FEAR THE FORCE：前哨｜リアクション

FEAR THE FORCE：前哨

　まもなくして、石室には七峯亨と詠寛美、それに鴻上彰尋たちの姿も見えた。
　もちろん七夜あおいもだ。
「おっ。無事だったみてぇだな」
　よしよし、寛美が声を上げると、あおいは、
「寛美ちゃん！」
　と両手を挙げた。しばらくそのままで、にっこり笑って待っている。ところが、
「……それ、何だ？」
　寛美が片眉を上げて固まったので、仕方なく亨が、
「ハイタッチだろ……」
　と彼女に耳打ちした。亨はときどき寛美を見ていると、本当は異星人なんじゃないかと思うことがある。（口に出したら絶対怒られると思うので言わないが）
　だがあおいは石室の奥に気がつくと、ハイタッチを中断して無言で駆け出した。
　その先にいるのは……そう、野々ののこだ！
　野々ののこと、七夜あおい、ふたりの示した反応はまるで正反対だった。
「おや？　あおいちゃん」
　一日ぶりに友達と会った場所がちょっと予想外でした、という程度でキョトンとしているののこに、あおいは全力で、体当たりするようにして抱きついたのである。そうして両腕をののこの背中に回し、顔を彼女の肩口に押しつけた。
「どうしたの？」
　あおいは答えない。
　そうして、黙ったまま泣きはじめたのだった。
「あおいちゃん？」
　事態を理解できず、ののこは戸惑うばかりだ。けれども、胸にじわっと温かいあおいの涙を感じて、そっと彼女の頭に手を乗せた。いい子いい子と呼びかけるように。
　いつもはののこがあおいに甘える側なのに――なんだか今日は、逆のような気がしていた。
　ののこは彼女を抱きとめたまま、あおいと同行した夜海霧楓、彰尋、八神修を見回して頭を下げる。
「あおいちゃんを連れてきてくれたんだね？　ありがとう」
　そしてあおいにも告げたのだ。
「……ありがとう」
　と。

　――『FEAR THE FORCE：前哨』　了

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あとがき

担当マスター：桂木京介
ファンレターはマスターページから！

　ご参加いただき本当にありがとうございました。
　マスターの桂木京介です。

　今回……とても辛かった。辛かった、です。
　全般的にヘビーなトーン、皆様からもずっしり内容の詰まったアクションをいただけたこともあり、リアクション執筆には大変な産みの苦しみが伴いました。
　けれどもそれは、皆様のアクションが優れていたという証拠です！
　ポジティブに受け止めたいと思っています。

　さてシリーズ第二弾の登場時期はまだ未定です。
　今回、意外な展開もあったかと思いますが、きっとその勢いは加速することでしょう！（本当か！？）
　
　それではまた、次回のシナリオでお目にかかりましょう。
　桂木京介です。

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