１２月の★ハッピーバースデー｜リアクション

１２月の★ハッピーバースデー

「さ、まだケーキが残ってるから食べないか？」
　修が席を立とうとした時、ついと俯きながら真央が袖を引っ張った。
「ん？　どうした？」
「あの……みんな……」
　プレゼントに囲まれた真央が顔を上げた。その瞳は涙で濡れていた。
「すっごくうれしくて美味しかったのだ、みんなの誕生日には絶対お返しするのだっ」
　ずずずっと盛大に鼻を啜り、真央は続けた。
「来年も再来年もみんなで楽しく冒険してサプライズパーティーするのだっ」
　そしてニカッと笑った。いや？　泣いてるのか？　もう涙にまみれて本人もどちらか分からない。ただ、嬉しかった。素敵な仲間がいる事が嬉しくて仕方なかった。
　そんな真央の頭をポンと優しく修が叩いた。
「……ああ、勿論だ」
　月も同意する。
「また来年も、ですか。……いいですね」
　そう言った月の表情に清一郎が驚いた。
「あれ、常闇さん笑えるやん！　クールビューティーかと思っとった」
「……微笑んでいましたか？　そうですか」
　清一郎に言われて初めて気付いたかのように、月は頬を押さえる。けれども微笑みはそのままだ。まるでそんな自分も悪くない、という様に。
　月の横で美咲紀もぼろぼろ涙を零す。
「うん、だって私も嬉しいです！　こんな素敵な仲間と、ずっとずっと集まりたいのですー」
　そして真央と抱き合いわんわん２人で笑いながら泣き始めた。清一郎が思わず修と顔を見合わせる。
「……お前んとこの女の子、みんな可愛えなぁ」
「そうだろ」
　修のしれっとした返答に清一郎が目を丸くする。そして２人はふっと笑い合うと、真央の方に歩み寄った。
「ハッピーバースディトゥーユー。みんな、後木が大好きや。今日は楽しく過ごそうな」
「そうだな。真央の誕生日にはこうやって集まろう。来年も、再来年も……ずっと」
　２人の言葉に真央は何度も何度も頷く。
「うん、うん……！　ありがとうなのだ～！」
　そしてまた楽しいパーティーが再開される。真央を大好きな仲間と。真央が大切に思ってる仲間と。素敵な時間がずっとずっと、続いた。

　翌々日。
　修、美咲紀、月、清一郎は学校の机の上に置かれた包みに気が付いた。
　開けてみると中には猫とそれぞれのイニシャルがワンポイントで入れられたハンカチが入っていて。
　仲間達は元気なあの子の笑顔を幸せな気持ちで思い浮かべたのであった。