期末テストだよ！中学生諸君、全員集合！！＜物語編＞｜リアクション

期末テストだよ！中学生諸君、全員集合！！＜物語編＞

（いけないいけない、どうしてあの時顔が赤くなっちゃったんだろう。翠響ちゃん、変に思わなかったかな）
　２年生の月守輝夜は教室を出ると、恥ずかしさを振り払うようにぶんぶんと首を振った。先程の篠原翠響との会話。本来赤くなる要素などどこにもない。けれどもなぜか輝夜はあの時顔が赤くなるのを抑えられなかった。それは、どうしてだろう。自分は単にテストの復習をしようと思っただけだったのに。彼と一緒に。
「ヘイ！　月守！」
　間がいいのか悪いのか。ちょうどその時、一緒に勉強したいなと思っていた相手青木慎之介が輝夜の目の前に現れた。不意打ちにボッとまた輝夜は赤くなってしまう。
「どうした月守、顔が赤いけど。風邪か？　アーユーシック？」
「ううん！　何でもないよ！　それより、慎之介くんテストはどうだった？」
　心配そうに眉をひそめた慎之介に輝夜は慌てて訊いてみる。すると途端にズーンと慎之介の肩が落ちた。
「まあバッドの方が多いな……」
「あのさ、じゃあ一緒に勉強会しない？」
「勉強会？」
「私も間違った所復習したいし。一緒に教え合ったら覚えやすいよ？」
「それナイスアイデアだな！　月守グッジョブ！」
　慎之介は顔を輝かせ、輝夜にノリノリで親指を立てた。そして、輝夜の部屋で勉強会をする事になったのである。

　勉強会は予想以上に捗った。やはり誰かと刺激し合いながら勉強するのは楽しいものだ。
「いやー、サンキューな、月守！　教えてくれて」
　勉強も一段落して、輝夜の用意したココアを一口啜り、慎之介が大きく伸びをした。
「ううん。私も勉強になるから。でも、慎之介くんそんなに悪かったの？」
「ハハハ……。英語と体育はノープロブレムだったんだけど」
「……この前渡したお守り、学業の方が良かったかな？」
「そんな事ないぞ！　俺あれからバスケの調子アップしまくりだから！」
　意気込んで言う慎之介に輝夜は小さく笑った。慎之介くん、やっぱり優しいな。
「でもほんと色々サンキュー。月守は優しいな！」
「えっ？！　ううん、そんな事ないよ」
　優しいなと思っている相手から、凄くいい笑顔で優しいと言われ、輝夜はぽぽぽっと赤くなってしまった。
「よーし！　もう一踏ん張りするか！　ガッツだぜ！」
　輝夜の変化に気付かず、慎之介はふんっと気合いを入れ直す。
「じゃあ、英語しようか。教えてくれる？」
「オフコース！　英語なら任せろ！　どこがわかんない？」
　ぐっと乗り出してきた慎之介に、またもや輝夜は１人赤くなる。
「あ、あの慎之介くん？」
「ん？」
　笑顔を見せる慎之介に、輝夜は「あの、ここがわかんないんだけど……」と小さく呟いた。
　お、それはと慎之介が元気よく解説し始める。けれど彼の言葉は輝夜の頭の中をくるくる踊るばかり。
　顔が、近かった。けれど、言えなかった。勿論、嫌じゃない。だけど、照れてしまう。意識してしまう。どうしてこんなにドキドキするんだろう……。

「どうした月守。アーユーＯＫ？」
　慎之介の言葉にはっと輝夜は我に返る。ＯＫＯＫと笑いながら、輝夜は慌てて机に向かった。
（勉強が終わったら、また時間が合う時に勉強会しないか訊いてみよう。２人の方が捗るよね。慎之介くん忙しいけど、大丈夫かな？）
　そんな事を考えると、なぜかまた少しドキドキしてしまう輝夜。爽やかな笑顔を見せる慎之介。
　２人の勉強会は、まだまだ続く。

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