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FEAR THE FORCE:前哨
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思わせぶり、
尾鎌 蛇那伊
はそう感じた。
このAmritaとかいう発信者のやることは、なにからなにまでやたらと思わせぶりだ。伝承歌の妖精騎士のように、思わせぶりな言葉を弄して読み手を誘い、煙に巻こうとしているように思う。
彼ないし彼女は、どこまで真実に、誘い手を近づける気があるのか。
そもそも、どんな目的があってやっているのか。
けれど、と蛇那伊は首を左右に傾ける。間接がバキバキと強い音を立てた。
いずれにしても――謎解き関係は、それが得意な人にやってもらおう。頭脳労働は頭脳労働の担当者に。
そして自分は、格闘労働の担当だ。
「だってアタシ、脳筋寄りだし♪」
ふっと口元が綻んだ。冬の夜の闇にあっても林檎よりも薔薇よりも赤く、新月直前の月のように鋭く美しい唇が形状を変える。
化け物の口に似た洞窟の前で、蛇那伊は呼吸を整え、気を練り上げた。盛り上がった肩の筋肉が隆起し波打つ。胸筋も同じだ。ぐっと膨らんで元の形状へ復した。アポロ像のごとき均整の取れた肉体美。
こうして蛇那伊は戦闘モードに入ったのである。彼の五感は研ぎ澄まされ、冴えきっていた。あたかも、電気のない太古の時代の男(オス)が、皮膚すら目のようにして獲物を追っていた頃のように。
黒豹のように足音を立てず、蛇那伊は己と異質な『気』に満つ魔窟へと入っていく。
やがて、少し開けたホールのような場所に出た。外の灯りが入っているのか、ほんのりと明るい。退場ランプの灯ったプラネタリウムといった具合だろうか。
蛇那伊の腕の辺りがぞわりと粟立った。嫌な匂いがする。硫黄化合物によく似た刺激臭だ。
シャ、と短い破裂音がして、何かが蛇那伊の手刀を受け砕けてた。
一瞬、ボールでも投げつけられたかと思ったが違う。『それ』は自力で飛行してきたのだ。たしかに蛇那伊の喉笛を狙った来た。けれども、それなりの硬度はあるが案外と脆い。彼はあっさりと叩き落とすことに成功したのだった。
バレーボールほどの大きさをした甲虫だった。
甲虫、というのは正確ではないかもしれない。だがそれに酷似していることは確かだ。強いて言うなら、カブトムシのメスが近いだろう。まあ、大きさは段違いだったが。
暗渠のような溝に落ちた蟲をよく調べようとしたものの、蛇那伊が手を触れるより先に、その姿は闇に溶けるようにして消失していた。
――お仲間の気配もするわね。
次の瞬間には、ぴんと伸ばした蛇那伊の脚が、イルカが海面を叩くほどの勢いで自分の後方を突き上げていた。
シューズの踵にたしかな手応えがあった。蛇那伊の強烈な動体視力は、足先で砕けた存在も、やはり丸いニジュウヤホシテントウ(に似た蟲)であると認識していた。これも大きさは子犬ほどもある。
とん、と軽いフットワークを見せ、蛇那伊はいくらか、挑発気味に呼びかける。
「ほら? 一匹一匹かかってきても、各個撃破されるだけよ」
その言葉が通じたのか、うわん、と四方八方から、同じような蟲が大量に飛びかかってきた。
――そうこなくっちゃ。
ちょうど物足りないくらいだと思っていた。これでいい。
これほど天井が低ければ、蟲の飛行能力はさほどの脅威ではなかった。一斉に向かってきたことはむしろ、互いの存在によって自由な行動が邪魔される結果にしかならない。
叩き潰し、蹴り砕き、捌いた一体を他の蟲の攻撃に対する盾にする。
結果、蛇那伊はクレー射撃のメダリストのごとく、飛ぶ標的を次々と落としていったのである。
攻撃の波が止んだとき、蛇那伊の息は上がっていなかった。それどころかせいせい、軽く額に汗を滲ませていた程度であった。
「さて、こんなものかしら?」
この仕掛けには黒幕がいるはずだ。それがAmritaなのか、なんなのかは彼の興味の外だった。ただ、その黒幕が聞いていることを前提として、蛇那伊は洞窟の奥部、暗闇の虚空にこう言い放ったのである。
「この程度でおしまいなんて残念。だったら、さっさとののこちゃんを返してもらうわよ」
「もしかしてその声――」
奥部から返事があった。
ただ、それは蛇那伊が予想していたような、黒幕的な存在ではなさそうだ。
聞き覚えのある声である。高すぎず低すぎぬ標準的な、男子高校生の声である。
「尾鎌君……?」
用心しいしい岩陰から、
佐藤 英二
が顔をのぞかせた。
なんだかんだ言って英二にとってののこは、級友のなかでも、かなり大切な存在……なのかもしれない。いや、間違いなくそうだ。
といってもそれが、likeの感情にもとづくものか、あるいはloveなのかは、英二自身も判っていない。
いつからののこを意識しだしたのかも判らない。しかし気がつくと、ののこはいつも、英二の心の中に座っていた。
「英二くんおごってくれるの? ラッキー!」
「ねぇねぇ、英二くんもこっちにおいでよ! ほら!」
「そんな全力で否定しなくても~」
ののことの思い出は彼の、心のアルバムにしまわれている。いつだって彼女は、大きく口を開けて笑っていた。
可もなく不可もなく、目立った長所もないが短所もなく、なにか活躍することも、逆に悪名を馳せることもない平凡な人間だと、英二は自分のことを思っていた。とくに友人でもなかったクラスメートであれば、卒業するやたちまち忘れてしまうような存在、担任の教師ですら、名前を思い出すのに一秒くらいかかる存在、十年後の同窓会で「あいつ誰だっけ?」と小声で囁かれる存在、一言で言うなら『その他大勢』のワンオブゼムだと。
ただ、そんな自分のことを英二は特に不満に思ったこともなかった。だから自分を特別だとか勘違いして自惚れることだって、なかった。そういった葛藤や万能感は、人間が大人になるのにどうしても通過すべきポイントなのだが、意図せずそれを避けていたような傾向が彼にはある。実はもれいびだったりするのだが、その能力も、周囲から自分の存在を『赤の他人』と認識させるというものだ。
だから衝撃だった。
そんな自分に対して、香川道太郎こと、芸術家の
アルチュール・ダンボー
氏がこう告げたことが。
「ののこ君が危機におちいることがあったら、英二君、きみは全力で彼女を守ってあげてほしいんだ。これは単なる勘で理由は僕もまるでわからないんだけど、ののこ君はこの島にとってとても大切な人のような気がする」
――なぜ、僕なんだろう?
気になった。
英二は腕力の強いほうではない。格段に頭が切れるわけでも、特殊な技能を持っているわけでもない。『ろっこん』だって、人の命を救う役には立ちそうもない。
寝子島高校には、とりわけ、ののこの周囲には、腕力のスペシャリストも知力のエキスパートも、誰にもないスペシャルな技能持ちだってたくさんいるというのに、なぜ平凡なだけの自分がそう予言されたのか……?
でも、と英二は英二なりに固く決意していた。
――野々さんを救けに行こう。
自分に何ができるかわからないけど、行かなきゃいけない……って思う!
だって、ダンボーの話が終わったとき、ののこはこう言ってくれたのだから。
「万が一のときは頼むよ、英二君」
と。
あのとき、英二はダンボーに「はい」と答えた。ののこにもうなずいたはずだ。
約束を果たすときが来たのだ。
ここまで、蟲の脅威から身を隠し、慎重に慎重に、それこそ、這うようにしてここまで来た英二であったが、思わぬ存在を見かけて顔を出したのである。蛇那伊とはかつて、ある事件をともにした経験があった。
「あら? 奇遇ね」
蛇那伊はさほど驚いた様子もなく、
「同行しない?」
と、迷わず英二に呼びかけたのである。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
バトル
神話・伝説
定員
20人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月18日
参加申し込みの期限
2016年07月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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