推理ゲーム『ねこじま人狼』｜リアクション

推理ゲーム『ねこじま人狼』

●三人の占い師：サキリ・ディジーカッターの主張

「僕の占い結果だけど、木次要は『人狼』と出た」
「えっ……」

　参加者の中で最年少の要は、年上の人たちの話を落ち着いた表情でおとなしく聞いていたのだが、突然名前を出されて不安そうに瞬きをする。
「木次を占った理由は単純に僕の対面にいたから。あの時点で特に判断材料は無かった」
　語り続けるサキリを、要はじっと見つめている。
　八神修が尋ねる。
「サキリ、結果を言わなかった理由は？　偽装対策なら最後に発言すれば良くないか？」
　サキリは質問に頷き、こう答えた。
「まず、発言を最後ではなく四番目にしたのは、三番目の大天使の発言で少し場の流れが変わったからだ。あの発言に触発されて他陣営から占い騙りが現れて、万が一にも僕が偽人狼判定を受けたらそれ以降僕の発言は説得力を失ってしまう。この最悪の展開は絶対避けないといけない。早すぎても不自然に見えるし、あのタイミングで発表するべきだと思った」
　サキリはスプーンで紅茶をかき混ぜながら、続けて修のもう一つの質問にも答える。

「占い結果を伏せた理由は、人狼判定が出たのは嬉しかったんだけど、まだらっかみの可能性があると思ったからだ。それを見極めるまでは情報のカードを切るわけにはいかなかった」
　修は発言の内容に耳を傾けながら、サキリが紅茶をかき混ぜる様を注意深く見ている。
　サキリは紅茶をかき混ぜる手を止め、要を追い詰めに掛かった。
「――木次、君は『島民』だと言ったね。今ここでそれを撤回するかい？」
　要は目を伏せ、少し間を置いてから言った。
「いいえ。私は『島民』よ」
　その答えを聞き、サキリはふたたび、見えないナイフで要を指す。
「なるほど。わかった。この時点で『らっかみ』だと主張しないなら、木次は人狼と見て間違いないね」
　サキリはこれで言いたいことは言ったとばかりに、深く椅子に背を預け、紅茶をひとくち口に含んだ。
「さて後は皆が正しい推理をしてくれる事を祈るよ。もう特に言うことは無いしエムアさんとお茶を楽しみながら観戦しよう」

　視線は、人狼だと名指しされた要に集まっていた。
　だが、修がここで待ったを掛ける。
「他の占い師候補者にも話を聞こう」

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