年末年始というのはことに、
忘れ物が多い時期であるのだそうです。手袋やマフラーなど冬場ならではの防寒具や、イベントごとに着飾って出かけた先できらびやかなアクセサリーや高級バッグを忘れたり、忘年会にてこれでもかとお酒を飲んで酔っ払い、へろへろになった末にケータイやらサイフやらの大事なものを失くしたり……何かと身に着ける物の多い冬の間、特に多くの人が行き交う駅などでは、届けられる忘れ物の数は、実に倍増してしまうのだとか。
寝子島駅に務める駅員、
十和田 六郎は、駅員室にある遺失物保管箱の中から、デコりにデコりまくってきらきら輝くスマートフォンを取り出しますと、
「お客様、こちらでお間違いありませんか? そうですか、見つかって良かったですね♪」
落とし主である女の子へ手渡してあげながら、にっこり! 穏やかにスマイル。
「次は失くされませんよう、お気を付けくださいね?」
同じく駅員の
小野寺 恭介も、おじいさんへとなかなかに年季が入ってほつれたマフラーを差し出して、
「探し物は、こちらですか?」
「大事な物が見つかって、何よりです」
聞けば、もうずいぶんと前に奥さんからプレゼントされた、お気に入りの宝物なのだそうです。
嬉しそうな笑顔を浮かべて、お礼を言ってぺこりと頭を下げ、軽い足取りで帰っていく客たちの背中を見送りながら。六郎と恭介は、
「うん、見つかって良かった。さて、今日も忙しくなりそうだ……頑張らないとね、きょう君!」
「それはこっちのセリフだ。サボるなよ、六郎?」
箱の中にあるのは、一見他愛のない、単なるたくさんの忘れ物……けれどそのひとつひとつには、時として思いも寄らないほどに、持ち主の深い感情が宿っていたりするものなのです。
今日も駅員としてのお仕事のかたわらに、そんな物を探し求めて、幾人ものお客様がふたりのもとを訪れるのでしょう。
「……これで、よし」
浮舟 久雨は静かに、ぱちり。綺麗な丸箱のふたを閉じると、しゅるりと綺麗なリボンをかけて結び、そうして大切そうに、きゅうっと胸へ抱き締めます。
収められている物は、いろいろです。人からもらった贈り物に、もったいなくてなかなか使えない嗜好品や、人から見れば取るに足らないようなものや……。
(それでも……私にとっては、どれも大切なものなんだ)
誰かに中を覗かれたなら、笑われてしまうかもしれません。けれど久雨はそれを大切に、大切に。失くしてしまわないように。きゅうっと、抱き締めます。
物には、人の思いが宿ります。誰かにとってはみすぼらしいマフラーにも、ごてごてとして持ちにくそうなスマートフォンであっても、雑然とした楽しい小物入れだって……それぞれに持ち主が込めた感情が、深く息づいているのです。
もちろん人間ですから、大切であっても時々、うっかり! してしまうこともあります。失くしてしまったり、忘れてしまったり……そんなことだって、やっぱりあるんです。
そう、大切だからこそ。忘れ物には、時として、驚くほどに深いエピソードが秘められていたりするものなのです。
教えてください。
あなたのわすれものは、なんですか?
墨谷幽です、よろしくお願いいたします~。
ガイドへは、十和田 六郎さん、小野寺 恭介さん、浮舟 久雨さんにご登場いただきました。ありがとうございました!
(こちらにご参加いただける際は、ガイドのイメージに関わらず、お好きにアクションをかけて下さって構いませんので!)
このシナリオの概要
今回は、忘れ物というワードをテーマに、物を落としたり、どこかに置き忘れたり、それを拾ってあげたり、大切な物にまつわるエピソードを語ったりする、といったシナリオになります。
ガイドにもありますように、年末年始というのは何かと持ち歩く物が増えたり、精神的にも隙が生まれやすいとかで、全国的に忘れ物が増える時期なのだそうです。(って、テレビでどこかの駅員さんが言ってました)
そしてあなたもまたこの冬に、うっかり! 忘れ物をしてしまったようなのです。
忘れ物をして、一生懸命にそれを探し回ったり。あるいは見つけてくれた誰かに、その品物にまつわるお話を語ってみたり。あるいはGAを組んで、片方が落として、片方が拾ってあげる、といった形でもOKです。
品物を介して、あなたの大切な想いを表現してみてください。
アクションでできること
アクションでは、忘れ物はどんなものか、どんな場所をどんな風に探すのか、またその品物についての想いやエピソード、等をお書きください。
●1.忘れ物、失くした物
今回のテーマとなる品物について、名前や材質・形状、性質や性能など、必要と思われる情報をお書きください。
内容は、伝わればどんな形でもOKです。
アイテムとして設定されている方は、そちらを記述してくださっても構いません。
※ただし、今回はあくまで『物品』ということで、生き物はNGということにさせていただきます。
●2.探す場所、探し方
描写の舞台となる場所や、シチュエーション等をお書きください。
『ひとりでどこかを探す』、『誰かに協力してもらって探す』、『探しながら失くした物についての思い出を振り返る』『駅の忘れ物保管センターに取りに行き、駅員さんについ想いを語ってしまう』……などなど。どんな形でも構いません。
ちなみに、『(相手は指定せず)誰かが落としたものを拾ってあげる』といったアクションでも構いませんが、もしランダムで拾ってあげるお相手や組み合わせが合致しない場合は、モブ的なNPCの品物ということになるかもしれません。
可能ならGA(グループアクション)を組んでいただくほうが無難かも。
●3.忘れ物に対する想い、まつわるエピソード
あなたの大切な品物について、その由来や入手のいきさつ、心に残る思い出などを教えてください。
内容はどんなものでもOK。
※品物が『誰かからの贈り物』であり、かつそのお相手が本シナリオに未参加のPC、またNPCであった場合、ご指定いただいても名前は明記されず、ぼかした表現となります。あらかじめご了承くださいませ。
その他、上記と合わせて、
・忘れたり失くして焦ってる度
(まぁあの辺探せば出てくるかな、うわあああ失くしたやっべえええ! などなど)
なんてところも、ご指定いただければ反映させていただきます~。
その他
●参加条件
特にありません。どなたでもご参加いただけます。
●舞台
寝子島内の、ご指定いただいた場所やシチュエーションが舞台となります。
●備考や注意点など
※今回のシナリオには参加していないPC、NPCに関するアクションは基本的に採用できかねますので、申し訳ありませんが、あらかじめご了承くださいませ。
以上になります~。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております!