１２月の★ハッピーバースデー｜リアクション

１２月の★ハッピーバースデー

★ジェレミア・ベルトーニのＢＤ

　オレンジ動物病院の院長であるジェレミア・ベルトーニは、診療の終わった病院の戸締まりをし、併設されてる自宅の方に回っていた。そして自宅玄関に着いたジェレミアはふと先程の事を思い出し、その顔に笑みを零した。
　つい先程、ジェレミアは病院スタッフ達から自分の誕生日を祝ってもらったばかりだったのだ。

　忙しさに紛れてすっかり忘れていた自分の誕生日。
　診療時間が終わった後、突然スタッフ達が「おめでとうございます！」とジェレミアを祝福してくれたのだ。
　戸惑うジェレミアにスタッフ達は次々にプレゼントを渡してくれた。
　猫肉球デザインのマウスパッド、ヤマバトの形をしたサブレ、丸く膨らんだ小鳥っぽいお饅頭など、バラエティに富んだ素敵な物ばかり。
　サプライズな誕生祝いは、彼の心を温かくしてくれた。

（……日本人は本当に親切な人が多いねぇ）
　彼らを思い出しながら幸せな気持ちで自宅の郵便受けを覗くと、中に郵便物が何通も届いていた。
　故郷から送られてきたバースデーカードだ。心温まる友人や家族からのメッセージの中に、こんな１文があった。

『クリスマスには里帰りしにおいでよ！』

　それを見てジェレミアは苦笑しながら呟いた。
「病院を放っておく訳にはいかないからね……」
　誕生日を忘れてしまうくらい多忙な自分が里帰り出来る余裕が出来るのはいつだろう。
　懐かしい、愛しい人達の顔が頭に思い浮かび、少し胸が切なくなる。いつか里帰りをしよう。いつになるかは判らないけど。
　でも、寂しくはない。だって、寝子島には信頼するスタッフ達がいる。そして……大事な家族がいるんだから。
　ジェレミアは自宅のドアを開ける。そこには３匹の猫達がお行儀良く並んで、彼を出迎えていた。
「ただいま」
　ジェレミアの言葉にすみとこはく、そしてるちる、３匹が一緒にミャーと鳴いた。

　夕食後のひととき。ジェレミアは愛猫達に囲まれて過ごしていた。
　ジェレミアはこのゆったりと過ごせる時間が大好きだ。勿論急患が飛び込む事も珍しくないが、幸いにしてまだそんな電話も来ていない。どうやら神様は、今夜は彼にくつろぎの時間をプレゼントしてくれるようだ。
　そう、ゆったりした、くつろぎの時間。……のはずなのだが。

　ジェレミアは割と本気で両手の猫じゃらしを器用に振っていた。そしてそれを野性全開で追うのはすみとこはく。男の子でやんちゃ盛りの彼らには、本気で遊んであげないとダメなのだ。
「よ～し、そらいくぞ。―――それっ！！」
　今まで振っていた猫じゃらしのおもちゃを、ジェレミアはぽーんと放り投げる。それを２匹は空中でキャッチすると、ガブガブと噛んでみたり猫パンチをしてみたりとそれぞれに遊び始めた。

（疲れて寝ちゃうまで遊ぶとなると、結構こっちも体力勝負なんだよねぇ）
　ふうとソファで一息つきながらも、ジェレミアは２匹の様子に目を細める。そこにるちるが体を擦り寄せてきた。
「るちるはもう遊ばないのかい？」
　ジェレミアの言葉に、（そんな子供っぽいこと）と言うようにるちるは首を一振りすると、ジェレミアの膝の上に乗り、ゆったりと毛繕いを始めた。
「るちる可愛いね」
　毛繕いを邪魔しないように優しく撫でながら声を掛けると、るちるはみゃあと満足げに返事をした。

　皆、可愛い良い子達だ。
　ジェレミアはソファでくつろぎながらゆったりと思う。
　素敵な家族に囲まれながら過ごせるこの時間が、１番の幸せだと。

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