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FEAR THE FORCE:前哨
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なんの芳香だろう……。
そうか、ローズマリーの紅茶、あれに似ている――。
真に人を傷つけるのは、悪意ではなく純粋な愛情だ。
悪意を向けられるほうがどんなによかったか。
幼かったあの頃、朝鳥さゆるがさらされていたのは、何重にもした真綿でくるまれるような、柔らかく、息苦しいほどの愛情だった。
幼心にも、自分に向けられる愛情が偽りのないものであることが判るだけに、彼女は却って苦しんだ。
さゆるの両親は多忙な人たちだった。
なんと言うべきだろう、生きるために働くというより、働くことそのものが自己目的化しているような人種だ。
既に、一生働かなくても済むだけの財産を稼ぎ出していたから暮らしは悠々自適のはずだが、そこに安住しようとせず、国際的な社会起業家として日夜、国内外を飛び回っていた。
忙しい、というのが常態で、その忙しさに段階があるだけの日々といえよう。暇だとか手持ち無沙汰だとか、そういう言葉は彼らの辞書から削り落とされていた。
時折はさゆるも、二人について遠く海外に行くことがあった。
でも……いつも一人取り残されていた。
いくつかの場面が断片的に蘇った。さゆるはそれを、現在進行形で体験している。そのときさゆるは幼き日の姿だ。目に映る自分の手が、ひどく小さい。
ホテルの窓から、独りきりで眺める見る異国の光景。
プールで水音を立て母親を呼んでも、彼女は水着すら着ずに電話でどこかへ指示を出している。
野生のライオンの横を通るサファリバスの中ですら、父親は帳簿から顔を上げなかった。
だが外国に同行できるのはどちらかといえば例外だ。大抵、さゆるは日本に残されていた。
それでも両親はさゆるに冷淡ではなかった。
いつもさゆるのことを考えて、楽しいプランを立てていてくれたのだ。それこそ一分単位で。
むせ返るほどの愛情だったといえよう。
けれどそれゆえに、愛情は孤独を際立たせた。
なぜ自分が取り残されるのか、幼い彼女にはよくわからなかった。
今、第三者的な視点でとらえれば、貧困や戦争などで苦しむ国へ行くことも多かったので、幼い娘を連れていけなかったのだろうと理解はできる。
理解できたからといって、受け入れられたわけではないが。
当時であればなおさらだ。
「愛しているわ」
言葉で、態度で、頭に乗せた手で、母親も父親もそう話しかけてくれた。
両親は純粋に娘を愛していた。
純粋に世界を愛したのと同様に。
場面がまた切り替わる。
――あたしは……?
これまでに比べると、自分の手のサイズが大きい。
といっても、高校生の手ではない。
さゆるは知っている。これは12歳のときの自分の手だと。
頭が痛い。体に力が入らない。
思う通りにならない手をもどかしく動かし、さゆるは自分の目にかかった白いタオルを取ろうとする。
だがそのタオルは、別の手によって取りのけられた。
視界が開ける。
――お母さんの顔が、あたしを見ている。
母親は、さゆるの額に手を置いた。
「熱、ずいぶん下がったのね」
ベッドサイドには父親もいた。
「出発を遅らせた甲斐があったようだね」
出発――!
さゆるは目を動かし、二つのスーツケースがドアのそばに立てかけられているのを見た。
「後はお手伝いさんに任せようか。今から出れば次の便に……」
父親が、腕時計を眺めている。地味なデザインだがこの時計は、新車一台分ほどの値段である。
暖炉には火が燃えている。
――間違いない。これはあの日の光景だ。
さゆるが、生きている両親を目にした最後の日。
両親は航空機事故で死んだ。
高熱を出して寝込んださゆるのために、二人は出立を遅らせて看病をしてくれた。そのために飛行機も変更したのだ。墜落する運命にあるあの便へと。死神の白い羽が立った飛行機……。
――二人はあたしが殺したようなものだった。
それはさゆるの心の底に流れる、暗い川のような想いだ。
けれど今なら止められる。
悲劇に連なるレールを、別のレールへと切り替えられる!
さゆるはずっと、わがままを言わない子だった。小学校の通信簿には、『我を張ることがまったくない優しい子です』と毎年書かれていたものだ。
優しいんじゃない。さゆるは知っていた。押し通すほどの『我』が当時の自分にはなかっただけだと。
だがそんなさゆるが、このとき、自分でも驚くほどの大きな声を出していた。
「行っちゃだめ!」
絞ったタオルをさゆるの額に載せようとしたところで、母親が目を丸くして手を止めた。
父親も、スケジュール表から顔を上げていた。
「行かないで! せめて朝まで一緒にいてよう!」
もう一度叫んだ。
すると両親は微笑みかわして、
「そうしましょうか」
「そうしよう」
と言ったのである。父親は、コートをハンガーにかけるために出ていった。
そうして母親は、さゆるのそばにまた腰を下ろしたのだった。
膝が崩れて、さゆるは座り込んでいた。
冷たい感触。
岩に乗っていた。ここは、あの洞窟の中ではないか。
夢を見ていたのだろうか。休憩して、うたた寝してしまったのか。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
バトル
神話・伝説
定員
20人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月18日
参加申し込みの期限
2016年07月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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