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わすれものはなんですか?
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【たいせつなもの】
図書館では、お静かに。そんな掲示を見かけて、スマホをマナーモードに……と思い、ポケットへ手を伸ばしたところで。
「……!?」
恵御納 夏朝
の表情こそそう変わりはしなかったものの、内心じわじわ、どんどんと広がり始める不安。寝子島図書館の入り口をくぐったところで、思わずぴたりと足を止め、続いて入ってきた他の利用者が、怪訝な視線を寄せたほどです。
(『
Nyaphone
』が……無い……!?)
愛用のスマートフォンに触れる指先の感触は空振り、夏朝はすっかり動転してしまい、おろおろ。ほんの十分くらい前には、そこにあったはずなのに……どうやら、うっかり! 落としてしまったようなのです。
慌ててそのあたりをぐるり、探してみるも見当たらず。
(どうしよう……大切なものが、たくさん、入ってるのに……)
カバーも、画面に設定した壁紙も、可愛らしい猫まみれ。中には、知人や友人たちの連絡先。見かけた猫さんたち、それに夏朝が今までに経験してきた足跡とも言うべき、思い出深い写真や動画の数々。そんなものがこれでもかと詰まっている、本当に……本当に、大切なものなのです。
(こういう時は、どうしたら……警察? 誰か、届けてくれてる、かな……?)
落ち着かず、胸はざわざわ。背筋は冷たく、足元はおぼつかず……けれど、定まらない視線が再び、その掲示を捉えます。
図書館では、お静かに。
(……っ、冷静に……落ち着かなきゃ。まずは、本を返しちゃおう)
今日の夏朝は、ここへ借りた本の返却にやってきたのでした。取り乱してばたばたと慌てて探し回るより、まずは落ち着いて、心配事はひとつでも減らしておいたほうが、何かと良さそうです。
『ねこぐらし』とか、『ネコマタ旅情』とか『猫まみれな町』とか、そういったタイトルの本を重ねてカウンターへ差し出し、返却の手続きを済ませる間に。ピン! と、思いついた考えがありました。
(そうだ! 僕の番号、鳴らしてみれば……きっと誰かが、気付いてくれるはず……!)
データの類はパスワードをかけてあるものの、着信だけなら、気付いた誰かが受け取ってくれるかもしれません。
返却を終えるとさっそく、館内に据えてある公衆電話の受話器を取り、10円玉を入れて、自分の番号をぴっぽっぱっ、とダイヤル。ぷるるるる……と鳴った呼び出し音の、直後に。
「おっ?」
そんな声が真後ろで聞こえたもので、振り返ってみますと……そこには、
「……あれ、八神君……あ! そのスマホ……!」
「ん、恵御納か? これ、そこで拾ったんだが、急に鳴り出して……」
紛れも無く、夏朝の大事なNyaphoneを手にした、
八神 修
くんが立っておりまして。
ぴりりりり、と鳴った着信音に、周囲の視線が一斉にこちらを向き、夏朝は慌てて受話器を置いて。顔を見合わせ、思わず、
「「……しーっ。図書館では、お静かに……」」
揃って苦笑い、でありました。
「この後、警察に届けようと思ってたんだけどな。まさか、恵御納のものだったとはね」
「うん……拾ってくれてありがとう、八神君。本当に助かったよ」
「いいさ。見つけられて良かった」
ほっと安堵。夏朝は戻ってきたスマホを手に、すっかり気が抜けてしまったもので、ひとまず館内で修とまったり。しばらく休んでいくことにしました。
「八神君も、本を返しに来たの……? 何を借りてたの?」
「ん、俺か?」
ひとまず腰を落ち着けた席の前、机の上へと修がカバンから取り出して見せたのは、かの有名な歴史書『ガリア戦記』だったり、大変に突っ込んだ内容の理系学術書『量子統計力学の今』だったり、考察本『経済統合のもたらす社会人類学的変容』だったりしました。腰が引けつつも、夏朝がぺらりとページをめくってみますと、聞いたことも無いような難解な単語がぎっしり、隙間も無いほどにずらずらずらりと並んでいて、何ともチンプンカンプン、であります。
「とまぁ、雑食でな。興味を惹かれたものは何でも読むよ」
「相変わらず、難しい本ばっかり読んでるんだね……」
「そうか? それほどでも無いさ。一見難解そうに見えるかもしれないが……そうだな、たとえばこの本は、経済一体化によって伝播する影響を文化人類学的な観点から捉えて考察するという趣旨の本で、たとえばEU、欧州連合における通貨の統合や移動の自由が保障されたことはマクロな視点で見れば地域へ大きな恩恵をもたらしつつも民衆の目からミクロな視点で考察するに様々な問題もまた内包しており云々諸々etcetc……」
なんて、修はにわかにヒートアップ! 彼の口から怒涛のように飛び出す単語の数々に、夏朝はメッタ打ちにされつつも、相変わらずの凝り性には、やっぱり苦笑いです。
「……っと、すまない。つまらなかったか? つい熱くなってしまってな」
「ううん、気にしないで。それが、八神君の良いところでもあると思うから……」
ふと、机の上。そんな修のスマートフォンが乗っているのを目にすると、夏朝は興味を惹かれて、またむつかしい話題の転換も兼ねて、
「八神君のスマホにも、写真とか、入ってる?」
「写真? ああ、見るか?」
尋ねてみますと、修は、ぱ、と待ち受け画面を表示して、掲げて見せてくれました。そこには……彼の飼っている何匹もの動物たちの、愛らしい姿。犬に、ウサギにリス、ハムスター、それに、
「……! 猫さん……!!」
「ああ、大事な家族たちだ。ふふ、恵御納には、考察本よりこちらのほうが良かったよな」
「うん、うん……!」
しばし、ふたりはそうして、スマートフォンから次々に飛び出す可愛らしい猫たちを、見せっこ。大いに楽しみました。
不意に。スマホの上を滑る夏朝の指がぴたりと止まり、彼女の表情がどこか、いつにも増して穏やかなものへと変わったのに、修は気付きました。
ちらりと見えた画面には、写真。夏朝本人と、向かい合うように、もうひとり。そこには誰かが、写っているようです……角度のせいか、良くは見えません。
修の目線に気付いたのか、夏朝がこちらを見て、ぱちくり。けれどすぐに、スマホをポケットの中へとしまい込んで、
「……ごめん。
この写真
は……ひみつ。なんだ」
「いや、良いんだ。覗くつもりは無いよ」
よほどに大事な写真なのでしょう。代えがたい思い出なのでしょう……修にだって、そうしたものはありました。大いに気持ちは理解できるというものです。
(そう。俺だって、この中に後生大事に入れてある、
あんな写真
や
こんな写真
を見られてしまうのは、さすがに恥ずかしい……)
「……あれ? 八神君、こんな本も読むんだ……?」
と、夏朝の声で我に返ったところで。修はおもむろに、ひとり、大いに恥ずかしがることとなりました。
夏朝が指差したのは、ファッション誌。およそ修の読み物としては異質な、女性ものの……。
(……ッ!? しまった、これはさっき買ってきた……彼女への、クリスマスプレゼントの参考にするための……!!)
しゅばーっ! 機敏な動作で雑誌を、カバンの中へとIN!
「八神、君……?」
「これは、その……い、妹に頼まれて!」
「八神君、妹なんていたっけ……?」
「いやっ、ち、違った。えー……そう! そうだ、俺は読書にかけては雑食だからな、表紙も見ずに買ってしまうことがあるんだよな。いやまさか、こんな雑誌だったとはな~……ははははは」
血が上って沸騰する頭、いつものクールさはどこへやら。修は、わたわた! どうにも彼、想い人たる彼女のことになると、途端に動揺しまくり、いつもの彼では無くなってしまうようでして。
「そ、そろそろ俺は行かなくては、この後用事があるんだ、プレゼント……じゃない、勉強しなきゃな、明日の予習復習をしないと、それじゃまたな!」
「あっ、八神君?」
すたたたた! ぽかんと口を開けた夏朝を残して、一目散! 逃げるように、図書館を立ち去って行きました。
……かと思いきや、その直後には、
「あんなに慌てて、どうしたんだろう……って、戻ってきたー!?」
「…………本を、返し忘れた」
何とも彼らしからぬ、うっかり! ことほど左様に、恋とは、人を惑わすものであるようでして。
「八神君……顔、赤いよ? 大丈夫?」
気づかわしげに、夏朝がそう言ったなら。修はまたしても返答に困った末、絞り出すように、
「わ……忘れ物を、したせいかな? 本をな、返し忘れてな……」
苦しい言い訳で、そう取り繕ったのでした。
冬も半ばの冷たい空気が漂うその一日は、彼の胸の中へ、寒さもそっくり吹き飛ばしてしまうほどに暑い日であった、と記憶されたということです。
もちろん、なるべくしないほうが良いのに、越したことはありませんけれど。
ちょっとした忘れ物が時に、様々な感情を呼び起こしたり、埋もれていた思いを掘り起こしてくれたり、大切な気持ちを再確認させてくれたり……人と人とを、結び付けたり。そんなことだって、あるものです。
わすれものに振り回される、こんな日だって……たまーに、なら。きっと、そう悪くは無いものかもしれませんね!
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あとがき
担当マスター:
墨谷幽
ファンレターはマスターページから!
墨谷幽です。『わすれものはなんですか?』のリアクションをお届けいたします~。
私自身、けっこー忘れ物の多い人です。サイフ忘れてでかけたり、カギ忘れて家に入れなかったり、カバンをごっそり忘れて帰ってきた、とかそんなこともありました……あれはびっくりしますね、主に自分のうかつさに……!
まぁ人間ですからね、たまにはそういうこともね、あるわけなのです。……あります、よね? 無いですか……?
リアクションにも書きましたように、ひと口に忘れ物、落とし物といっても色々で、ちょっとした日用品から思い出の品まで十人十色、そこにまつわる心の動きもまた、それぞれです。今回はそういった、心情面の機微などを特に重視しつつ、執筆をさせていただきました。
皆さまのキャラクターが一喜一憂するところを、楽しんでいただけておりましたら、幸いです。
それでは、今回もご参加をいただきまして、ありがとうございました!
また次の機会にもお目にかかれますことを、心よりお待ちしております~。
お疲れさまでした!
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日常
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20人
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20人
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シナリオガイド公開日
2016年01月24日
参加申し込みの期限
2016年01月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年01月31日 11時00分
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