているという。
遙幻の死後、資産家の夫に嫁いだ春子は、金に困らぬ暮らしをしてきたらしい。夫に先立たれ、子もない春子は、自分の死に際して遙幻庵を含めたすべての財産を処分し、何がしかの施設に寄付をしたいと考えている……、とそれは案内してくれた職員が話してくれた。
春子は職員に手伝ってもらってベッドから身を起こすと、
「こんなおばあちゃんのところに来てくれてありがとう。話すのがゆっくりだけど、許してね」
といって屈託なく笑った。
「この依頼には見えない点がある」
ここに来る途中、刀はあやめに向かってこんなことを口にしていた。
「春子さんは何故『春の肖像』が欲しいのか。高値で取引とか言ってるけど、売って何かをしたい訳じゃないよな。それなら遥幻庵を処分する料金だけでも十分いけそうな気がすし、もうすぐ死ぬ時に金を求めるような人ではないように思う。だからある筈なんだ、それ以外の理由が」
『春の肖像』は春子にとって、どういう存在なのだろう。
あやめは自分たちはR&Rの者だと伝え、笑顔で春子の手を握った。ろっこん<リリスの微笑み>を発動させる。するとあやめを見つめる春子の瞳に、実の孫を見るような優しい光が宿るのがわかった。初対面の緊張はほぐれたようだとあやめは思った。これですこし立ち入ったことも聞き出せるかもしれない。
「いま、仲間が遙幻庵を探してくれています。私たちはその手助けをしたいと思ってここに来たんです」
「ええ。なんでも聞いてちょうだい」
春子はあやめの手を握ったまま答える。
そこであやめはまず、春子自身と父、遙幻のことを尋ねてみた。
「私の子どもの頃? そうねぇ……私が生まれたのは戦争の前のいい時代でね。そのころ父は、新進気鋭の画家としていい仕事をたくさんしていたそうよ。私が生まれる前の年には別荘として遙幻庵を建ててね。私たち一家は春から夏にかけては遙幻庵で父がアトリエに籠るのに付き合い、秋から冬にかけては絵を売ったお金で横浜暮らしというのが常だったわ」
「お母さんは物心つく前にお亡くなりになったと聞きましたが」
「ええ、三つか四つの頃に、流行り病でね。あのころは今より簡単に人が死んだから」
「春子さんはご両親のことをどう思われています?」
「父とは二人きりの家族だったから支え合った者同士という感じね。なにしろ絵描きをやってるような男でしょ、それ以外のことはからきしでね。よく私のことを育てたものだと今となっては感心するわ。母については……正直なところほとんど覚えてないの。綺麗な人だった、という印象があるけれど、父がよくそう言っていたせいかもしれないわ」
「遙幻さんは奥さんの美しさに惚れていた?」
「そうなんでしょう。なにせ母は父の絵のモデルを務めていて見初められたんですもの」
あやめは刀に目配せした。刀は小さく肯いてメモを取る。
次の質問をする。
「『春の肖像』という絵の思い出や印象について伺ってもいいですか?」
「あの絵は、父が亡くなる直前に、あの別荘で描いたものなの。私をアトリエの庭先に座らせて。よく覚えてるわ。……ちょうど桜の季節だった。花びらが次から次へと私へ降り注いできた。父が絵を描いている間、私はずっとそれを見ていた。とても綺麗だったわ。……父は描きながら、この絵は『春の肖像』と名付けるつもりだと言っていた。けれど父は、その絵を私に見せてくれなかったの。あの屋敷のどこかにはあるはずなのよ、だって父はその数日後にアトリエで倒れて――絵を描いてから亡くなるまでの間、父はどこにも出掛けなかったし、どんなお客も来なかったのだもの」
「家の中のどのあたりにあるか心当たりはないですか?」
春子は首を振る。もしあれば、もっと早く持ち出していたはずである。
父が死に、横浜で葬儀を終え、遙幻庵を片付けに行った。その時に春子ははじめて、物陰から誰かに覗かれているかのような得も言われぬ圧力を感じたという。遙幻庵を相続したはいいものの、その後は何度行っても家が怖くて入れなかった。春子の夫は幽霊など信じない性質で、あの遙幻の絵を放置するなんて、と屋敷に入ったこともあったのだが、絵は見つからなかったし、そのときも春子は吐き気を感じて外で待っていることしかできなかったという。
では、今まで遙幻庵を処分しなかったのは何故か。
「思い出があるから……かしらね。売ったり壊したりするのは忍びなかったのよ」
でももういいの、と春子は言った。
「私は死ぬんですもの、後始末しなきゃね。後に残る人たちに迷惑を掛けないように」
聞き手が刀に代わる。
「変なことを聞きますが、もしかして、春子さんはお母さんとよく似ていると言われたりしませんでしたか?」
「あら……ええ、若い頃はよく言われましたよ。でも、それがなにか?」
「成長した春子さんの姿は、遙幻さんに出会ったころの妻を思い出させたんじゃないかと思ったんです。じつは、お母さんの名は『春』なんてことは?」
「違うけれど、そのお考えは面白いわ。父が私をモデルに母を描いた……もしそうだとしたら、父はどんな思いだったのかしら?」
「それは……わかりません。でも、春子さん自身のことなら、春子さんにもわかるはず。俺は聞きたい。春子さんがいま、その絵についてどんな思いを抱いているのか」
刀の問いかけに、春子は深く嘆息し、それからまるで少女のように瞳を潤ませて窓を眺めた。
「父があの絵を見せてくれなかったこと、あの家が怖くなったことが、妙に傷になったのね……私はずっと言葉に出来ないもやもやしたものを抱えていた。そしてそのことを考えれば考えるほどに焦がれたのよ。あの絵は一体どんな絵だったのかしら? 一体どこにあるのかしら? あの家はどうして私を拒むのかしら? ――私にとってそれは、人生に引っかかった小骨みたいなものなの」
春子はゆっくりと瞼を閉じる。
「ああ、私は死ぬ前にその謎を解きたい。死ぬ前に一目でいい、あの絵を見たい――」
<< もどる
1
…
4
5
6
7
8
…
12
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
R&R Agency:File01:春の肖像
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
ホラー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年02月27日
参加申し込みの期限
2016年03月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!