１２月の★ハッピーバースデー｜リアクション

１２月の★ハッピーバースデー

★三宅ゆりのＢＤ（月守輝夜）

　月守輝夜は待ち合わせの場所で、ちょっとおめかしをして待っていた。
　今日は仲良くしてもらってる三宅ゆりの誕生日。輝夜はゆりの誕生日をお祝いしたいと思っていた。今日の予定はゆりにメールで確認済み。大丈夫だと２つ返事のメールを貰った。よかった。私のプレゼントは、ちょっと時間がかかるものだから……。

　そこへ元気に手を振る人影が現れた。
「輝夜ごめーん！　待たせちゃった？」
　ゆりが白い息を吐きながら前に立った。輝夜はううんと笑って首を振る。
「大丈夫だよ。ゆりちゃん、あのね……誕生日おめでとう！」
　お、と驚くゆりに輝夜は笑顔で用意していたプレゼントを手渡した。
「ありがとう、輝夜！　開けてみていい？」
「うん、もちろん」
　輝夜の返事にわくわくした様子でゆりが包みを開ける。と、可愛らしい色々なヘアゴムとシュシュが出てきた。お花や雪の結晶の飾りがついた物や、ドット柄やチェック柄の物など、様々である。
「うわー、可愛いね！」
　ゆりの目が輝く。
「ゆりちゃんいつも髪を結んでるから、似合うかなって思って選んでみたの」
「うん、凄く嬉しいよ、ありがと！　早速つけちゃおっと！」
　ゆりが雪の結晶のヘアゴムを選び、自分の髪にくくりつける。そしてニコッと笑って輝夜にウインクした。
「ど？」
「うん、似合うよ。それ選んでよかった」
　２人は仲良くふふと笑い合った。

「それでね……」
　輝夜はそう言って、不思議そうな顔をするゆりの前で、カバンから１冊のメモ帳を取り出した。
「じゃじゃーん！　今日のメインイベントは、ゆりちゃんの好きなおじ様が働いてるお店巡りです！」
「えー！　何それ！」
　『おじ様』のキーワードに、ゆりの目がキラキラと輝く。うふふと輝夜が笑った。
「事前にリサーチしてみたの。お酒飲む所は無理だけど、喫茶店とか本屋さんとかケーキ屋さんとか色々行こうよ」
　すごーいとゆりがメモ帳を覗き込む。そこには１０軒以上のリストが書き込まれていた。
「……輝夜、これ大変だったんじゃない？」
　ゆりが顔を上げ、輝夜に訊く。
「たぶんゆりちゃんが知ってるお店もあると思うから、まだ行ったことない所に行こうよ。あんまり高い物は買えないけど……」
　照れ笑いする輝夜の顔をゆりはじっと見つめていた。そして、ぎゅっと輝夜の両手を握り締めた。
「ゆりちゃん？」
「……ありがと、輝夜。すごく嬉しいよ」
　そう言ってゆっくりゆりは両手を離すと、今度は輝夜の両肩に手を置きニカッと笑った。
「よーし、あたしがおじ様の魅力を輝夜にみっちり教えてあげる！　レッツゴー！」
「え？　え？」
　戸惑う輝夜の手を取り、ゆりは楽しそうに駆け出した。引っ張られながらも輝夜の口元に笑みが浮かぶ。
「ゆりちゃんはどんなおじ様がタイプなの？　ワイルド系？　ギャップ系？　それともダンディなタイプ？」
「うふふふ、あたしにおじ様を語らせたら熱いよ～」
　楽しそうに語り出すゆりの話に輝夜の笑いが零れる。……喜んでもらえて、よかった。
　輝夜の微笑みにゆりが振り向いてニヤリと笑う。
「お、輝夜もおじ様に目覚めたか？」
「え、そ、それはどうかな～」
　楽しく笑いさざめく２人の手は、しっかりと繋がれていた。

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