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FEAR THE FORCE:前哨
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――13才になったばかりの夏の日、僕は交通事故に遭った。
そう、こんな暑い日だった。
少年は少年に戻っていた。時間を遡って本来の姿に。
ジーワジーワと頭上では、蝉の鳴き声がかまびすしい。彼らは暑い夏を演出するためにいるのだろうか。それとも、夏が彼らを駆り立てているのだろうか。
ほんの数年前まで、少年も蝉とりに夢中だった。
それが今では、ただうるさいだけだと思うのだから、不思議である。
そうだ、こうして真夏の日中、立ち尽くしていていいはずがない。それこそ、ロウソクみたいに溶けてしまうだろう。
姉の姿を探した。見つけた。彼女はもう先の、横断歩道の途中にいる。
「おそーい!」
しかも彼女は、いちじるしくご立腹の様子だ。
「待ってよー、ほのかねーちゃん!」
そろそろ姉とプールに出かけることを恥ずかしがる年齢にさしかかる頃だが、少年にその感情はまだ訪れてはいなかった。ずっと姉に可愛がられて育ったせいもあるだろう。幼心にも、美人で自慢のねーちゃん、と思っているところもあっただろう。ともかく彼は姉のことが好きで、姉から置いて行かれるのは嫌だった。
信号は青。母犬を慕う子犬のように猛ダッシュして、渡りきる寸前で追いつく。
次の瞬間姉弟は、信号無視で突っ込んで来た大型ダンプカーに撥ねられた。
――いけない!
だがこのとき少年は、横断歩道に入る直前でそのことを思い出したのである。
ダンプカーに撥ねられた記憶。
よく覚えている。
あのとき、先に横断歩道を渡り終えた姉一人だったらダンプを避けることができただろう。だが彼女は、弟の自分をかばおうとして反射的に飛び出していた。
それゆえあえなく二人とも、撥ね飛ばされてしまったのだ。
病院のベッドで目覚めたとき、少年は、自分が『ほのかねーちゃん』になっていることに気がついたのである。心は自分、だけど肉体は……姉。
そのとき『ほのかねーちゃん』の肉体は、奇跡的なことにかすり傷程度だった。ところが自分の本来の体は損傷が酷く、地面に叩きつけられたときにはもう事切れていたという。
こうして、ほのかの体に宿った弟として、彼は新しい人生を歩み始めたのだった。
本来の『ほのかねーちゃん』の心は、どこにいったのかまるでわからない。心の中でいくら呼びかけても応じる声がないのだ。
順当に考えれば……最悪の結果しか出てこない。だから彼、いや彼女は、深く考えないようにしている。そうして、いつか姉に再会できる日を夢見ている。
――やり直す機会が来たんだ!
このときほのか(の中に住む弟の魂)はそう確信していた。
過去を変えるのは簡単だ。
目の前の横断歩道を渡らなければいい。
――それで『僕が死んだ過去』はなくなるんだから。
運動靴が、横断歩道の白線を踏む前に止まった。
でも――彼は考える。
なぜ自分だけが、過去に入れると考えたのか。
――もしここでほのかねーちゃんが『僕が死んだ過去』を変えたことで、『僕がねーちゃんになっちゃった現在』があるんだとしたら……? そしてもう一度それをやったらどうなっちゃうんだろう……?
少年の目の前は真っ暗になった。
運命に、抗えない。
ベルトコンベアに乗せられたように彼の体は――。
現象は、はじまったときと同じく、唐突に終わった。
震える宮杜ほのかの体を抱きとめていてくれたのは……。
「泰葉さん……!?」
会いたかった人に再会できて、ほのかはほっと肩の力を緩めた。まさかここで会えるとは思わなかったものの、知っている顔に救われた気がする。
うたた寝、というのは違うかもしれない。短い時間だが、ほのかは夢を見ていたようである。ただ、普段見る夢と違って、意識が戻ってからもずっと、夢は心に残ったままだった。寝ているとき見る夢は、起きるやたちまち、もやのように消えてしまうというのに。
「もう大丈夫」
泰葉は告げて、ほのかの頭を撫でてくれた。
「泰葉さん……僕……」
過去、といっても、ほのかが『ほのか』でなくなってからのことだが、彼女は一度、泰葉に救われたことがある。
救われるのはこれで二度目だ。泰葉は、ほのかが意識を取り戻すまで、ずっと支えていてくれたという。
「夢を見たんだ。不思議で、怖くて、悲しくて僕は無力で……」
泰葉は黙って目を伏せた。夜の仕事のときほどメイクをしていないので、今夜の泰葉は、ほのかの記憶よりは淡泊な顔立ちだ。肌の色もくすんでいる。もしかしたら泣いたのだろうか、普段よりずっと腫れぼったくなった目を、ほんの少し充血させていた。
けれども泰葉はやはり泰葉だ、ほのかにとって、憧れの人である。
「ほのかちゃん、私は、その口調も可愛くていいと思うけど……」
彼女は微笑して言った。その笑顔が、ほのかをしゃんとさせてくれる。
「でもほのかちゃん、気にしてるみたいだから言うね。また言葉使いが、男の子っぽくなってるよ」
「え!? 本当、き、気をつけないと……」
ほのかは頬を赤らめていた。
「じゃあ、もう戻らない?」
どんな夢だったのか、泰葉が聞かなかったことにもほっとしていた。触れてはいけない話題だと、泰葉が前もって感じ取ったのかもしれない。
――あの子……ええと、『ほのか』と呼ばれている子がいてくれて良かった。
彼女らのやりとりを眺めながら南戸河蔵人は溜息をつく。
泰葉がほのかの窮地を救っただけではない。ほのかの存在もまた、泰葉を救ってもいた。ほのかが自失の状態でいるのにいち早く気がつくと、泰葉は泣き止み、別人のようになってほのかのもとに走ったのである。
――それにしても、泰葉さんがどんな過去視をしたのかが気になるね。
蔵人の胸にも、過去、書かれなかった小説への甘苦い思い出が去来したが、きっと泰葉の体験した過去は、そんな程度ではすまないものだったのだろう。悲惨な家庭環境にあったのだろうか、それとも、道ならぬ恋に傷ついたのだろうか――ああ、いかんいかん、と、蔵人は自分の頭をとんとんと軽く掌底で打つ。
どうもすぐにストーリーを想像してしまっていけない。小説家としての悪い癖だ。
恐る恐る、華露蘿は泰葉に話しかけている。
「あ、あの……」
「どうしたの? 瑠住さん?」
げふんげふん、華露蘿はまた空咳して、
「ええとですね、僕、研修が終わったんで本名『豊田華露蘿』として活動してますっ!」
言いながらなぜか直立し、ピシャリと敬礼する。
「あ、それはごめんなさい。豊田……さん?」
「はい豊田です! それはそうと」
言いながら華露蘿はしげしげと泰葉の顔を見た。
「……えっと、今日、メイクあんまりしてないから、あまり見ないでくれると嬉しいんですけど……」
「ややっ! 失礼しました!」
――ダメだ。さすがに訊けない。
華露蘿はどうしても言い出せない。もしかして僕と同級生だったんじゃありません? ……なんて。
けれども今の泰葉、つまり、アイシャドーもつけ睫毛もない彼女は、記憶にある彼女とあまりにも似すぎているのだ。
――泰子ちゃんと……。
しかも彼女は苗字が『五葉』だった、だからフルネーム中に、『泰』も『葉』も両方入っているではないか。だがそれだけで、過去に同級生だったと決めつけるには根拠が弱すぎる。
――せめてもう少し、親しくなってから……。
軽く出身地を訊くなどして、少しずつ近づいていきたい。
しかし『プロムナード』の体験バイトはあの夜限りで終わってしまった。これでは華露蘿にとって、なかなか泰葉に近づく機会はなさそうである。
だったらまた、バイトするとか……?
あるいは客として……?
「皆さんは、戻られるんですか?」
優木遥斗は、蔵人、泰葉、ほのかと華露蘿の意向を確認している。全員その意思のようだ。チョークで記した目印をたどっていけば、帰還はそれほど困難ではないだろう。
――俺はもう少し、ここを調べてみたい……。
遥斗はそう考えている。
――いや、『俺たち』、か。
寝子高の一年だと言っていた御剣刀……彼はもう、挨拶もそこそこに先へ向かってしまっていた。
刀に対抗するつもりはないが、自分もこの先を見届けたいという気持ち遥斗にはあった
けれど、その一方で彼は思う。
――女性が三人もいる。
蔵人という男性もいるにはいるが、彼一人に華露蘿たち三人を預けてしまうのは負担が大きすぎないか、という気がした。
華露蘿が見ている。
ほのかも、泰葉も見ている。
自分に視線が集まっている――遥斗は、喉の渇きを覚えた。女性に見られるのは、慣れていない。
それに好奇心と正義感、これを天秤にかければ、遥斗の場合後者に傾くのだ。
「では責任を持って、皆さんを出口まで送り届けます」
彼が言うと、
「ありがとう」
ほのかが嬉しそうに笑った。
「あ……うん……まあ、そういうことで……」
遥斗の舌はややもつれてしまった。
女性と言葉を交わすのは……苦手だ。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
バトル
神話・伝説
定員
20人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月18日
参加申し込みの期限
2016年07月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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