期末テストだよ！中学生諸君、全員集合！！＜物語編＞｜リアクション

期末テストだよ！中学生諸君、全員集合！！＜物語編＞

　―――いよいよ、テスト結果が返って来ます！
　担任の瀬田川香代先生が１人ずつ名前を呼ぶのを聞きながら、１－１のフィリップ・ヨソナラは、ドキドキしながら自分が呼ばれるのを待っていた。

「ドキドキするね、フィリップ」
　後ろの席の女子がそっと話しかけてきた。
「はい！　こわいですね。僕、がんばったですけど」
「手応えは、どんな感じ？」
「うーん、中間テストより、よい点で、うれしいです」
「え？　まだ返って来てないよね？」
「あれ？　よい点だからうれしい？　よい点はうれしい？」
「ああ！　『いい点だと』って事ね！　そうね、そうだといいよね」
「はい！」
　その時、瀬田川先生の声がした。
「……次！　フィリップ･ヨソナラ！」
「はいです！」
　すくっと立ち上がり、元気よく手足を振ってフィリップは教壇の前まで行くと、ピシッと気を付けする。その様子を微笑みながら見ていた担任は、フィリップに結果表を渡しながら一言声をかけた。
「今回はなかなか頑張ったな、フィリップ」
「え？　はい！　僕たくさんがんばったです！」
「うん、結果が出て何よりだ！」
　笑ってくれる先生に、フィリップもにっこりと笑みを返す。そして席に戻ると、フィリップは早速結果表を開いた。

　フィリップはすぐに５教科に目をやった。
　英語、理科、社会は問題なく点が取れていた。理科は動物が好きだし、社会も世界史が得意なので抵抗なく勉強が出来ていた。数学も万国共通なので問題ないのだが、文章問題がちょっと苦手なため、そこそこの点だ。英語は大丈夫。自信があった。だって、日本語じゃないから。
　そう。問題は、国語だった。フィリップは国語が苦手だった。喋る分にはなんとか通じるけど、時々文法が間違っているくらいで。助詞や接続詞が特に難しく、どうしてもおかしくなってしまう。紛らわしい単語も使えない。
　だから、頑張った。友達に付き合ってもらったり、先生に教えてもらったり。お世話になってるお爺さまお婆さまにも教えてもらったり。
　まだ漢字のへんとつくりを逆にしたりとかよくするけど。凄く、頑張った。そして、凄く、周りの人にお世話になった。
　だから結果が出て欲しい。祈るような思いでフィリップは国語の点数を見てみる。さあ、結果は。

（す、すごいです……！）
　フィリップは目を見張った。自己採点より３０点以上高かったのだ。
「どうだった？　フィリップ？」
　先程の女子が訊いてくる。
「はい！　国語が、よい点だと、うれしいです！」
「あはは。今度は『いい点で』で大丈夫だよ。そっか、本当に頑張ったんだね」
「はい！　みんなにたくさん聞きました。みんな教えてくれる、とても優しいです」
「良かったね」
「よくできたら、たくさんありがとう、お礼言います……言うないと、です！」
「ふふ。そうだね、言うないと、だね！」
「はいです！」
　フィリップは結果表を胸に、大きく頷いた。みんなのお陰でこんなに嬉しい。いつも楽しい。お礼、言うないと、です！