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滅びの呪文の夢現
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シーサイドタウンの貸し会議室の扉を潜って外に出るなり、
浅葱 あやめ
は深々と溜息を吐いた。コートの肩が落ちる。猫背がますます丸くなる。
眼鏡のフレームまでを覆うほどに伸ばした雪雲色の髪の下、笑んでさえいても鋭く見られがちな銅色の瞳に睫毛の陰気な影を落として、あやめは自身の呼気に白く濁る夜道を見下ろす。
(また結局建設的な意見を出せなかった)
扉の内から、所属する社会人小劇団『イーリス』の仲間たちの笑い声が聞こえてくる。仲間の屈託ない笑い声にさえ打ち合わせでの役立たずを責め立てられている気がして、街灯がスポットライトのように光降らせる夜更けの道を逃げるように辿る。
電光看板が煌々と光る駐車場に足を踏み入れようとした、その瞬間。
周囲から一切の光が絶えた。
「ッ?!」
雪雲の髪を震わせ、身を固くしたのはほんの一瞬。
「な……」
言葉失いながらもおろおろと辺りを見渡す。突如として闇に沈んだ街を何度も確かめる。確かめても確かめても電気が戻らないことに、己を包む闇の深さに、込み上げる不安と恐怖に、息が浅くなる。
轟く胸を片手に掴み、鞄に納めたスマートフォンを取り出す。電源を入れれば眩しいほどの光を放つはずのスマホは、けれど全く反応してくれなかった。
凍える指先にスマホを握りしめ、途方に暮れる。
暗闇に一歩も進めぬまま、しばらく呆然としてから、
「……あ」
やっとどうにかなることを思い出した。
電源も入らないスマホを鞄に仕舞い、その手で鞄を探る。ようやく見つけた眼鏡ケースから、眼鏡の上に被せて使うオーバーサングラスを取り出す。
ケース付属の眼鏡拭きでサングラスのレンズを一拭きして着用すれば、あやめの身に宿ったろっこんは発動する。
暗視能力の付与されたレンズを通して、恐る恐る見回せば、周囲の闇は薄まった。
光失せた深夜の町の様子を見て取れることに胸なで下ろして、ふと、微かな笑みが唇の端に浮かんだ。
(……珍しく、役に立ったかもしれない……)
それでも自嘲の色を孕む笑みを拭い去るようにして消し、駐車場に停めた自分の軽自動車に乗り込む。ドアを開ければ灯るはずの室内灯でさえ灯らぬことに眉を顰め、冷え切った運転席に身を沈める。息ひとつ吐いて身を起こし、荷物を助手席に投げ置く。
(ライトがつかなくてもまぁ運転できるとはいえ……)
車のエンジンがかかるか試そうとして、止める。
(こんな夜にエンジン音を響かせるのも無粋か)
そう思い直して、サングラスはやっぱり不要だと思い至った。
車内に白い息を残し、外して鞄に仕舞う。ふらりと車外に出る。闇ばかりに占められた街を散歩がてらに歩き始める。
いつもは素っ気ないほど明るい街灯の光に照らし出されているはずの深夜の街並みは、今はどこまでも暗い。家々にもマンションにも、どの窓にも光はない。
闇に慣れた瞳を周囲に巡らせる。
元々、眩しい光は苦手だった。照らし出されてしまうことが怖くて、だから散歩はもっぱら夜だった。
(だけれど、)
ここまで光の失せた夜は初めてだった。
(落ち着くような、不安なような……)
歩む足を止めずに光のない街を見渡して、夜空を埋め尽くして静かに輝く星々に目を瞠った。
(こんな星空、日本じゃめったにお目にかかれない……)
役立つかと思われた己の力がやっぱり役立たずで少しばかり落ち込んでいた心が、視界いっぱいの星の光に浮き上がる。
潮風が濃い。波音が近い。知らない間に海岸まで出ていたらしい。
星空ばかりを見上げていて躓きそうになって、その弾みに跳ねた視線の先に見つけたのは、満天の星空を背に浮かぶ町。
(……空に、浮かぶ、浮遊島)
凍てつく空気も忘れて思わず駆け出す。
(……そういえば、今日は……)
思い出したのは、放映の度に話題になる件の言葉。
(ねこったーでも話題になっていたっけ)
空を行く浮遊島を追い、海岸に走る。
星の光を受けて白く見える砂浜を眼下に、海岸沿いの道に出る。砂浜に降りる石階段に、銀色の髪をなびかせる少女の背を見た気がしたけれど、こんな時間に小さな少女がこんなところに居るものだろうか。
声を掛けるべきか否か迷いに迷っているうち、
「あれぇ、浅葱さんですねぃ?」
聞き覚えのある声を思いがけず背後に聞いて、あやめは驚いて息を呑む。振り返って、ランプの小さな光を目にした。立っていたのは、自身の営む眼鏡店に時折お客として訪れる金髪の少年、
呉井 陽太
。
「停電、驚きましたねぃ」
「……そ、そう、ですね……」
頼りない光を揺らすランプを片手に提げて、陽太は人懐っこい笑みを浮かべる。
「懐中電灯も何もかも、電気関係が機能しなくなっちゃってるっぽいですよぅ」
「ああ、それで……」
「もしもの時用のランプを引っ張り出したのはいいんですがねぃ」
心許なげな顔をする少年に、あやめは鞄から出した暗視能力付のオーバーサングラスを差し出す。
「もし、良かったら、ですが……」
不思議そうな陽太の顔は、オーバーサングラスを眼鏡の上から掛けた途端に一変、楽し気に輝いた。
「借りてもいいんですー?」
「返却は、いつでもいいです」
あやめの言葉に頷き、陽太はランプを手に遠い波打ち際を目指し始める。
闇に紛れて遠ざかる少年の背を見送り、あやめはもう一度空を仰ぐ。何の前触れもなく空に浮かんだ空の島は、今も消えずに確かに夜空に在る。
(あそこに、)
何があるのだろうか。
誰かいるのだろうか。
例えば見守られているような気がするなんていうのは、
(自意過剰だろうけど――)
星と共に静かにそこに在ってくれる空の町の様子は、何故だか彼を思い出させた。彼のことを思い出した途端、ふわりと頭を撫でられるような、胸に火が灯るような温かさを感じて、あやめはそっと淡く笑む。
少し励まされる気がした。彼がそう願ってくれているのなら、
(幸せを願ってみても、少し前向きになってもいい気がする)
心で言葉にして、つい泣きそうになった。
(……幸せにならないと、かなぁ……)
ささいな幸福を感じようとすることにさえも重圧を感じて丸めかけた背を、けれど今ばかりは真っ直ぐに伸ばす。だってそうしていなければ、彼を思い出させてくれたあの島を見ていることができない。
今はただ背筋を伸ばし、あやめは彼を想って空を見る。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年01月20日
参加申し込みの期限
2016年01月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年01月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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