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わすれものはなんですか?
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【普遍なる】
大切なものであればあるほど、距離は近く、それだけに失くした時の動揺、悲しみは深くて。なかなかに、抗いがたいものなのです。
今日の良い気分がすっかりと、一度に吹き飛んでしまいました。瞬く間に、さあっと血の気が引いて顔面蒼白、目元にはじんわり、涙粒。ぐいとそれを拭いながらに、
篠原 翠響
はどうにか気を静めて、努めて心を落ち着かせつつ、記憶をたどります。
(落ち着くのよ、あたし……落ち着くの。今日したこと、行った場所、全部思い出して……どこかにきっと、あるはずだもの)
自然と意識が傾いていくのは、今日の、もっとも鮮明できらきらと輝くような記憶。所属する新体操クラブにて、年末最後の発表会……この上なく完璧だったと掛け値なしに自負することのできる、会心の演技。その余韻、熱に浮かされていたのも、原因のひとつではあったのでしょう。弾むように自宅のマンションへ帰って来て、着替えをしようと思ったところで、気付いたのです。
愛用の、いつもここぞという時に身に着ける、お気に入りの髪留め。掛け替えのない宝物。それが、どこにも見当たらないことに。
(っ……スポーツセンターか、そこまでの道のどこか……大丈夫、絶対見つかる。見つかるわ、必ず!)
翠響は再び家を飛び出して、駆け出します。気の遠くなるような不安に、ちりちりと急かし立てられるように。
「っと、ああ……すみません」
五十士 柊斗
は足を止めないまま、ぶつかりそうになった通行人へ、ぺこりと頭を下げました……きょろきょろと、忙しなく目線を動かしながらに。
(シーサイドタウン駅と、自宅の間……そのどこか、だと思うんだけど)
失くしてしまったものは、仕方がない。言葉では、胸にはそう言い聞かせるものの、いくら繕ってみても、心がそこへ追い付かないようです。
きちんとした既製品ではなく、手作りで、見よう見まねで不格好で、あまり見栄えのよろしくない……お守り。そう、手作りの。寝子島へ来る前に、妹に手渡されたもの。お兄ちゃんが心配だから、と、そんな風に言っていました。
そうされる資格など、自分には無いと……ずっと、そう思っていたのに。心配されるような価値など、自分にはとうに無いのだと……そう、ずっと。
「っ、すみません」
すれ違いざまに誰かへぶつかりそうになるのは、もう何度目のことでしょう。柊斗は自身がいかに忘れ物へ心を捉われ、注意散漫となっているか、気が付いてはいませんでした。
タンスから引っ張り出した
白いワンピース
を目にするなり。ぼわ!
浮舟 久雨
の顔は、真っ赤っか。
「~~~~~~っ!! 違う、これじゃないっ!!」
かつて身に着けたことのあるそれは、探し物とは違えど、確かに、鮮明な記憶の残る品。慣れないスカート、ひらひらと落ち着かない足元に羞恥心は止めどなく高まり、目も当てられないほどに舞い上がってしまって、そしてそして、そんな自分を見つめる、彼の……。
「って、だから違ーう!! 探しているのは、これではないっ……いかん、いかんぞ、私。集中しろ、集中だ……ッ!!」
いつまでもひとりでじたばた、悶々としているわけにもいきません。ことは桜花寮のこの自室、ともに暮らす彼女が帰宅する前に、済ませてしまわなければならないのです。
失くしてしまったのは、一枚の写真。昔の自分。あまり、人に見られたいとは思わないものです。
(……もし、彼女が見たなら……何と思うだろうか)
そんなところを想像するだに増していく不安に苛まれながら、久雨は同室の彼女の私物には触れないよう注意しつつ、タンスからするりと姿を現した
白いヴェール
を見つけては、ひとりでこっそりと花嫁の真似事などしてみた時のことを思い出し、
「ぬわあああーーーっ、これも違う!!」
ぼわっ! 真っ赤な顔で、ひとしきりじたばた。もんもんもん。
大切であれば、あるほどに。モノは人の心へ作用し、捉えて、揺さぶり、時に翻弄します。
それらは想いが形を成したその結晶であり、目にすればつぶさに脳裏へと思い出は蘇り、人はそこへ再び思いを馳せ、想いはそうして響き合い、深まっていくのです。
時が経つにつれ、ゆっくりと。じっくりと。いかに平静を装い繕おうとも、心中には到底抗いがたいほどに、強く。
道すがらで見つけることはできず、結局翠響は、通い慣れた寝子島スポーツセンターへと逆戻り。
「届いてない……そう、ですか……」
落胆を隠す余裕も、今はもうありません。尋ねた受付カウンターのお姉さんの心配顔も目に入らず、ふらふらとよろけるようにして、ロッカールームへと向かいます。
(……大丈夫。まだ、誰も見つけてないだけかもしれない。落としたっきりで、ずっとそこにあるのかも……)
自分に言い聞かせるように、そう強く思ったところで……ぽろり。こぼれかけた雫が頬を伝いそうになり、翠響は慌ててそれを袖口で拭いました。
大事な……本当に、大切な。失くしてしまうわけにはいかないものなのです。
大好きなあの笑顔が、目の前に浮かびます。ふたつ年上、大好きな従姉……誕生日に彼女がくれたプレゼントこそが、いつだったか出場した関東大会で、2位入賞という快挙をもたらしてくれたのだと。そう信じる翠響は、以来、ことに気合を入れて臨むような大切な場には必ず、彼女がくれた髪留めを身に着けていくことにしています。
(なのにっ、あたし……ああ! あたし、何てバカなの!)
明るくのんき、いつもの翠響はすっかり吹き飛んでしまい、焦燥に突き動かされるままに。彼女は張り詰めた表情で、ロッカールームへと飛び込みます。他の利用客が怪訝そうにこちらを向いても、小さく頭を下げたくらいで、構っている余裕もありません。
(……無い…………無い……!)
見つからず、すぐさま飛び出して、今度は先ほどに渾身の演技を披露した、発表会の会場へ。広い空間を隅々まで、ひとつの塵すら見落とさないくらいに隈なく、探し回っても。髪留めは、どこにも見当たりません。
思わず脱力しかけて、膝をつきそうになり……すっかり、諦めの境地。
(あたし、他にどこへ行ったっけ……ううん、もう、ダメなのかも……見つからないのかも。誰かが拾って、持って行ったとか……捨てられてしまったとか……)
そう、思った時に。
「……っ、そうだ。そうだわ……シャワールーム! まだ、探してない……きっと、まだ……!」
ひどく負い目を感じずにはいられない、妹が兄をどう思っているのか、今もって柊斗には、図ることができません。傷ついて……傷つけて、うずくまったままに泣いている、あの光景。刻み込まれたイメージがあまりにも強くて、未だ払拭することはできなくて……柊斗は、たまらない気分になるのです。暗い思考に囚われてしまうのです。
自分は、許されたのだろうか? いいや、そんなはずはない。あれほどのことを、あいつに、俺は……。
「っ、と。すみません」
ど、と肩へ感じた軽い衝撃に、スーツ姿のサラリーマンは怒るどころか、心配そうに、大丈夫ですか? そんな風に尋ねました。
「……顔色……そうですか? いえ、少し急いでいただけで。すみませんでした、それじゃ」
呼び止められないうちに、早足でその場を立ち去り、親切そうな彼の姿が見えなくなったところで、ほうっ、とため息。
(……不思議なものだね)
柊斗はふと、気付きます。
あのお守りの存在について思い出したのは、失くした後のこと。いつもカバンの中に入れたままで、毎日目にして、そこにあるということだけは確認しながらも深く意識することはなく、このところは、妹が自分へ押し付けるようにしてそれをくれた経緯までも、思い返すことは無かったのに。
それなのに、どうしてか……不思議なことに、失くしたことだけは、すぐにも気が付きました。
(まるで……あいつが。俺に、教えるみたいに……)
『思い出してよ!』なんて、そう主張するかのように。頭の中へ、確かにそんな声が、聞こえた気がしました。しばらく聞いていない……懐かしい、あの声が。
いつの間にやら、はっと気づけば、そこはシーサイドタウンの駅前広場。駅員室で尋ねれば、駅員さんが探してくれるかもしれません。あるいは、誰かが届けてくれているかも……あまり見栄えのよろしくはないお守りひとつ、謝礼も無しにそんなことをしてくれる人がいるとは、どうにも思えないながらに。
(いや……聞いてみよう)
それでも彼は、導かれるように、窓口へと向かいます。
引き出しを、ひとつひとつ。引き出しては確かめ、確かめては閉め。またひとつ、引き出しては落胆し。
写真はもう幾度も、飽きるほどに見た覚えのあるものです。実のところ、見ずともそこに何が写っているのかは、克明に頭の中へ思い出すことができました。それでも久雨は、自室にひとりきりの時など見計らってはそれを取り出して、眺めることがありました。
(……昔の……あの頃の、私)
いかにも着せられた、といった風情の服装はきらびやか。長い髪は今のようにゆるく束ねることはせず、背中へ流しっぱなし。色だって今とはずいぶんと印象の違う、黒髪です。このところは島での知り合いや友人たちのおかげで、緩んだ表情もひとつならず見せるようになったものが、写真の中の自分ときたら、無機質と表現しても良いくらいの無愛想、無表情。青い目にはひとひらの感情とて垣間見えず、光無くうつろ……写すカメラではなく、レンズを突き抜けてどこか、虚空を眺めているかのよう。
そんな昔の自分を写した、一枚の写真。この島へ来ようと、そう決断したあの日に撮影したもの。
(そして……その後は、全て……)
久雨は不意に、ぶんぶんと強く首を振って、
(…………昔のことだ)
ただ、そう断じました。
過去を封じた、写真一枚。それが何であれ、失くすことのできないもの。紛れも無く、それとて、自身の一部ではあるのでしょう。
「……む? ああ……こんなところにあったか。うっかりしていたな」
先ほどに探したはずの、引き出しの奥。もう一度探し直してみると、ちょっとした小物と小物の間に挟まって隠れていた、何枚かの写真。艶やかな
薔薇色のドレス
を着た……。
「~~~ッ!! っこれでは、無くてだな……」
真っ赤な顔で、もう一枚を引っ張り出せば……そこには見慣れた、かつての、自分。
物には、想いが宿ります。持ち主が自然と込めた感情が、それぞれに深く、強く。そこには確かに、息づいているのです。
翠響はシャワールームの端、先ほどに利用したブースの片隅で、きらりと輝く髪留めを見つけて拾い上げ、わななく唇とともにまぶたを伏せ、胸へと抱き寄せて。
柊斗は駅員の差し出した手のひらの上、手作りのお守りを受け取りほうっと大きくため息、安堵した自分がいかに余裕なく焦りを募らせていたかを今さらながらに気付き、苦笑いを浮かべて。
久雨は写真の中、能面のような顔を浮かべた自分の鼻先をついと指でなぞり、どこか遠くを見つめるように、懐かしむように、頬を緩めながらに。
「「「…………ああ。良かった…………」」」
大切であれば、あるほどに。見つけた安堵も、喜びも、大きかったことでしょう……遠く離れた空の下、同時に、ふわり。微笑みました。
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20人
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20人
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シナリオガイド公開日
2016年01月24日
参加申し込みの期限
2016年01月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年01月31日 11時00分
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