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FEAR THE FORCE:前哨
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「まあ、予想はしていたが」
ぼやきつつ、
七峯 亨
は歯で、ゼリー状携帯食の蓋を開ける。携帯食を握った手に取れたキャップを上手に落とすと、携帯食のほうは口元に持って行った。
ぬるくなっているゼリーを口に流し込みながら、空いた手で地図を広げ、腰のL字ライトの光を当てて確認する。
この地図が役に立つのもこのあたりまでだろうか。
亨が洞窟に入ることを選んだのは、何も過去と向き合いたかったからではない。まあ亨とて来し方を振り返れば、若気の至りの火傷もあったりなかったりするわけだが、それもこれも経験、こうして健康優良に、今を楽しめているのだから悔いることはないだろう。
野々ののこの救出、それと、強いて言えば好奇心、これに尽きる。
前にも、ネオ巌流島だかいう島で開かれた闇の格闘大会に招待され、亨は身ひとつで乗り込んでいったことがあった。今回はそれとは別の匂いがするものの、それでもやはり、在処へご丁寧に招かれたとあれば、喜んで受けたくなるのが彼という男なのだ。
とはいえ、道々出てくる妙な生物には少々手を焼いた。昆虫に似た形状とはいえ妙に大きく好戦的で、にもかかわらず戦ってみれば存外もろい。倒せばたちまち消えてしまうから、呪術か魔術か知らないが、おそらく人為的なものではあろう。招いておいてこれとは、歓待としてあまりいただけない。
戦いながら、亨は蟲の行動パターンを学びつつあった。
地の蟲は横合いからの攻撃に弱い。回し蹴りで薙ぎ払い、見えた腹を一撃で倒せる。
飛ぶ蟲は真下から突き上げるように拳を叩き込めばなんとかなる。まだ息があっても、墜ちる所を蹴り潰せば確実だ。
殻が固く重い蟲は多少厄介だが、口を掴んで背へピッケルを振り下ろして刺し、壁等へ叩き付ける対抗法が有効だ。
いずれも、慣れてしまえばさほどの障壁にはならなかった。
亨は改めて、詩らしき文句について考えている。
滝ヲ遡ル者ニ用ハナイ
雲ヲ得ルノモ無縁ノ事ナリ
髭ヲ狙ウ者ニコソ会ワン
亨の解釈からすれば、以下の暗示となる。
滝ヲ遡ル~ → 「鯉の滝登り」
(急流を登りきれた鯉は化して竜になるという故事から。めざましく出世することのたとえ)
雲ヲ得ル~ → 「竜の雲を得る如し」
(優れた人間が、機を得て活躍するさまのたとえ)
髭ヲ狙ウ者~ → 「竜の鬚を蟻(あり)が狙う」
(弱者が、身の程を考えずに強者に立ち向かうことのたとえ)
いずれにも共通するのは竜(龍)だ。道順か目印に関するヒントだろうか。あまり詳しくないが、いわゆる龍脈というものがこの洞窟に通っているという意味かもしれない。
亨は飲みかけの携帯食をぐっと握りつぶして一気に飲み込んだ。そうして、近づいてくる人影に、銛のように鋭い視線を向けたのである。
しかし亨の警戒は緩んだ。彼が目にしたのは、見覚えのある背格好だったからだ。
おう、と笑顔で片手を挙げる。
「よっちゃんか」
詠寛美のことを『よっちゃん』と呼べるのは、世界で亨ただ一人であろう。
汚れた稽古着姿の寛美がいた。ただの一人で。射るような目力の強さは亨と並ぶものである。しかし亨が嬉しげなのとは対称的に、彼女のほうはにこりともしない。
愛想が悪いのはいつものことだが――亨はいくらか不審に思った。それにしても、今日はいささか極端だ。なにか悔しそうに見える。
亨が理由を問う前に、寛美のほうが口に出した。
「人を探している」
寛美は言う。
「俺とここまで同行していた。途中で大量の変なのが出てきてはぐれちまって……」
ぽつりぽつり語るところによると、七夜あおいだけ先に逃がして、寛美は大量の蟲を相手にしていたらしい。悔しげな表情は、寛美なりにあおいを心配してのものだろう。
「近くにいないってことなら、無事逃げおおせたんじゃないかな。落ち着いて探そう」
「で、そっちは?」
「単刀直入に言う、人が攫われこの先にいる。他は何も知らん。実は龍の腹ん中かも知れんがそこまで行かにゃならん……かもな」
それに、あおいを見つけて合流するという目的も加わることになったわけだ。
「よっちゃんと俺なら無敵のコンビってやつじゃねえか?」
当然、組むつもりで亨はそう言ったのだが、意外にも寛美は気乗りせぬようで、
「……いや、いい。次の分岐点で七峯とは別の道に進む」
などと言う。しかも、腕組みして亨と視線を合わせようとしないのだった。
拗ねているように亨には見えた。無論、そんな指摘をすれば寛美は牙のように見える八重歯を剥いて全力で否定するはずだけれど。
思い当たる節は彼にもある。
クリスマスイブに、亨は寛美と『夜の女帝号(通称ナイト・エンプレス)』で出会った。あの夜、亨は恋人と言って連れを寛美に紹介した。すると突然寛美はよそよそしくなり、挨拶もそこそこにその場を立ち去ったのだ。まるで、これ以上ここにいたくないとばかりに。
亨が寛美と顔を合わせるのは、それ以来となる。
あのとき彼が寛美に渡したプレゼントには、一枚のメッセージカードを忍ばせていた。そこには自分の『ろっこん』に関する簡単な説明と、だから心配は無用という言葉がしたためてある。それに、『よき強敵(とも)に幸あれ』という一文も。
寛美に対する亨の感情は、それ以上でも以下でもない。
――読んでくれただろうか。
好敵手としてまた拳を交えたいとは思うが、彼には彼女の気持ちを受け止めるつもりはなかった。心に誓った恋人がいる以上、不可能だと思っている。肉食系の面目躍如として遊ぶという選択もあるだろうが、それは寛美のことも、自分自身も傷つけるだけだと知っていた。
けれど現在は、メッセージカードの意図が伝わったかどうか、そして寛美に理解してもらえるかどうかを考えている場合でないのは確かだろう。
「言葉ぁ足らんよな、今から言うのも足りんが……お前をエポニーヌにゃしたくねぇ。続きは互い還ってからだ」
そう告げて亨はまた歩き出そうとしたものの、寛美は無言でその場に立ち尽くしている。
呼びかけるべきか。
手でも引いたほうがいいのか。
それにしても、うつむいている寛美は本当に美しかった。粗野な言葉使いと態度でありながら、伏せられた長い睫毛、つややかな黒髪、いずれも、目を向けずにはいられない。乱暴な口調と怒りっぽい性格も、亨からすれば寛美の魅力だと思う。
もし恋人がいなかったら、亨は寛美のことを一番好きになれた……かもしれない。
「……エポニーヌ、って、何だ」
ぽんと、投げ出すように寛美が言った。
「『レ・ミゼラブル』の登場人物だよ」
「レ? ミズラ……?」
「知らないか? ちょっと前に映画にもなった……ほら、腕から爪が出る人が主演で……」
「知らねぇ」
ふん、と鼻を鳴らして寛美は歩き、亨に並んだ。
「聞いたこともねぇや」
「そっか、まあ……図書室で調べてくれ」
「本ばっかの空間に行くと眠くなる」
「だったらDVDで観るとか」
「映画も眠くなる」
「よっちゃんってばいつも眠くなるんだな、猫か」
「知ってるか? 猫ってのは、小さくてチョロチョロしたモンを見るといたぶりたくなるんだぜ?」
今のは亨の『ろっこん』をからかったものだろう。少しだけ、寛美が笑ったように見えた。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
バトル
神話・伝説
定員
20人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月18日
参加申し込みの期限
2016年07月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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