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FEAR THE FORCE:前哨
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目に見える情報は極端に少ない。天鵞絨のような闇に、ほとんど閉ざされていたからだ。突如として大ホールの照明が落ちたばかりなのだ。
「これもお前の仕業か、七男!」
「違う! 誰かが電源盤を操作しているんだ!」
誰かが声を上げている。怒声が飛び交っている。恐慌の気配は今や、肌に触れそうなほどだ。
このとき人々の声をかき消す勢いで、大型の獣らしきものの唸り声が轟いた。
低く、深く、怒りに満ちた声である。
ついさっきまで刀は、ハーブのように清涼な香をとらえたように思ったが、いま、彼が嗅いでいるのは血の臭いだった。錆びた鉄釘のような嫌な味が口中に広がっている。
だが、本当に血なまぐさくなるのはこれからだ。
――やはりこれは、七男が刺されたときの……。
御剣刀は己の過去にいた。記憶を追体験しているのだろうか。しかし、映画のDVDでも流しているような客観性はない。刀は騒動のただなかにいるのだから。紛れもない現実感がある。
決定的な瞬間はまだ訪れていなかった。
七男はまだ刺されていない。
刀は知っている。いま決断すれば、最大の悲劇は避けられるはずだ。
刀の頭のなかで、ガチン、と冷たい音が鳴った。撃鉄(トリガー)が落ちるイメージ。金属と金属がぶつかりあい、小さな火花が散るところまでありありと想像する。
――加速!
能力が顕現した。闇中でも七男の場所は覚えている。刀は一迅の風となり、七男の立つ場所へ突進していた。
両手で七男を突き飛ばし、彼がいた場所に入れ替わる。
直後、どすっ、という衝撃が刀の躰にぶつかった。
腹部にひやりとした感触が走った。
このときである。息を吹き返したようにホールの明かりが戻ったのは。
蛍光灯の乱暴なまでの明るさが、刀と、彼が受けた凶刃をさらけだしていた。
サバイバルナイフだろうか、刀が脇腹に受けたのは大型の刃だった。握りに英文字で書かれたメーカー名までよく見える。肋骨の下の柔らかい部分であったことも災いした。刃は深々と、全体の三分の二ほども突き刺さっているのだった。
――冷たい。
痛みよりもまず、刀が抱いたのはその感覚だった。
血の気が引いていく。足が震えた。赤いものが吐瀉物のように、勢いよくぼたぼたとあふれ足元に溜まっている。
唇の端から赤い唾液が一条、垂れていった。
けれども刀は、満足げな顔をしていたのである。
――これでいい。これでよかったんだ……俺は……。
目の前でパチンと指でも鳴らされたように、はっと刀は眠りから覚めた。
眠っていたのではないかもしれない。立ったままだったからだ。けれど、やけに現実味のある夢を見ていたように思う。
笑みが口元に浮かんだ。二度目はしくじらなかったというわけだ。
――アレを忘れるわけがない、守りたかったって気持ちも変わらない、だから成長しようと足掻き続ける俺がいるんだから。
けれども刀が浮かべている笑みは、自嘲気味な寂しさを内包している。
今回は、守り切ることができた。
でもその『今回』は、単なる幻だったのだから。
日本は均一だという意見があるが、豊田華露蘿はそれに賛成しない。子ども時代、転勤族の父親にくっついて全国津々浦々に住んだ経験上、同じ日本でも各地各地で、それぞれまったく異なる気候風土があることを彼女は知っているからだ。
移り住んだ土地の滞在期間は、だいたい半年から一年程度が主だった。それはちょうど、親しい友達ができたころに、別離を経験するという周期になる。華露蘿は自分の性格が、こうした出会いと別れの繰り返しによって形成されたのではないかと思っている。無論、悪い意味ではなく。
華露蘿が和歌山県の小学校に通った時期は、例外的に短かった。高野山の近くにある歴史のある学校で、三年生の夏休み明けからの、ほんの二ヶ月程度である。
今、華露蘿はその頃の姿に復していた。背はぐっと小さく、眼鏡はまだかけておらず、前髪をきれいに切り揃えた黒髪を、腰のあたりまで伸ばしていた頃に。
転校先のクラスは地味ながらも明るくまとまっており、華露蘿もすぐに溶け込むことができた。そうした日々を過ごすうち、彼女にはひとつ、気になったことがあった。
「……あの子、どうしていつも一人でいるの?」
クラスの片隅に、なぜなのか軽く距離を開けられ、ぽつんとひとつ、陸の孤島のように置かれた机があった。そこに座る女の子は、誰の会話の輪に加わることもなく、休み時間も給食のときも、いつも窓の外を眺めていた。まるで窓から、飛び出して逃げてしまいたいと思ってでもいるかのように。
その女の子の顔を、華露蘿はどうしても思い出せない。
だから今、せっかく過去の世界(?)にいるというのに、なぜか少女の顔は、影がかかっていて確認できないままだ。
華露蘿の質問に答えるクラスメイトはいなかった。窓際の少女について質問しても、誰もが目をそらし話題を急に変えてしまってまともに取り合ってくれない。中にははっきりと、「その子の話はやめよう」と言い切った者まであった。
なぜ窓際の少女が一人きりなのか、華露蘿にはわからないままだった、
秋のある日、社会科見学として学年全体が校外に出る機会があった。
浄水場の見学のあと、敷地内の大きな公園でお弁当を食べるという内容である。
朝、思いきって華露蘿は彼女に話しかけたのだった。友達同士の集団から離れ、一人で呼びかけた。
「ねえ、一緒に行こうよ」
それがひとつのきっかけになった。
まるでスイッチが入ったように、そこから周りの子は華露蘿に冷たくなった。話しかけてもよそよそしい態度を取るようになったし、露骨に無視する子も現れた。
だが一方で、窓際の少女とは親しくなることができた。笑顔を見ることができたし、たくさん、話もするようになった。親友になれた……かもしれない。
しかしその時間は圧倒的に短かったのである。もっと早く、声を掛ければ良かった。
――まもなく父さんが本省に呼び戻されることになって……急にお別れに。
どんな風に別れたかは忘れてしまった。それどころか、彼女の顔も名前も、華露蘿の記憶には残っていない。だから当然、その後彼女がどうなったかも知らない。
華露蘿は、少女と親しくなれて良かったと思っている。一切後悔はないから、この、不意にやって来た再会の機会でも、社会科見学の朝に迷わず彼女に声をかけたのだった。
けれどかつてと今、決定的に違うことがひとつだけあった。
華露蘿はこのとき、しっかりと彼女の顔を見てこう告げのだ。
「君の名前は……?」
いつも窓の外を見ている少女が、顔を上げた。暗い影がさっと晴れた。
やや腫れぼったい瞼をしており、垂れ目、唇は薄く、歯並びも悪い。決して美少女ではないものの、笑うと愛嬌があった。
その目、その笑顔に華露蘿は見覚えがある。
遠い過去に見たことがあるから? 違う。それだけではない。
つい最近見たような――。
少女は言った。
「泰子、五葉泰子(ごよう・やすこ)――」
――そう、泰子ちゃんだよ!
思い出した。そう、窓際の少女はそんな名前だった! 華露蘿はポンと手を打ちたい気分だった。というか実際、ポンと打っていた。
それが魔法を解く合図だったのだろうか。小学三年生だったはずの華露蘿が、大人の文具店員である今の華露蘿に戻っている。いきなり視点が高くなって、いきなり自分の両手が大きくなったように見えたのは、なかなかの驚きだった。
「あれ? ここは? ええっと……」
色とりどりの蛍光ペンが詰まった箱をひっくりかえしたときのように、あれこれ色々な言葉が錯綜してしまう。
「これでいい。これでよかったんだ……俺は……」
思わぬ声にぎょっとして顔を上げると、闇の中から現れた少年(御剣刀)が、なにやら呟いているではないか。優木遥斗が困ったように、「大丈夫か?」と彼に呼びかけている。
そしてやはり、泰葉はうずくまったまま泣いている様子だ。
華露蘿はぶるっと首を振る。やはり異常事態らしい。どう収拾を付けよう?
ふと見ると、日本刀を提げた少年には連れがいることがわかった。彼の体躯に身を隠すようにして、一人の少女が寄り添っている。
うーん、と華露蘿はうなった。少女は、大和撫子と呼びたくなるような可憐な容貌なのだ。ところがその彼女も、目の焦点があっていない様子なのである。やはり夢か別の世界――おそらくは過去に入り込んでいるのではあるまいか。
結論から書く。華露蘿の見立て通りであった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
バトル
神話・伝説
定員
20人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月18日
参加申し込みの期限
2016年07月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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