ザ・追試　～問題用紙が逃げ出した！？～｜リアクション

ザ・追試　～問題用紙が逃げ出した！？～

後編：追試・結果発表
１年１組：御剣刀　
　追試の翌日。
　放課後、刀は島岡雪乃に職員室へ来るように、と言われた。
（頼む、留年だけは……留年だけは！！）
　祈るように目をつぶり、深呼吸。
「失礼します」
　職員室に入り、刀はまっすぐ雪乃のいるデスクへ向かう。と、彼女はほわわん、とした笑顔で答案用紙を渡した。
「御剣君、４月から２年生ですね」
　その言葉は、合格ラインをたたき出しているという証拠であった。刀は自然と顔が綻ぶのを感じ、思わずうれし泣きしそうになる。
「よかった……。俺も、進級できるんだ！」
　おもわずガッツポーズをする刀に、雪乃はやさしい笑みを零すのだった。

１年２組：鬼河内萌、鬼崎あやめ
「追試、大変だったな」
　開口一番、担任である桐島義弘は、静かにそう言った。が、僅かに厳しい表情を浮かべる。
（もしかして……）（留年……？！）
　萌とあやめが不安げに見つめる中、義弘は心配そうにこう言った。
「２人とも、体調管理はきちんとしておく事。そして鬼河内。傷は大丈夫か？　瓜山先生から話は聞いている。今日はこれが終わったら帰って休むことだ。精神的に不安があるのならば、カウンセリングの先生を紹介することもできる」
「先生、あの……結果はどうなんですか？」
　いてもたってもいられずあやめがそう言う。義弘は「そうだったな」と言って二人に答案用紙を返した。
「２人とも、進級だ。……よくやったな」
「あ、ああ……」
「やった……！」
　萌とあやめはその点数を見て、顔をほころばせる。そして、抱き合って喜んだ。
「やったね！　進級だよ！」「そうですねっ！」
　うれし泣きする萌とあやめの様子を見、義弘は眼鏡を正して僅かに微笑むのだった。

１年３組：天馬ひびき
　担任である白沢絢子は、家庭科準備室にいた。ひびきは緊張しながら戸を開き、ぎくしゃくした様子で絢子の前に立つ。
（大丈夫かなぁ）
　不安げに絢子を見つめるひびき。だが、絢子の表情はとても穏やかでやさしいものだった。
「天満さん、よくがんばったわね」
　ひびきは、答案用紙をもらってびっくりした。というのも、満点に近い点数をたたき出していたからである。文句なしの進級である。
「やったぁ！　がんばったよ、はやぶさっ♪」
　つれてきていたペガサスのぬいぐるみ『はやぶさ』を抱きしめ、大喜びのひびき。そんな彼女に絢子先生もやんわり笑顔になる。
「２年生、おめでとう。先生もうれしいわ。うふふ、よかったらお祝いにどう？」
　安堵の息を吐いた絢子は、そんなひびきにご褒美、と手作りのパウンドケーキを見せる。ひびきは笑顔で頷き、ご相伴に預かった。

１年５組：稲井いおね　
　放課後、理科準備室に呼ばれたいおねは、緊張気味に一礼して入室した。部屋の奥では、五十嵐尚輝が答案用紙を手に椅子に腰掛けている。
「先生……、結果は」
「自分で確認……してください」
　尚輝に手渡された答案用紙に記された点数は、ほぼ満点と言っていい点数だった。もちろん、進級決定である。
　いおねの表情がぱっ、と明るくなる。彼女がツインテールを揺らして微笑むと、尚輝は穏やかに言った。
「おめでとう、ございます。……これで、４月から、２年生、ですね……」
「はいっ！」
　いおねは、心から安堵した笑顔で尚輝に頷いた。

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