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「さあ、こちらの席へどうぞ」
「すみません」
御剣 刀
は密架に案内された席に腰かける。そこは紫のいるテーブルだった。
「飲み物はこのなかから選んでちょうだい」
そう言って差し出された手づくりのメニュー表に、ざっと目を通して言った。
「コーヒーをお願いします」
「すぐお持ちしますから、少々お待ちくださいね」
「ありがとうございます。今日はよろしくお願いします」
会釈を交えて丁寧に返礼をした刀は、キッチンへ戻る密架の後ろ姿を視線で見送ったあと、テーブルに人形のルヴィアを座らせた。
「きれいなお人形ね」
あきらかに自分に話しかけていると分かる言葉に、刀はそちらを向く。
セミロングのきれいな髪が印象的な、物静かな美女が同じテーブルについていた。大学生だろうか。
高校生男子が人形を持ち歩いているのは、少々奇異に映るかもしれない。なかにはそういう男子もいるかもしれないが、刀は見るからに硬派な少年で、傍らに置いた荷物は剣道具。竹刀と分かる物もあり、いかにも稽古の帰りといった様子だ。そんな少年が人形を持っていることが、しかもぬいぐるみやビニール人形などではなくいかにも高価そうなゴシック調ビスクドールであることが、彼女の興味を引いたのだろう。
「見せていただいてもいいかしら」
「……どうぞ」
「ありがとう」
刀の見守るなか、紫は人形に触れる。繊細なビスクドールを扱うのにふさわしい、丁寧な手つきだった。
「腕の石は壊れているのね。とても残念。
あなた、お名前は?」
人形を見ていた視線を刀に向けて問う。刀はどちらを聞かれているか分からず、無難に
「俺は御剣 刀、これはルヴィアです」
と答えた。
「そう。私は仙藤 紫。きょうはよろしくね」
紫はにこやかに返すと、テーブルに運ばれてきたポットからコーヒーを入れて、カップを刀の前に置き、同じ物をルヴィアの前にも置いた。
「はい、どうぞ」
大皿から取り分けたストロベリーパイとクッキーの乗った皿を脇に並べる。わざわざ言ったりはしないが、ストロベリーパイは紫が焼いて、持参してきた物だった。
進められるまま、パイを口にした刀は、外側はサクサクとして内側がしっとりしたクラストと絶妙にマッチしたイチゴのピューレに、思わず「うまい」とつぶやいていた。
いかにもぽろりとこぼれた言葉に、紫は最大の称賛を得たとばかりにうれしそうに笑む。
「ありがとう。決め手はお酢なのよ」
料理に関心のある刀は、特にクラストの方に興味をひかれているようだった。その様子を見て、紫はそっと教える。
「酢?」
お菓子に酢? と素直に驚く刀と同じ反応を見せたのが
市橋 誉
だった。
ひと口サイズにパイを切り分ける。フォークを伝ってきたサクッという感触、色艶もいい。
「食酢を使っているのか。量はどのくらい? あと、このしっとりした内側には何を使っているの?」
興味のある顔をして訊いてくる誉の方を向き、紫はもう少し詳しく説明を始める。
「生地を混ぜるときに大さじ1の食酢を加えるの。お酢っぽさは熱で飛ぶから大丈夫。それからカスタードを――」
ひと通り紫からおいしいパイづくりのコツを伝授される誉。刀はふうとひと息ついて背もたれに身を預ける。そうすると、視界に星のまたたく夜空が入った。
空気を肺いっぱいに吸い込むと、体の芯まで凍りそうな冷たい空気が流れ込んできた。しかし同時に、それらは刀を頭のなかまですっきりとクリアに浄化してくれるような気もした。
その感覚が心地よい。
淡い光を投げかける、みごとなまでに丸い月。頭上の光景に見とれながらコーヒーを口に含む。
(これだけ空気が冷たいと、コーヒーがことさらうまく感じられるな)
ルヴィアはどうだろう。視線を投じた刀の視界に、『memoria』の店内が入った。窓から見える店内は防犯のための常夜灯に照らされていて、オレンジの光に商品の影がぼんやりと浮かび上がっている。
この店については今回初めて知った。
正直、ポスターを初めて見たときは、この寒いときに外で月見をするとか、何か意味あるのか? と思った。それだけだったら「物好きなやつもいるもんだ」のひと言ですませただろう。しかし、ポスターに書かれていた「きっとあしたも晴れるから」という文句がユニークだった。何か突き抜けているものを感じて、ちょっと愉快に思ってしまった。だから来てみることにしたのだ。旧市街ならそれほど遠くもないし。
ただ、店内をじっくり見ることはできなかった。もう閉店時間を過ぎていたのだから当然といえば当然。裏庭へ案内される際、通り抜けるときにざっと見てきただけだ。
(それでも普通の雑貨屋とは少し違う雰囲気を感じたんだけど、どんな商品を扱っているんだろう?)
ふと興味が沸いて、刀は密架を目で捜した。密架はテラスに立っていて、柱にもたれて空を見上げている。
「ルヴィア、ちょっとここで待っていてくれ」
言い置いて、刀は密架の元へ行った。密架もすぐ刀に気づき、笑顔で彼が来るのを待つ。
「どうかしましたか?」
「あの……密架さん、あの子にプレゼントを贈りたいんだけど、何かいい物ありますか?」
少し恥ずかしそうに言う刀の様子に密架は小首を傾げる。刀の視線を追って、テーブルの上の人形に気づいて密架は「ああ」と言うふうにうなずいた。
「女の子への贈り物は、正直よく分かりません! それで、いきなりで申し訳ありませんが、せっかく知り合えたので、この機会に何かお勧めがあれば教えていただきたいと思ったんです」
女の子への贈り物をここまで真面目に考えている、今どきめずらしいほど純な高校男子の姿に、密架はほほ笑む。
「彼女のことがとても大切なのね」
「はい」
「なら、わたしは教えてあげられないわ、残念だけど」
「え?」
「女の子のルール違反になっちゃうから。ほかの女性に相談して選んだプレゼントを贈られたと知ったら、その子、拗ねちゃうわよ」
え? ととまどう刀に、密架はくすりと笑ってアドバイスをする。
「プレゼントの物自体は、そんなに悩まなくていいのよ。例えばアクセサリーだったら髪に似合っているとか、肌に映えるとか、好きな服と組み合わせるといいんじゃないかとか。大切なのは、あなたがそれを真剣に選ぶということなの。あなたが彼女について思い、考えて、費やしてくれた時間に女の子は価値を見出すの。だから、あなたでなくてはいけないのよ」
「俺が、ルヴィアのことを考える時間……」
つぶやき、刀は言葉の意味を吟味するように視線を下げる。そんな刀の肩越しに、密架はテーブルのルヴィアを見た。ふたりの間で何か無言の言葉が交わされたような微妙な空気が流れたが、考えこむ刀にそれと気づいている様子はない。
「分かりました。もう一度、よく考えてみます」
「がんばって。その上で贈られた物なら、彼女は間違いなくとても喜んでくれるわ」
「はい」
礼を言って、テーブルへ戻って行く刀の後ろ姿に、密架はふふっと笑声を漏らす。そしてその視線を階上へ向けた。
階上で1つだけあかりのついた部屋。そこにいる、刀と同じ高校生男子のことを思って、密架はそっとため息をついた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年03月01日
参加申し込みの期限
2016年03月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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