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FEAR THE FORCE:前哨
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妖気――そんな言葉が
優木 遥斗
の脳裏に浮かんだ。
ののこのことを告げるメール。その電子データの背後に、0と1では表現しきれない粘ついたものを感じた。ゆえに遥斗はこのおかしな文面を、誰かのイタズラとは思わなかった。それどころかたちまち、
「『野々ののこ』……」
と彼女の名前を呟いていたのである。
「要するに指定された場所に指定された時間に来い、というわけだな」
メールの内容を誰にも口外せず、ただ心を落ち着けて遥斗はその日を待った。
油断ならぬことになる――すでに彼はそう想像していた。
その予兆は、愛用の竹刀を佩いて洞窟に足を踏み入れたとき、ますます強まったのだった。
真冬であることを忘れるほどの湿度、ほのかに漂うのは、マッチを擦った直後に似た香、そして背筋に、枯れ草の黒い塊でも突っ込まれたかのようなざわめく感触――尋常のものではない。
剣道部員として数限りない試合をこなしてきた身として、遥斗はこれに似た感覚を識っている。
まれなことではあるが、試合のとき、突然実力以上の力を発揮する者がある。なにか物の怪に憑かれたかのように凶暴な力を繰り出す者が。そんなとき、相手が漂わせている気配がこれに似ていた。
剣道の試合なら、正面からその力を避けていなせば気配はすぐに、嘘のように消えてしまうものだが、この空間ではそれが途切れることはなさそうだ。
気をつけて進むとしよう。
一応、登山用のタクティカルライトを用意はしていたが、遥斗はあえてこれを用いなかった。闇に目が慣れるに任せた。
なぜなら光源は、敵にこちらの位置を知らせることと同義だからだ。安全が確認できるか緊急時までは使わないでおきたい。
洞窟の内奥は迷路のようになっていた。
いくつかの岐路を選び、曲がりくねった路を往く。いずれも遥斗はあえて、危険な気配が濃い方向を選んでいた。そのための警戒だ。そのための、竹刀である。
緊張の糸が切れぬよう、道々遥斗はメールの文面を思い起こしてみた。
――『滝ヲ遡ル者ニ用ハナイ』……か。
耳を澄ませてみる。水音のようなものは確かに聞こえる。鍾乳洞ならば滝があってもおかしくはないだろう。しかし、『遡ル』とはどういう意味なのか。滝のイメージからすれば、上から下に落ちるものを逆流するというのは不可能に思える。
それに、『雲ヲ得ルノモ無縁』とは――なにか、つかみどころのないものを表現した言葉なのだろうか。
さらに意味不明なのが、『髭ヲ狙ウ者』という句である。なぜか、猫の髭が浮かんだ。
――猫か、動物を追いかけろということか?
ほとんど謎かけだ。いや、実際に謎かけをしているのだろう。ののこを取り戻すヒントなのだろうか。
それとも、罠か。
瞬時にして遥斗の思考は中断された。そうして彼は、身をすくませ警戒姿勢を取った。すでに竹刀は構えている。
ずしっ、と、鎧櫃を投げ出したような音が目の前で立ったのである。ぴしゃっという水音も。
つづいて、硬いものを擦りあわせるような音。
ちりちりと、アルミ箔が剥がれるような音。
暗がりに、石鹸ほどの大きさをしたオレンジ色のものがふたつ灯った。
――甲虫?
その生物は、確かに甲虫の姿に似ていた。
ずんぐりとしたカナブンのような、あるいは、大顎の小さなクワガタムシのような。
けれども口から尖った針のような器官を伸ばしているところは、明らかにそれらとは異なっているし、なにより大きさが違いすぎる。体長だけでも遥斗の腰の辺りまであるのだ。それに、マッチを擦ったときのようなこの香はなんだ。
虫というよりは、その気味の悪さも考慮に入れて『蟲』と呼びたい。
ちりちりいう音、それと硬いものを擦り合わせるような音は、蟲が羽根をしまう音だった。硬い外羽根を開いて、内側に柔らかい内羽根を折り畳んで収納する。オレンジの小さな眼が点滅した。
蟲は、遥斗を襲うために着地したのではなかった。このとき、
「うわあっ!」
どこかから女性のものらしきか細い悲鳴を聞くと、探していた、とばかりにまた羽根を広げ飛翔していったのである。びりびりびりびり、という和紙を震わせるような羽音がした。
声の主、おそらく若い女性が、あの蟲ないしその眷属に襲われているのだと遥斗は直感する。とすればもう、気配を殺してはいられない。遥斗はためらわずライトを点けると、
「待て」
一声あげて走った。腰を低く、いつでも抜けるよう竹刀に手をかけ、一迅の風のように、幕末の志士のように馳せる。
「野々さん……あっ!」
豊田 華露蘿
は不気味なメールを二度読み返し、唐突にののこのことを思い出していた。
シャーペンの替え芯が入った袋を破くように、不意に記憶の口が開いたのだ。
野々さんというのは、文具店にたまにやってくるお客さんだ。小雀みたいに元気な女の子で、跳ねるようにペンや消しゴムを買いに来る。話好きなのか、来るたびに色々、雑談をしては帰っていくので華露蘿もよく覚えていた。
よく覚えていた……?
そう、華露蘿は
よく覚えていた
のだ。
客商売ゆえか、華露蘿は意識せずとも、よく来る客の顔や名前は自然に記憶していたのである。それが、ののこのように、特徴のある子であればなおさらだ。ののこが寝子高生で、勉強はあまり得意ではないが友達は多いということ、頭にピンと、特徴的なハネっ毛があるということ、いつも黒いソックスで、自称ずぼらなのでまったく同じものの洗い替えを何組も持っているということ、シャープペンシルのノック部分を、無意識のうちにかじる癖があるということまで覚えている。
覚えていたはず
だ。
それを忘れていただなんて、我ながら粗忽だったと華露蘿は思った。
しかし単なる『うっかり』なのだろうか……?
綺麗に使い切ったつもりでも、なぜかいつまでも書けるボールペンインクのように、華露蘿の心には消えない疑念が残った。ののこが危険な状態であるらしいということも考え、ついに華露蘿は洞窟に入ることを決意したのである。
――お得意さんのピンチなら、売り上げアップのためにもお助けしないと!
さてこうして洞窟に入った華露蘿だが、もちろん無策で来たわけではない。洞窟内はむしろ暑いくらいだったので防寒具は無用となったものの、社員割引で購入したチョークは、来た方向を記すのに役だった。グリップのところが鉄の棒のようになっている強力な懐中電灯と、在庫で埃を被っていた古い地図も用いて、案外さくさくと、洞窟の奥まで進んでいたのである。
ところが、
「大きい……虫?」
華露蘿は洞窟内で唐突に、複眼の主と出くわしていた。
カミキリムシ風だが、それよりずっとずっと大きい……子どもくらいの背丈がある!
大きな顎がパキパキと嫌な音を立てた。動きがコマ撮りアニメのようだが、あれはまぎれもなく現実の存在だ。この寝子島ではUMAの類の目撃談が後を絶たないとはいえ、こういうのは見たことも聞いたことがなかった。というか、見たくなかった。
シャーッと威嚇するような声を上げて、巨大昆虫は両手の鎌を振り上げた。そう、この怪物はカミキリムシに似ているだけではなく、カマキリ風の両腕を有してしているのである!
――両方ミックスしてカ『マ』キリムシなんてね。
そんな冗句が思い浮かんだものの、口にしている場合ではないだろう。
「うわあっ!」
華露蘿は背を向けて逃げ出していた。けれども怪物は……追ってくる!
どうやら怪物はそれほど足が速くないらしく、華露蘿は振り返り振り返りして、徐々に彼我の距離が開いていくのを確認したものの、安堵は与えられなかった。
ひっ、と首を絞められたような声が出る。今度は眼前に、大きなカナブンをもっと怖くしたようなのが着地したのだ。口にはセミのような針が飛び出している。針の先端は鋭く、太くて、とてもではないが樹液を飲むためのものとは思えなかった。
けれども足がすくんだそのとき、パンっ、と今度は、力強い音が立ったのだ。
一本の竹刀が閃光のように、甲虫の頭部に振り落とされる音だった。
竹刀の先は地面にまで到達した。すなわち、打たれた怪物が砕け、消滅したということである。
遥斗は倒した相手に目もくれず、一足跳びに華露蘿の背後まで駆け抜けると、迫り来るカミキリ風の蟲に対し、青眼からの稲妻のような打擲を与えた。
ぴしゃりと激しい音を立て、硝子細工のようにこの蟲も砕け、またたくまに消失する。
「……」
蟲がもう周囲にいないことを悟ると、ようやく遥斗は竹刀を下ろした。
そうして、華露蘿に向かって深々と頭を下げ、一礼したのである。
「お怪我はありませんか」
「は……」
声をかけられてようやく、華露蘿は夢から醒めたように彼を見上げた。
「はい」
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
バトル
神話・伝説
定員
20人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月18日
参加申し込みの期限
2016年07月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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