１２月の★ハッピーバースデー｜リアクション

１２月の★ハッピーバースデー

「「ハッピーバースデイトゥーユー♪」」
　テーブルにはチキン、ケーキ、そしてユリアナが昨晩から用意しておいた沢山の料理とご馳走が、所狭しと並べられている。両親の歌声に包まれながらリアーネは膝の上にメルーを抱っこしている。誕生日ケーキの上で揺らめく７つの炎に照らされて、リアーネの瞳は嬉しそうに輝いていた。
「さあ、リィ吹き消して」
　ニコに促され、リアーネはメルーを覗き込む。
「メルーも一緒にやる？」
　そしてメルーを抱っこし、蝋燭をふーっと一気に吹き消した。
「「おめでとう、リィ」」
　拍手と共に両親の祝福を受け、メルーも「おめでとう」と言うようににゃーと鳴いた。
「みんな、ありがとう！」
　頬を薔薇色に輝かせ、リアーネの笑顔が弾けた。

　そして、楽しみなプレゼント。リアーネはわくわくしながら、まず１つ開けてみる。中からはペンギンのぬいぐるみが出てきた。
「僕からだよ。リィが今日ペンギンさんを楽しそうに見てたから……。気に入ってくれた？」
　リアーネはぬいぐるみにちょっかいをだすメルーごと、ぎゅっと抱きしめた。
「うん、パパありがとう！」
　そして次はちょっと小さめの包み。中身は新しい首輪と、お揃いのデザインのリボン付きカチューシャだった。
「これは私からよ。仲良しの２人に、ね」
　ユリアナの言葉にリアーネの顔が輝いた。
「良かったね、メルー！　ママありがとう！」
　そして早速カチューシャを着け、メルーにも首輪を着けてやるリアーネ。そんな愛娘の姿を夫婦は優しく見守る。そしてそっとお互いの視線を絡ませた。
　ユリアナはその瞳に感謝の色を浮かべる。
（……今年も、私は幸せです。ありがとうございます、ニコさま）
　ニコはその瞳に優しく答える。
（こちらこそありがとう、愛しい人）
　彼らの前には可愛い笑顔。さあ、家族でお祝いしよう。愛おしい天使の生まれた日を。

　ごちそうがいっぱい。えがおがいっぱい。本とうにすてきな日。
　リアーネは膝で寝てしまったメルーを撫でながら、仲良く談笑する両親を見ていた。
　マリンパラダイスでのユリアナの言葉をリアーネは思い返す。当時のユリアナの想いをリアーネは初めて聞いたのだ。
　毎年、リアーネは「生まれてきてくれてありがとう」と言われてきた。勿論言われる度に嬉しかったけど。
（……今日は、２人の本とうの気もちをりかいできた気がするの）
　２人の思い出の場所。そこに自分をいれてもらえた事が嬉しかった。何だか、少し大人になった気がする。
（ね、メルー）
　リアーネは満ち足りた気持ちで膝の子猫を撫でる。膝も心もぽかぽかと温かい。お腹もいっぱい。どうしよう、ケーキ、おかわりしようかな……。

　夫婦は目の前でうとうとし始めたリアーネを見て目を細める。そしてそっと幸福なキスを交わした。
　

このページにイラストを設定する