期末テストだよ！中学生諸君、全員集合！！＜物語編＞｜リアクション

期末テストだよ！中学生諸君、全員集合！！＜物語編＞

　とうとう、運命が決定する。いや、正確にはとっくに決定しており、結果だけ返ってくる。２学期の頑張りが、数字で如実に表される。
　そう、今、２－４でもテスト結果が返却されていた。それを受け取り青くなって固まってしまう者、叫び出す者、俺の器は数字じゃはかれないんだぜとうそぶく者、様々である。
　そんな阿鼻叫喚の教室内で、篠原翠響は１人静かに意気込んでいた。
　―――今回は、絶対に全教科１００点取ってやるんだから！

（このあたしが９０点割れとか……冗談じゃないわよ！）
　いやいや、他の生徒が聞いたらそれ自体が冗談だろうと思うようなセリフだが、翠響は本気で思っていた。前回の中間テストで、彼女は初めて９０点割れを１科目取ってしまったのだ。
　要領が良く、天才肌。難易度の高い課題も一発でスマートにクリアする優等生である翠響にとって、その結果は不本意どころか屈辱であった。自分、許し難し！
　だから、今回の期末は己の信条を変えた。テスト勉強なんて最低限、努力なんてと思っていた彼女が、今回はガッツリとテストのために勉強をしたのだ。
　ここまであたしにさせたんだからね。わかってるわね、目指すは全教科１００点満点よ！
　そしてリベンジに燃えて４日間の期末テストに臨んだのである。
　勿論そこは何事もクールにこなす事を信条にする翠響。表面上は余裕綽々でテストを受けた。
　と、気が付いた。テスト勉強が功を奏したのか、いつもよりスラスラと問題が解けるではないか。
（やっぱりあたし天才かも！　ってここで気を抜いたらまた躓いちゃうかもね。やっぱ気を抜いちゃ駄目よ！）
　色々と忙しい乙女心（？）であるが、そんなこんなで受けたテスト結果が今、返される。

　結果は、さすがに全科目１００点とはいかなかったが、前回よりはるかに良い成績であった。勿論、９０点割れなど１科目もない。けれど、翠響は満足出来なかった。
（理科が、後少しだったのに！）
　どの問題をミスってしまったのだろう。目標を達成できなかったという事が翠響には悔しかった。
「結果どうでした？　翠響ちゃん？」
　騒がしく帰り支度をする教室で、同じクラスの月守輝夜が声をかけてきた。翠響は少ししかめていた眉を慌てて戻し、涼しい顔で言った。
「え？　うん、悪くなかったわよ。輝夜は？」
「私ですか？　そうですね、まあまあでしたけど、ちょっと復習はしようと思ってます」
「へえ、偉いわね」
「いえ、楽しいですから」
　そう言うと輝夜はぽっと赤くなってしまった。
（なんで勉強で赤くなるのかしら？）
　不思議に思う翠響だったが、「頑張ってね！」と輝夜に声をかけカバンを手に教室を飛び出した。

　今日は新体操の練習日。久し振りに身体を動かして、モヤモヤを吹き飛ばすわ！