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FEAR THE FORCE:前哨
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「うわわわわー!」
ぐるぐると腕を振り回して、鷹取洋二は必死に蟲を追い払おうとする。地上にあがったゲンゴロウみたいな姿だ。しかもこいつは、飛ぶ。
人間の頭部ほどある飛行ゲンゴロウは、洋二のワカメ頭が気になるのか、やたらと彼にたかってくる。
「逃げ回っていないで、有効な策を取れ!」
海原茂のほうは、雷撃を発生させ、たかってくる同じような蟲を焼き落としている。
「いやいやいや先輩、これでも有効な策を取っているんですよ僕ァ。桜庭くんと小山内くんから蟲を遠ざけてこっちにおびき寄せ……わわっ、来るな-!」
洋二の言っていることもあながち強がりではない。彼は大きなアクションで、蟲の注意を惹いているのだ。
なぜなら小山内海と桜庭円は、いずれも不安定な姿勢で立ち尽くしているからである。このままでは絶好の標的だ。
海も円も、目こそ開いているものの、電池でも切れたようになにも見ていない。
反応もしない。
こうなったのは数十秒前だ。そしてこれを狙うように、蟲が次々と出現した。
かぐわしいローズマリーの香りに包まれ、円は別の時間軸にいる。
洞窟に入ったときは真冬のはずだったが、いまは真夏だ。
違和感はない。どこかでスイッチが切り替わったのかな、と、ぼんやり考える。
スイッチが入った瞬間、円は小学生に戻っていた。背の関係上目の位置が低い。そうそう、あの頃、世界はこんな風に見えていたんだった――。
真夏であっても夜になれば涼しい。浴衣姿ならそれも二割増しだ。
天の川をかき消すように花火が咲き乱れているこの夜、地元の人々はほとんど空を見上げていたであろうに、円たち五人はそれを尻目に、空がまったく見えぬ横穴に忍び込んでいた。
正確にはこれは、かつてさかんに掘られていたという廃坑のひとつだ。とうの昔に資源は掘り尽くされており、学校からは当然、立ち入り禁止の旨が固く申しつけられていた。けれどそんな言いつけも、赤茶けた有刺鉄線のフェンスも、子どもたちの好奇心を押さえつける役には立たない。
この夜、錆びたトロッコのレールを平均台のように伝い歩いて、円たちはかねてからの計画を実行に移したのである。
すなわち探検と、秘密基地づくりだ。
ぱぱっと五本の懐中電灯が灯った。今夜ばかりは大人の目も届かない。彼らは賑々しくと坑道を進んでゆく。
「……でさあ、迷ったから、うちにあったお菓子、全部持ってきたわけ」
「だからそんなにリュック大きいのかー」
「食いしん坊だよなー」
などと笑いあう。ダジャレを言うものあり、テレビコマーシャルのモノマネを披露するものありで、和気あいあい、探検というより夜の遠足という雰囲気だった。
ところがこのとき一人だけ、まったく口をきかない少女がいた。
暗いためしばらく、夏美が口を閉ざしていることに誰も気がつかなかった。ようやく円が、
「夏美ちゃん、さっきから黙ってどうしたの?」
と声をかけて、他の三人も遅まきながら気がついたという次第だ。
夏美は、たしかに多弁なほうではないが、それでも無口ということはない。そもそも、坑内に入るまでは一緒に笑いあっていたのだ。それが、突然人が変わったように口を閉ざしたのである。
夏美は答えなかった。
ところがだしぬけに、彼女は手毬唄のような童謡を歌い出したのだ。
円は確かにその歌を覚えていた。何年か経ったいまでも、肌が粟立つような旋律だ。
――いま?
円の頭はやや混乱した。いまの自分は神奈川の小学生なのか、それとも寝子島の高校生なのか。どちらのようでもあり、どちらでもない気もする。
しかし疑問はたちまち溶けて消えた。そうして再び、円は夏美の唄に相対している。
決して不気味な歌でない。古語まじりゆえ意味はつかみかねるが、高く低く転調する陽気な唄だ。剽げているようなところすらある。
しかし調子こそ陽気とは言え、刻まれるメロディはどこかうら悲しいのだ。
「夏美ちゃん……なにその歌?」
笑わせようとしてるんだ、と無理に円は思おうとしたが、本能的にそうではないと知っていた。
ふわっ、と宙を走るような足取りで、夏美は走り出してやや前で止まった。
そうして振り向くと、
「こっちで遊ぼう」
目にかかった黒い前髪も払いのけぬまま、手招きしてきたのである。
四本の懐中電灯が、夏美と、その周囲を照らした。
夏美の隣には神棚のようなものがあった。
半ば以上崩れているので、「ようなもの」としか言いようがない。
枯死したお供えの花葉と、煤けた白陶器の花瓶、横倒しに転がる白木と、砕けた鏡……。
――なんかやばいな。
あの日体験したのと、まったく同じことを円は思った。近づいてはいけないものに、近づいたような感覚。
今日は帰ろう、とそのとき円は言ったはずだ。夏美以外の全員が賛同し、すぐさま逃げるように帰路についた。
ところが夏美は、鼠を取り逃がした猫のように不機嫌な顔をして、
「またねー」
と言ってその場を動かなかった……のだった。そのときは。
でも――。
円は、口から出かかった「帰ろう」を飲み込んだ。
ずっと気になっていたんだ。何年も、忘れられなかった。
あのとき、一歩踏み出せてしたら――と、何度も想像した。
他の三人は円の言葉を待っている。彼女が一声上げれば、すぐにでも安全な外へと駆け出すだろう。
でも、でも――。
もう後悔はしたくない!
「ボクは夏美ちゃんと遊ぶよ。遅くなるからボクの家族に事情を伝えておいて」
えっ、という声が、何人かの口から漏れた。
「いいから」
と、言葉で円は、彼らの背中を押してやる。やはり怖かったのだろう。三人とも、『じゃ、じゃあ明日』などと口々に言って駆けていった。
円は彼らを見送って、振り返って夏美を見た。
いや、夏美の体を借りている存在に目を向けた、というほうが正しいだろうか。
「なにして遊ぶ? 名前は?」
「サチ。遊びなら、なんでも」
夏美は言った。目だけ笑っている。
「うん、サチちゃん。よろしく。ボクは円、桜庭円」
「女の子なのに『ボク』なんて言って、おかしいんだあ」
「ははっ、そうかい?」
「そうだよ」
すると『サチ』は、ついに、口を開けて笑ったのだった。
「お菓子食べる?」
円がさしだしたチョコレートバーを、『サチ』は不思議そうな顔をして手に取った。
円に、新しい友達が増えた瞬間だった。
――ボクは知っていた、独自に調べてたから。
一五歳の円は思う。
――彼女……サチちゃんが、開坑当初に人柱になった者の一人だということを。
だが幽霊だとして、不思議と恐怖は感じなかった。おっかなびっくりチョコバーをかじって、あやとりをして、ケンケンパをして遊ぶ幽霊がいるなら、それは幽霊というより、子どもだ。同じ子どもなら、仲良くなってもいいではないか。
どれくらい遊んだだろうか。
「そろそろ、帰らないといけない時間だね」
と言ったのは、夏美の体を借りた『サチ』だった。
「また会える?」
円が聞くと、彼女は哀しそうに首を振った。
「うん……じゃあ……」
円はためらわずに、夏美の体ごしに『サチ』を抱きしめた。冷たい体だった。
「……辛かったよね」
「そんなに辛くはなかったよ。ただ、あれ以来……退屈だったな」
「そっか」
「でも退屈は、円ちゃんのおかげでなくなった。ありがとう」
円の目に涙がこみあげてきた。だが湿っぽくなるのが嫌で、鼻をすするのを我慢した。
「こちらこそありがとう……そして、ごめんね、来るのが遅くなって……」
「いいよ、来てくれたんだから……」
円が切り出すより先に、『サチ』は言った。
「この子の体は返すね」
急に円は重みを感じた。それまで立っていた夏美の、体から力が抜けて円にもたれかかってきたのだ。一方で、それまで冷たかった体に熱が戻ってくる。
「君の……君たちのことは忘れないから」
遠くなっていく『サチ』を感じながら、円は呼びかける。
そのとき円の耳に、『サチ』がなにか囁いた。
「う……あ……」
ぺたっと円は座り込んでいた。涙が、後から後からあふれてくる。最後に聞いた『サチ』の言葉が胸に刺さった。
そんな円の頭を目がけ、蟲の一匹から、セミのような針が突き出された。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
バトル
神話・伝説
定員
20人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月18日
参加申し込みの期限
2016年07月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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